第20話 ペロル、スティーリアへたどり着く
「規定条件を達成しました。スキルポイントを一、ステータスポイントを二獲得します」
予定通りスティーリアに到着するまでに例の声が三回聞こえた。AGIが上がっても半日走り続けなければ能力が上がらないことから規定条件の距離は伸びているようだ。
ステータスポイントは貰えるたびにMPとAGIに一ずつ振っている。スキルポイントは五残し全てオートマッピングのスキルレベルを上げてみた。すると街の外に赤い点が無数に見えるようになった。これが全て魔物で、私に戦闘能力があれば迷わず狩りに向かったであろう。
しかし。戦闘能力を持たない私は危険を避けるために能力を使う。そのうち魔物の住みかを冒険者に教える代わりにお金でも貰おうかとも考えたが地図に関することは軍事機密に当たることを思い出し、やめた。
街に入る順番がやってきて領主様から頂いた通行証を見せると。
「次からは貴族門を通ってください」
と門兵に言われてしまった。そんな物を渡した思惑が分からないペロルであったが使えるものは使っておこうと開き直った。
門を通ったところで門兵に止められた。
「すぐに迎えの者が来ますので暫くお待ちください」
ペロルは通行証を眺めながら待っていると馬車が到着した。行き先を伝えるとすぐに向かってくれるようだ。こんな好待遇を受けたことのないペロルは感激していた。
領主代行の館へ着いたペロルはまた部屋に閉じ込められ待たされた。次はマップを確認して時間を潰していると、赤点が街の中にあることに気づいた。
「赤点が魔物だという判断が間違っていたのかな?」
なんて一人ぼやいているとメイドさんが迎えに来てくれた。連れていかれたのはどうやら執務室のようだった。メイドさんがノックする。
「代行。お客様をお連れしました」
「入ってもらえ」
メイドさんはドアを開き、お辞儀をして前を開けてくれた。
中に入れと言うことなのであろうと察したペロルは部屋の中に入る。するとドアは閉められた。
「すまない。もう少しで手が空くからソファに座って待っていてくれ」
そう言われたペロルは遠慮なくソファへ座らせてもらった。数分待つと書類を読み終わった領主代行がソファへと座る。
「それで領主様の通行証を持つ君が一体なに用でここに来たのかな?」
「お届け物です」
そう言ってペロルは領主様に預けられた書類を机の上に置いた。領主代行は目を見開いた後、ため息をついて書類に目を通す。
「ほぅ」
そのため息をついて書類を読み終わった領主代行はペロルへ話しかける。
「君に仕事の提案だ。ペロル君。この街周辺の地図を作ってくれないかい?報酬としてこの街にも君の作る商会の建物と従業員を準備しよう。どうかな?」
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