第二百三十話 迎賓館の利用者
王都内の犯罪者を次々と捕まえていったが、肝心の迎賓館を使う人が分からない。
陛下や宰相からも情報はなく、もしかしたら貴族主義の連中も何もしらないのかなと思い始めた。
そのまま、ビアンカ殿下の誕生パーティー当日になってしまった。
埒が明かないので直接情報を仕入れようと、タラちゃん達に迎賓館へ潜入捜査をしてもらう。
パーティーは昼からなので、客は午前中に来るはず。
その間俺達は、宰相と共にパーティー会場の警備について話し合っていた。
「結局、直前まで尻尾を出しませんでしたね」
「仕方ない。警備は厳重にして、要所にはサトー達を配置しよう」
直前まで安全対策を検討することになってしまったので、今回は最高レベルの警戒をする事にする。
パーティー会場の侍従にも敵が紛れ込んでいると想定もして、徹底的に安全を確保する。
と、ここでタラちゃんがショコラにワープで連れられてきた。
「サトー、今迎賓館に誰か入ったよ。五人で、そのうち四人は悪人確定だよ。まだ、フードを深く被っているから良くわからなかった」
「ありがとうタラちゃん、引き続き宜しくね」
「はーい」
タラちゃんは、再びショコラにワープで連れて行って貰った。
「今時点の人数が分かっただけでもいいですね」
「最低でも四人は黒だと判明した。警備はこのまま厳重に行こう」
「はい」
宰相と俺は、そのまま会場のセッティングについて色々指示を出していく。
会場にビアンカ殿下やエステルやリンもやってきた。
主役と来賓だから本番はドレスを着る予定だけど、隠れて武装もするという。
と、ここにショコラ便でタラちゃんが再びやってきた。
「色々分かったよ。会場に貴族が入っていって、この間ミケに負けた貴族の名前が出ていたよ」
「あの股間をぶち抜かれた貴族か。如何にもって感じだな」
「既に犯罪に手を染めておるから、今回の事もビックリせんな」
ここで名前が出てきたのは、決闘してきたブルドッグ伯爵家。
確か強制当主交代になっていたはず。
「フードを被った五人の内、四人はメイド姿だけど殺し屋だね。そしてもう一人はソフィーに似せたそっくりさん。髪の赤みが強いから、知っている人が見れば直ぐに違いが分かるよ」
「全くの別人が、ソフィー皇女のそっくりさんに仕立て上げられたみたいだな」
「そっくりさんは悪人じゃないよ。どうもパーティー中にソフィー皇女を誘拐して、そっくりさんに変えるみたい。そしてブルドッグは、この事は何にもならないみたいだよ。お金だけ貰って会場押さえただけみたい」
ここまで分かれば拘束しても問題ないな。
では、犯罪者にはご退場してもらおう。
「宰相、ここまで分かれば上等ですよね?」
「ああ。だが念の為に警備はこのままにしよう」
「妾も賛成じゃ。貴族主義の連中がパーティーに参加する、ソレだけで脅威じゃ」
俺としては、貴族主義の連中がパーティーに参加するだけでも嫌なんだけどな。
タラちゃんには迎賓館に行ってもらい、そのまま殺し屋四人とブルドッグ伯爵を拘束してもらい、そっくりさんを救助してもらおう。
ブルドッグ伯爵は、虚偽申告で罰金刑かな。
十分もかからずに、再びショコラ便に乗ってタラちゃんがやってきた。
「全て終わったよ! いやあ、殺し屋は凄いや。沢山の暗器を持っていたよ」
「その時点で、もうアウトだ。なんだよ沢山の暗器って」
どこからの人物かは尋問しないといけないけど、どうせ帝国か人神教国だろう。
ロクでもない事を考えてそうだ。
「そっくりさんも軍に保護されたよ。もう大丈夫」
「巻き込まれた原因は、詳しく調べないといけないな」
普通の人を犯罪に巻き込むあたり、何か裏にあるはずだ。
そこをキチンと叩かないといけない。
そこは、そっくりさんの取り調べの結果次第だな。
タラちゃんはこのままパーティー会場の警備に入って、不審物がないか捜索するという。
ミケ達もそろそろパーティー会場に合流するので、俺も着替えとかをしないと。
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