第二十一話 魔法の訓練を始めよう!

「ミケ、今日は魔法の勉強してみようか?」

「おお、ミケ魔法使いになるよ!」

「主人、魔法の事なら我に任せよ」

「午前中に明日の準備を終わらせて、お昼からやってみようか?」

「おー!」


 明日が冒険者ギルドの新人者研修なので、今日は依頼を受けずに明日の準備をする様にした。

 確か受付した時に貰った資料に色々書いてあったなあ。

 その後は魔法の勉強をしてみる事にしよう。

 せっかくアイテムボックスの中に魔法に関する本が入っているからね。

 たまにお屋敷のメイドさんが生活魔法使っているのを見るけど、覚えると本当に便利そう。

 攻撃魔法とか覚えて、魔物に一撃なんて、まさに異世界っぽいなあ。


 先ずは明日の準備。

 朝食を食べて客室に戻り、冒険者ギルドから貰った資料を確認。

 えーと、必要なものはと……

 

 ・筆記用具

 ・飲み物

 ・自分が使う武器

 ・ナイフ

 ・テント(あれば)

 ・ポーション


 この内容だと、座学と実地の両方ありそうだな。

 座学で筆記道具、その他は実地訓練で使用する様だ。

 今アイテムボックスの中だと、武器とナイフとテントはあるから、筆記用具とポーションが必要だ。

 どこで売っているか、ルキアさんに聞いてみよう。


「筆記道具もポーションも商会で取り扱っています。よろしければご案内いたしますよ」


 ルキアさんが来てくれるというので、一緒に行くことに。

 商会というのは前の世界でいうデパートのようなもので、大体のものは揃うみたいだ。

 専門的な物は個人商店に行った方がいいみたいだけど、俺たちはまだそこまでの腕ではないし。

 商会の近くには服を取り扱っている所もあるみたいだから、ミケの服も見繕ってみようかな。


「うわー!いっぱいある!」


 ミケが商会を見て感激しているようだ。

 沢山の品物が所狭しと並んでいる。

 冒険者ギルドにも近いので結構な数の冒険者もいる。

 初心者向けの商品も沢山置いてあるのか、冒険者の年齢も若そうだ。


「サトー様、筆記用具はこの辺りがよろしいかと。ミケ様にも使いやすいかと」

「今回ポーションを指定されておりますが、マナポーションや毒消草なども一通り揃えた方が宜しいかと。また、テントはお持ちということですが、毛布などもあった方が便利です」


 流石元冒険者のルキアさん。とても良いものを薦めてくれた。それに色々必要なものを教えてくれる。

 ミケには女の子らしい色の毛布を選んであげようかな?


「お兄ちゃん、この髪飾りかわいいよね?」

「お花の髪飾りか。かわいいよ。ミケが使うのかい?」

「うーうん。秘密」


 そんな中、ミケが小さな花の髪飾りを見せてくれた。値段もとても安い。

 しかし秘密とは、どうするのだろうか。


 会計を済ませてお店の前に出ると、ミケがモジモジしながらルキアさんの前に出てきた。


「はい、ルキアお姉ちゃんにあげる」

「この髪飾りを私に?」

「うん、色々ありがとー」

「ミケ様、ありがとうございます」

「えへへ」


 ルキアさんはぎゅっとミケの事を抱きしめていた。

 

「主人、本当は主人が何かプレゼントしないといけないんだぞ」


 シルよ、うるさいわい。スラタロウも同意するな。

 どうせ女性と付き合ったことのないイコール年齢ですよ。


 そのまま、ミケの服を買うために服屋さんへ。

 プレゼントを貰ったお礼にと、ルキアさんが服選びを張り切っています。

 ミケも色々な服が着れてとても楽しそう。


「ミケちゃんにはこんな服も似合うかも」

「ミケお姫様みたい!」

「ミケちゃんとってもかわいいよ」

「えへへ! ミケ色々な服が着れて嬉しい!」


 どんな世界でも女性はおしゃれが大好きですね。


「主人、暇だぞ」

「シルよ、女性の買い物は長い。男は黙って待つんだ」

「主人よ、あきたぞ……」


 男子は全く出番がありません。シルもヒマを持て余しています。


「サトー様、お待たせして申し訳ありません」

「お兄ちゃん、お金払って!」


 ……分かっていますよ、黙って俺がお金出します……


 買い物も終わって、一旦お屋敷に戻ります。


「あら、ミケさんとてもかわいいね」

「ミケちゃんかわいい!」

「えへへ」


 お昼ご飯の時にルキアさんに買ってもらった服を着ていたミケの事を、マリー様とサリー様がかわいいとずっと褒めていました。

 ミケも褒められてとっても嬉しそうだ。


「午後は妾も暇ゆえ、お主らの魔法の訓練を見るぞ」

「私も一緒に見るよ!」

「わーいお姉ちゃん達と一緒だ!」

「ほほほ、ミケよ頑張るのだぞ」

「うん!」


 という事で、お昼の後はお屋敷の裏庭をお借りして魔法の練習です。

 午後は暇という事で、ビアンカ殿下とサリー様も一緒です。

 

「では、午後もよろしくお願いします」


 午後もルキアさんが手伝ってくれます。

 何でも冒険者の時は回復系の魔法使いだったそうです。


「「ルキア先生よろしくお願いします」」

「あら、先生だなんて、うふふ。こちらこそよろしくお願いします」


 ルキア先生の講義が始まります。


「では、始めますね。サトー様、ミケ様。初心者の魔導書を読まれましたか?」

「読んだけど分からなかったー」


 確かに魔導書を読んだが、ちょっと理解が出来なかったんだよなあ。

 特に魔力の流れが分からなかった。


「くすくす、そうですね。実はあの魔導書は、魔力の確認が済んでいる人が読むものなんですね」

「な、なんだって!」


 ミケが大袈裟にびっくりするが、実は俺も驚いた。

 そんな事書いてないから分からなかったぞ。


「ミケ様、私と一緒に手を繋ぎましょう」

「はい、ルキアお姉ちゃん」


 ミケとルキアさんがちょうど輪になるような感じで手を繋いだ。

 ルキアさんが何かをしようとしている。


「今から温かい物が体の中に流れますよ」

「うおー、何か流れてきた」


 ミケとルキアさんが少し光っているぞ!

 一体何が起きているんだ?


「ふう、これで終わりです。ミケ様、何か感じますか?」

「何か温かいのを感じるよ、ルキアお姉ちゃん」

「これが魔力ですよ、ミケ様。実は魔法を使えるようになるためには、魔法を使える人に魔力を呼び起こしてもらう必要があるんです」

「おお、これでミケも魔法使いだ!」


 ミケが魔法を使える様になって、とっても嬉しいようだ。

 しかし魔力を呼び起こす必要があるのか。それじゃいくら魔導書を読んでもわからないはずだ。


「後は、魔力の適性を調べてどんな魔法が使えるかを確認しましょう。その前に、サトー様も、魔力の解放を行いましょう」


 ああ、大人の女性と手を繋ぐなんて経験無いから緊張だぞ。ルキアさん美人だし……

 いや、ルキアさんは真面目に魔法を教えてくれているんだ。無心だ無心。


「サトー様、手を繋ぎますのでリラックスしてくださいね」


 うお、ルキアさんの手柔らかい。いや、無心だ無心。


「魔力を流しますので、びっくりしないでくださいね」


 ルキアさんの魔力が流れてきた。

 ああ、とっても温かい。とっても気持ちい。これが魔力かあ。

 気持ちよくて、今とってもアホな顔になっていそう……


「どうですか、サトー様。何か体に異常はありませんか?」

「いや、大丈夫です。とっても体が温かいです」

「はい、それが魔力ですよ」

「これが魔力か……」


 なんか感激だ、これで魔法が使える様になったのか。

 少し手のひらをにぎにぎしてみる。

 確かに体の中に温かいものが流れているのを感じ取れる。

 魔法使いになった実感が少しあるなあ。


「ほほほ、これが魔力か。なんとも温かいものよ」

「ミケちゃん、魔力ってすごいねえ」

「みんなで魔法使いだよ!」


 と思っていたら、ミケがビアンカ殿下とサリー様と手を繋いで魔力を呼び起こしていた。

 おい、次はスラタロウかよ。

 ミケさんや、あんた何しているね!


「ミケ様すごいですね……もう魔力操作の一端を覚えてますね」

「それはいいのですが、ビアンカ殿下とサリー様の魔力を目覚めさせてしまってもいいのでしょうか?」

「サトー様が心配されるのも無理はないのですが、問題ありません。遅かれ早かれ、王族や貴族の方は魔法の勉強をしますので。貴族にとって魔法を扱える事は必須ですので……」


 おや、ちょっとルキアさんの顔に影があるぞ。そして何で王族や貴族が魔法必須って事を知っているのだろう。

 ……この事は、今は触れない方が良さそうだ。

 

 ちなみにシルは……


「我は魔法を使えるから、魔力を呼び起こす必要はないぞ」


 との事だった。


「さて、皆様の魔力が呼び起こされましたので、次は魔力の適性を確認します。御館様より魔道具をお借りしましたので、皆さんの適性を確認しましょう」

「「はーい!」」


 ルキア様が魔力適性を確認する魔道具を持ってきてくれた。見た目はタブレットみたいなものに、指紋認証の機材がくっ付いているみたいだ。

 ミケとサリー様は魔力適性が待ち遠しいのか、元気よく手をあげている。


「最近の魔道具は進化していて、扱える魔法の種類に加えて、魔法が放出型か身にまとう型かも判別出来る様になりました。実はこの魔道具の原型を作ったのは、あの『ミルカ魔道具店』のお婆様なんですよ」

「え、あのお婆ちゃんが! お婆ちゃんすごい!」

「そうですよミケ様。あのお婆様は若い時はこの王国でも有数の魔道具師だったんです」

「ふむ、王国にもいくつかミルカの刻印があった魔道具があったぞ。妾も一度お会いしたいものだ」

「お姉ちゃん、今度一緒に行こう!」

「そうだの、ミケよ。妾の時間が取れる時に行ってみたいものよ」


 ルキアさんが魔道具を色々準備している間に色々話をしてくれたが、あのお婆さんそこまで凄腕だったんだ。

 でも確かにビルゴさんとかも寄っていたから、本当なのだろう。


「さて、魔道具の準備が完了しました。一番最初はどなたが行いますか?」

「ミケ一番!」


 魔道具の準備が出来たので測定を開始するのだが、やっぱりというかミケが元気よく手をあげた。

 みんなも分かっていたという雰囲気だな。 


「ではミケ様、機械のここに指を置いてください。結果はすぐに出ますよ」

「おお、楽しみ。ルキアお姉ちゃん、指を置いたよ」

「では始めますね」

「どきどきワクワク!」


 ミケが指紋認証みたいな機械に上に指を置くと、測定が開始された。

 暫くすると、タブレットみたいな物に結果が表示されました。


「ミケさんの結果は……、火と風ですね。体にまとうタイプです」

「おお、ファイヤーボールとか出せるの?」

「残念ながらできないですね。」

「しょんぼり」

「でもうまく訓練をすれば、いつもよりも速く走れたり、力が強くなったり、バトルハンマーに火をまとえたりできますよ」

「おー、かっこいい!ミケ魔法のお勉強頑張る!」


 ミケは火と風の魔法適性だったが放出系ではないので、残念ながらミケが思っている様な魔法使いではなかった。

 ちょっとしょんぼりしていたが、身体能力強化ができるとあってやる気を取り戻したみたいだ。

 しかしながら、今の身体能力に加えて能力強化が出来たら、ミケは物凄く強くなるんじゃないかな?


「次は妾がいくかの」

「はい、殿下。いつでも準備出来ております」

「では早速。うぬぬ、この結果は?」

「殿下、水と土の他にレアスキルの雷の放出系の属性があります。素晴らしい結果です」

「何と、これは嬉しい結果よの。魔法の訓練も頑張らないといけないよの」


 ビアンカ殿下は水と土の他に、雷魔法の適性があった。

 活発で活動的な殿下にピッタリな結果だ。

 ちなみにレアスキルはその名の通りレアで、大体一万人に一人の割合で現れるらしい。

 でも、王族には比較的レアスキルを持った人が多いらしい。

 流石は王家の血筋だ。


「次は私がやります」

「はい、サリー様。どうぞ」

「どんな結果かな? おや、これは何?」

「サリー様もすごい結果ですね。回復と生活魔法の放出系に加えて、聖魔法の適性もありますね」

「聖魔法! お父様とお母様にも報告しなければ!」


 サリー様は回復魔法と生活魔法の他に、聖魔法という適性があった。

 一緒に持っている適性もあわせると、まるで聖女様の様だ。

 これはバルガス様も大喜びではないかな?


「お姉ちゃん達、レア属性なんてすごいよ!」

「ほほ、まさか妾に雷属性があるとはのう。しかしサリー嬢もまるで聖女様ではないか」

「ビアンカ殿下も、雷属性とはまるで勇者様の様ですね」

「ミケも今の戦い方を強化できる属性でないか。相性バッチリじゃな」

「ミケもお姉ちゃんに負けないように頑張るよ!」


 女三人よれば姦しいと言いますが、先に終わった三人がわいわい話しています。

 しかし前の結果がものすごすぎて、俺がどんな結果出るかプレッシャーが……


「では、サトー様。こちらにどうぞ」

「お兄ちゃん頑張って」


 やばい、どきどきしてきたぞ。

 これで才能なしだったらどうしよう……

 ミケの応援が逆にプレッシャーだぞ。


「では、この機械の上に指を置いてください」

「はい、では計測を開始しますね」


 この数秒が長く感じるなあ。


「結果が出ました。サトー様も素晴らしい適性を持っておられますね。回復魔法に生活魔法と空間魔法の適性があります」

「お兄ちゃんもすごい!」

「ほお、空間魔法とな。これまたレアなスキルじゃぞ」

「わあー、お兄ちゃんも凄いなあ」


 みんな喜んでいるけど、イマイチ空間魔法というものがわからない。

 

「ルキアさん、空間魔法とは何ですか?」

「空間魔法はその名の通り、空間を操る魔法です。アイテムを格納できるアイテムボックスや、生き物も入れることが出来るディメンションホーム、極めればワープも出来る様になります」


 もしかしてアイテムボックスを持っているのは、空間魔法のおかげかな?

 空間魔法極めれば、色々な事が出来そうだぞ。

 

 ミケがスラタロウを持ってルキアさんの所にきているが、何かやろうとしているのかな?


「ルキアお姉ちゃん、スラタロウもできる?」

「はい、理論的には魔力がありますので計測出来ますよ」

「じゃあ、スラタロウもお願い」

「かしこまりました」


 何とスラタロウも魔力の計測を行うらしい。

 逆に魔物がどんな結果が出るか楽しみだ。


「ではスラタロウさん。ここに触れてください」


 スラタロウは、触手を手の様に伸ばして計測を開始した。


「では結果は……、え? ちょっと待ってください。スラタロウさんもう一回計測させてください」

「あれ? スラタロウ何かあったの?」

「ふむ、機械の故障かえな?」

「何だろう?」


 あれ?何か問題があったのかな?

 みんな計測の魔道具に集まってきた。


「こほん、では気を取り直して。スラタロウさん、もう一度お願いします」


 スラタロウが再度触手を伸ばして計測を開始すると。


「「「「「!」」」」」


 みんなびっくり。

 もちろん俺もびっくり。

 

「まさか、全属性持ちとは……」


 そう、スラタロウはまさかの全属性持ち。しかも放出系もみにまとう系もOK。

 まさしく賢者様だ。

 念のため魔道具が故障していないか、もう一回みんなの属性を測ったが問題はなかった。


「スラタロウすごい!」

「スラタロウすごいねえ!」


 ミケとサリー様は大喜びだが、これは前代未聞でしょう。


「こんな結果初めてみました。魔物にも魔力適性があるとはいえ、まさか全属性とは」

「この結果は、公表を控えるべきじゃな」

「そうですね。伝えてもバルガス様とマリー様位までですね」

「そうじゃな……」


 ルキアさんもビアンカ殿下もため息をついている。それほどの結果だった。


「ミケにサリーよ。スラタロウの魔法の事は秘密じゃぞ」

「「はーい!」」


 すかさずビアンカ殿下はミケとサリー様に釘を刺してくれた。


「こほん、色々な結果が出ましたが、その適性を発揮出来るには訓練が必要ですので、皆さん頑張ってくださいね」

「「「「はい!」」」」

「それでは、魔法の簡単な訓練方法を二つ教えます」


 うまい具合にルキアさんが話題を訓練に切り替えてくれた。


「一つは、魔力を体の中で循環させる方法です。これは毎日行う事をお勧めします。魔力のコントロールと精度が上がっていきます」

「二つ目は、魔力の集約です。放出系もみにまとう系も、魔力を上手く一箇所に集める必要があります。一回見本を見せますので、魔力の流れに注目してみて下さいね」

「「「「はい、先生!」」」」


 ルキアさんに二つの訓練を教えてもらうことになった。

 みんなルキアさんの事を先生と呼ぶようになってきた。

 ルキアさん教えるのが上手いから、先生もピッタリだな。


「先ずは循環です。体の中の温かいものを、身体中の隅々まで流れるようにします。静かな環境で行うといいですよ」

 

 ルキアさんがお手本を見せてくれたけど、瞑想とかすると効率良さそうだな。

 人によって色々工夫ができそうだ。


「続いて魔力を一箇所に集める訓練です。最初は集めたい場所を意識するといいですよ」


 一箇所に集める訓練は、循環と違って難しそうだな……。訓練あるのみだ。


「うーん、難しいよ」

「これは難しいのう」

「なかなかできないよう」

「最初は難しいけど、徐々に出来る様になっていくわよ」


 俺も含めみんな魔力制御に苦戦している中、既に完璧に出来ているのが……


「スラタロウさん、既に魔力制御が完璧。そういえばスライムって魔法使えたっけ……」


 ルキアさんも唖然としています。

 自由自在に魔力を操っているスライムが一匹。

 スラタロウ、将来は大魔道士かな。


 日も暮れてきたので、今日はこの辺で終了です。

 みんな初めての魔力訓練でくたくたです。


「ほお、サリーもレア魔法が使えるのか。将来が楽しみだ」

「サリー、しっかり訓練するのですよ」

「はい、お父様、お母様」


 夕食時、娘が聖魔法が使えることに、バルガス様もマリー様も喜んでいた。

 サリー様も笑顔だ。


「しかし、スライムが全属性とは……。確かに極秘事項だな」

「多少魔法が使えるくらいなら珍しいスライムで済むが、レア魔法まで使えるとなると王家も動く可能性があるよの」

「そうですな、ビアンカ殿下。研究対象になりかねません」


 そして案の定スラタロウの事は物騒な話になってしまった。

 スラタロウは研究対象なんかにさせないぞ。


「明日はお昼からだけど、早く起きるようにね」

「うーん、むにゃむにゃむにゃ」


 ミケは魔法の訓練で疲れて、既に夢の中だ。

 明日は遅刻しないですみそうだ。

 俺はせっかくだから魔導書を読んでから寝ようかな。


 ぺら、ぺら。

 

 俺が寝た後、誰かが本を読む音が部屋の中に響いていた。

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