第二百九十四話 いざオリエント公国へ

「今日は頑張るぞー!」

「「「「おー!」」」」

「終わったら、お肉祭りだー!」

「「「「おー!」」」」


 ミケが、ドラコ達と龍と謎の掛け声をしていた。

 大丈夫です。

 お肉は、たんまりと用意してあります。

 スラタロウが、張り切って料理の準備をしてますから。


「いいわね、お肉祭り」

「私達も参加しましょうか」

「それなら、今日は頑張って動かないといけませんね」


 ビシッと戦闘服に着替えている王妃様達。

 既に、海の向こうに小さく見える公国を見据えている。


「いい天気だな」

「ああ、暴れるには丁度いい」


 あの、ドラコとルシアのお母さん?

 暴れるのに、天気なんて関係あるんですか?


「すみません、ノースランド公爵。朝早くから煩くして」

「ははは、このくらいなら全然構わん。寧ろ、うちも公国との取引が急に止まって困っていたんだよ」


 ダンディなノースランド公爵も、公国との貿易が途絶えて困っている人の一人。

 無事に交易も回復しないと。


 今日公国へ向かうメンバーは、俺とミケとエステルとリンとビアンカ殿下。

 それにララとリリとレイアに、ドラコとシラユキとルシア。

 昨日の戦闘で、評価の高かったシルク様も参加する。

 従魔は、タラちゃんとポチとフランソワに、ショコラとベリルにフウが参加する。

 バハムートに乗って、引き続きホワイトも参戦。

 赤龍と海龍も既にスタンバイオッケーで、王妃様達もやる気十分。

 ジュリエット様も、動きやすい服装にしている。

 ジュリエット様は手持ちの武器は短刀しか持っていなかったので、聖女部隊の紋章が刻印されたショートソードをプレゼントした。

 リディア様は、うちの屋敷でお留守番。

 昨日従魔にしたプリンと一緒に、魔法の練習をするそうだ。

 馬が二頭ともお屋敷にいるから、防御力はバッチリだろう。


「しかし、サトーはまた女装か。大変な事だな」

「ええ、もう諦めました」


 ノースランド公爵が、俺が女装している事につっこんでくれた。

 人神教国にも女装して行くのが確定しているし、もう諦めの境地です。


「では、そろそろ行きましょう。人神教国の手に落ちた公国を、私達の手で救いましょう」

「「「「おー!」」」」


 ジュリエット様の掛け声で、龍の姿になった赤龍と海龍に乗り込む。

 そして、一斉に公国に向かって飛び立った。

 港湾で働いている人が、ビックリしてこちらを指さしている。

 ノースランド公爵の人には事前周知していたとはいえ、驚かせて申し訳ありません。


「おー! 速い速い!」


 ミケは、高速で移動する龍の上ではしゃいでいる。

 ちなみにミケが乗っているのは、ドラコの母親だ。

 流石に身体能力に優れているだけあって、通常航路で半日かかる所を僅か三十分で到着。

 まだそこまで速く飛べないバハムートは、ルシアの母親の背中に乗っている。

 眼下に、大きな島が見えてきた。

 そして、島の中央がなだらかな丘になっていて、付近に豪華な建物が並んでいる。

 恐らく、あれが公国邸と行政府と思われる建物だな。


「よーし、作戦開始だ!」

「「「おー!」」」


 皆の声を合図に、龍は目的地に向かって降下し始めた。

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