第二百六十二話 披露宴の後始末

 披露宴も無事に終わり、俺も送迎する人と子ども達を送ってきた。

 陛下も帰っていったが、王妃様達はまだ残っている。

 陛下も、緊張からか随分とお酒を飲んだからな。

 帰る頃には、ベロンベロンに酔っ払っていた。

 

「ほら。楽しんだんだから、その分頑張って片付けなさい!」


 フローラ様の監視の下、エステルがヒーヒー言いながら侍従に混ざって披露宴の後片付けをしている。

 どうやらこっそりお酒も飲んでいたらしく、顔色も悪くてかなりグロッキーだ。

 申し訳ないけど、エステルの事はフローラ様にお任せしよう。

 

「無事に結婚式も終わりましたね」

「昨日は色々とヒヤヒヤしましたが、終わりよければって感じです」


 応接室で、着替えの終わったルキアさんと王妃様達と話をしている。

 アルス王子は男性陣とビューティーさんに捕まり、お酒をしこたま飲まされてダウン中。

 そんな中、無事に結婚式が終わったことに安堵している。

 もしジェマの襲撃が今日だったら、結婚式が台無しになってしまった可能性もあった。

 

「次の結婚式は、サトー様の番ですね」

「まだ、中々実感が沸かないですよ」

「準備を進めていく内に、実感が湧いてきますよ」


 王族の結婚式は、次が俺が対象になる。

 同時に三人との結婚式だから、規模も大きくなるだろう。

 来年になれば準備も少しずつ始まるので、結婚するという実感も出てくるだろう。


「今日は子ども達も、ルキアさんの為に凄く頑張っていましたね」

「この日の為にあれこれしてくれましたので、子ども達にも本当に感謝です」

「うちも、ミケ達がやる気になっていますよ。今から何やろうかって考えてましたよ」

「ああいった、裏表のない皆が楽しめる演出は大歓迎よ」

「中には、無理やりくだらない演出をねじ込んでくるのもいますわ」


 アットホームな演出だけど、その分皆も楽しんでもらえた。

 貴族の中には、上位貴族から演出について横槍が入る事があるという。

 誰々のお陰とか、そんなセリフを入れるのは嫌だな。

 俺達の場合、そんな事をしたら王妃様達が許さないと思う。

 

 話をしている内に、ボロ雑巾の様にこき使われたエステルとフローラ様が応接室に入ってきた。

 エステルはとても人様の前に出せる状態ではなかったので、フローラ様の許可を得てからうちに連れて帰った。


「サトーは子ども達の面倒を見ているから、本当に色々とお世話ができるわよね」

「サトーと同じ環境にいるエステルも、サトーの事を見習って欲しいものです」

「というか、子ども達と同じ目線になっていますよね。子どもと一緒の扱いというか」


 王妃様達の言うことはとっても良く分かる。

 エステルは、子どもと一緒に馬鹿騒ぎをするタイプだ。

 リンやフローレンスは、その辺を上手くコントロールしている。

 正直言って、エステルよりもミケ達の方がよっぽど空気を読める。

 どうにかして、エステルを周りに気遣いをさせるようにしないと。


「定期的に私もエステルを指導するわ。サトーの方でも、何か考えて頂戴ね」

「何か方法がないか考えてみます」


 うーん、エステルをどうにかする方法か。

 うちに帰ったら、皆に相談してみよう。

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