第120話 ウッドロットへ降り立つ
大樹ユグドラシル。もはや巨塔にも匹敵する大木の
ニーナは地に
ニーナの曲芸飛行に目を回していたラビも、どうにか我を取り戻して、ぎこちない動作でドラゴンの背中から降りる。
そして、目の前にそびえる大樹を見上げた彼女は、その壮大な光景に息を呑んだ。
「これが、エルフの隠れ里を支える大樹ユグドラシル………なんて大きいのかしら」
何百、何千年もの歳月を経てすっかり
『ニーナ、ウッドロットに来たは良いが、肝心のエルフの村が見当たらないぞ』
俺がそう問いかけると、ニーナは「そりゃそうよ。だって地上には無いんだもん」と答える。
「は? 地上に無いんだったら、どこにあるんだよ?」
「あそこ」
ニーナは大樹ユグドラシルの真上を指差す。
「エルフの村は、この木の上にあるの。根元はクリーパードラゴンの
ニーナはそう言って、「おつおつ、よく頑張ったね~」と、水を飲むドラゴンの頭を
――すると突然、空から無数の羽音が聞こえてきて、ドラゴンの群れが十数匹、まるで
ドラゴンに乗ったエルフたちは、ラビとニーナを囲うように着地すると、持っていた長い槍を俺たちの方へ向けて構えた。
「お前たち、そこを動くな!」
若いエルフの男が一人、険しい顔で声を上げた。彼らの乗るドラゴンも気性を荒くして、俺たちを
「ちょい待ち。私たちは敵じゃない。アンタたち見て分からないワケ? 私はアンタたちと同じエルフ! で、この子は私が連れて来たお客! 少し考えてみれば分かることでしょ?」
自分たちを敵視するエルフたちに向かって突っかかってゆくニーナ。すると、ドラゴンに乗った若いエルフの一人が、ため息を吐いてこう答えた。
「……ええ、あなたのことは私たちも存じています。『
「そう、その通り! 分かってるじゃん。伝説の海賊であるニーナが、故郷へ帰ってきましたよ! ピスピースっ!」
仲間のエルフからそう言われて、自慢げに胸を張り、両手でVサインしてみせるニーナ。
しかし、若いエルフはこう言葉を続ける。
「――そして、我らエルフ族の中で最も異端であり、
「えぇ………そこまで言うことなくない? マジ
反逆者、裏切者、犯罪者の三拍子を口にされて脱力してしまうニーナ。そんな彼女に向かって、槍を構えたエルフは言葉を続ける。
「あなたは今すぐ、評議会に出頭してもらいます。そこで里長と面会し、しかるべき罰を受けていただきます」
「えぇ~、帰った途端に
「問答無用です。同行を拒否するようであれば、力尽くでも連れて行きますよ」
そう言ってニーナに
おいおい大丈夫なのか? 上陸した初っ端から険悪なムードが
心配性な俺が、ことの成り行きを心配していると……
「待ちなさい、アンタたち!」
そこへ、俺たちを囲うエルフたちの背後から甲高い声がして、彼らの間へ割り込むように、ドラゴンに乗った
しかし彼女を見た途端、俺とラビは思考停止するようにポカンと
その女性は、ニーナと同じ褐色肌のダークエルフだったが、その背丈はラビと同じか少し低いくらいで、小さな体の上には丸い童顔が乗り、金髪の長い髪を左右でツインテールにまとめていた。その容姿は、周りにいる他のどのエルフたちよりも未成熟で、青二才な――
要するに、
(なんだ、こんなラビみたいな子どもまで
俺は驚いたのだが、それはまだ序の口。ダークエルフの幼女が俺たちの前へ現れた途端、それまで強気だった周りのエルフたちは、皆かしこまるように肩をすくめ、彼女の前で全員が
「こ、これは
――――はぁ⁉ この小さいガキが騎士団長だと⁉
仰天する俺たちの前で、そのダークエルフの幼女はドラゴンから降り、ニーナの前までスタスタ歩いてくると、まな板の平らな胸を押し付けるように前へ突き出して両手を腰に当て、険しい表情でニーナをキッと
「………よ〜やく帰って来たんだね、ニーナ。一体どれだけアタシたちが心配したか、アンタ分かってんの?」
そう言われたニーナは、自分より背の低い幼女から目を
「あ、え~と、その………と、とりま帰ったよ、ママ――」
この一言で、目の前に立つ
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