7. 叫び
はじめまして
出会った時は優しかった
笑顔で僕を撫でてくれた
一緒に遊んでくれて
一緒に寝てくれて
とても幸せだった
月日が経つと
僕に構ってくれることが少なくなった
散歩に行ってくれることも
無くなってしまった
それでも僕はご主人様が好きだった
時々見せてくれる笑顔は
はじめましての時と何も変わらない
僕はそれだけで幸せだった
ある日車でお出かけすることになった
いつも以上に優しいご主人様
僕は期待に満ち溢れていた
車のドアが開く
そこには大きなお家
ご主人様は
『じゃあね』
その言葉を残して去っていった
なんで僕を置いていくの?
その理由は僕にはわからなかった
家の中は冷たかった
時々泣き声のような鳴き声が聞こえる
寂しいよ
冷たいよ
ご主人様、迎えに来てよ
僕はご主人様を信じて待ち続けた
けれど再びご主人様が僕の前に来ることは無かった
僕は移動することになった
僕のお友達がいっぱいいる
けれど皆悲しそうな表情をしていた
僕が入ると同時に部屋の扉が閉まる
冷気をより一層強く感じた
僕は咄嗟に思った
『このままじゃ、僕は殺される』
叫んだ
今まで出したことの無い、大きな声で
『ご主人様、助けて』
他の皆も叫んでいた
僕と同じように
ご主人様に助けを求めて
けれどその叫びは届かなかった
無慈悲に部屋に広がる白い煙
それが死を意味していることは僕にもわかった
なぜ僕は
殺されなければならなかったの?
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