第21話 ペロル、またもや地図を作る
「お受けします。それでどの程度の地図を作成すればいいですか?」
「それはペロル君が一日で探索できる範囲で構わない。今後範囲が広がっていくにつれて提出してくれれば報酬は先渡しで構わないよ。それに書類の中には大至急、領主様の元へ送り届けて欲しい物があってね。それの準備を行うから一日探索に出かけて欲しいんだ」
「分かりました。では明日は探索に費やすとして明後日こちらに出向きます」
「頼む」
話しは終わり、ペロルは館から退出する。お金はあるためきれいな宿屋を探し、宿泊した。
次の日になると、街を出て円形に外を駆け回る。三時間は走った頃にマップに赤い点がついた男が殴りかかってきた。もちろんペロルには当たらないが。
「あんたら、何の用だ?」
ペロルが話しかけるも男の集団は何も発することなく武器を取り出し攻撃してきた。相手にしていられないペロルはその場を逃げ去り、マップ埋めの作業に戻る。その時に例の声が脳内に響いた。
朝から夕刻まで走り続けたペロルは街に戻る最中に一般の出入り口に殴りかかってきた男たちがいるのを発見した。マップを確認してもその男たちだけ赤色で表示されている。
ペロルは貴族門にいる門兵に殴りかかってきた男たちのことを話して、宿屋へと向かった。
その夜を後にその男たちの姿を見たものはいなかったという・・・。
次の日、地図を書きあげたので領主代行の館へ向かう。今回は到着と同時に執務室へ通された。部屋の中に入ると徹夜明けなのか目元に隈を作った領主代行の姿があった。
「ペロル君、早い到着だね。ソファに腰かけてもう少し待ってくれるかい。書類を書き上げてしまうから」
ペロルは言われた通りにソファへ腰かけ領主代行が書類を書き上げるのを待つ。スキルを確認するのに熱中していると領主代行はいつの間にか目の前に座っていた。
「ようやく気付いたようだね。ペロル君。これが領主様に届けてもらいたい書類だよ」
ペロルは書類を受け取るとストレージの中にしまい込み、ストレージの中から昨日作成した地図を取り出した。
「領主代行。これが昨日作成した地図です」
「これを一日で。確かに受け取った。店舗は次に来るときまでには準備しておくよ。従業員なら多少はペロル君の要求を受け入れることができるけれど何かあるかい?」
「とりあえずは、受付兼帳簿を付けられる人とその護衛がいれば大勝負です」
「分かった。それでペロル君はもうデュロットへ向かうのかい?」
「はい。領主様から受け取った通行証を使ったからなのか変な輩に絡まれていますので」
領主代行は眉をひそめた。
「その情報を誰かに話したかい?」
「門兵の人に伝えましたよ。帰ってくるときに一般門に並んでいたので顔も覚えているはずです」
「なら大丈夫だと思うが、一応警戒しておくよ」
話しは終わり、スティーリアの街を出たペロルは、デュロットの街へと向かって走り出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます