第三百十三話 美形に変装しすぎた侵入者
「お、ビアンカからだな」
「うーん、またもやというべきなのか」
「相変わらず、酷いことをするものだ」
「普通じゃない」
王城の大会議室を対策本部にして、関係者が集められた。
レイアとフェアも対策本部にいる。
直ぐにレイアは、会議室の窓の外にいたララとリリとオリヴィエに加えて、バハムートに乗ったホワイトに状況を伝える。
ララとリリは、ランドルフ領で人神教国と戦ったときに同様の事を経験している。
対応に問題はないはずだ。
「南門より、魔獣と魔物が現れたと報告」
「他の門は、状況変わりありません」
兵が新たな連絡をし、南門に異変が現れた事が伝わった。
レイアは、直ぐにララ達に状況を伝えた。
「聞こえた?」
「オッケーだよ!」
「南門だね。ランドルフ領と一緒の対応でやるよ!」
「頑張ってきます!」
レイアはララ達に伝えると、直ぐに動いてくれた。
ララ達なら、多少の数がいても問題ない。
と、ここでホワイトが近くに寄って何か話をしてきた。
レイアは、直ぐに王妃様の元にいく。
「ホワイトが、王城の一階に大きなネズミさんがいるって」
「あらあら、それは大変ね」
「早めに駆除しないと」
「あなたは、そこから絶対に動かないでね。フェアちゃんも一緒に行きましょう」
王様と宰相達は大会議室に残る。
この前の王都襲撃で、偽物が入ったのもあるからだ。
レイアは魔道具ギルドと、本物と偽物の見分けをする魔道具を試作中で、仮の物がこの会議室についている。
それに警備も厳重になったので、ここにいれば問題ない。
それに、王様は王妃様に逆らえない。
それもレイアはよく知っていた。
「うん、何人かいるね」
「直ぐに、マジックブレイクを発動します」
「お願いね、フェアちゃん」
「はい、頑張ります」
一階につくと、レイアは直ぐに侵入者の存在に気がついた。
今回は各階毎に警備を増強しているので、侵入者は二階に上がれないでいたようだ。
王妃がフェアに頼んでマジックブレイクを発動させた。
フェアは闇魔法が得意なので、こういった補助魔法も得意だ。
レイアは、サトーが聖魔法を駆使して闇魔法のマネをするのはとても凄いと思っている。
サトーはつくづく魔法の才能がないと周囲にこぼしているが、うちのものはそんな事はないと思っている。
レイアが思考を巡らせている間に、フェアの魔法が発動した。
「え? 何で?」
「変装が!」
「さっきの魔法だな」
侵入者は、あっさりと変装が解かれて焦っている。
魔道具の効果を無効化すれば、変装が解けるのは実証済み。
王妃もレイアも、勿論その事を覚えている。
「すぐに捕縛せよ」
「はっ」
王妃様の命令で、直ぐに変装が解かれた侵入者はあえなく警備をしていた兵に引き渡された。
しかしレイアとフェアは、警戒を解いていない。
もう一人、誰かがいる。
そう思ったとき、近くから声がかかった。
「おお、ネズミをつかま……ブヘラ!」
「おお、凄い」
「思いっきり吹っ飛んだね」
王様にそっくりに変装した侵入者が近づいてきたら、問答無用で王妃様達が侵入者の顔面にトリプルパンチをお見舞いした。
ふっ飛ばされた衝撃で魔道具が壊れたのか、侵入者は王様への変装が解かれた。
あ、鼻血が出ていて、歯も何本か折れている。
王妃様達によってノックアウトされた侵入者は、直ぐに警備をしている兵に拘束される。
「かっこよすぎて気持ち悪かった」
「一発で偽物と分かったよ」
レイアとフェアも、直ぐに偽物と見分けがついた。
王国には、王様の肖像画などが出回っているが
それは、大抵本人を美化したものだ。
今回王様に変装した侵入者は、そんな美化された王様を参考にしたのだろう。
付き合いが少しでもある人は、偽物だと一発で分かった。
「思わず鳥肌が立ちましたわ」
「陛下はもっといい加減なキャラですわ」
「あんなに美形キャラではありませんわ」
とはいえ、王妃様達も本物に対して散々な評価をしている事に、レイアとフェアも警備の人達も苦笑いだった。
「おう、早かったな」
「王妃様は正しかった……」
「そうだね……」
会議に戻ると、デザートをくっちゃくちゃ食べている王様と閣僚がいた。
口いっぱいにデザートを頬張ってほっぺたに何かを付けている辺り、全く威厳もかっこよくもない。
そんな王様の様子を見て、王妃様達はホッとしていた。
レイアとフェアは、やはり王妃様の意見は正しいと思った。
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