第16話 ペロル、感動の再開を目撃する
ペロルが東村にたどり着くと、前回来た時に入り口にいた男と子どもの母親が村の出入り口にいた。
ペロルが速度を緩め、次第に歩きになると逆に母親が走ってペロルに詰め寄ってくる。ペロルは立ち止まり背負っていた子供を手で抱えると母親は泣きながら子どもを抱きかかえた。
まだ村の外だったためペロルは母親の背中を軽く押しながら村の中へと促す。子どもの方は久しぶりに母親に会えたのがうれしいのか笑顔だ。村の中に入ると母親はペロルに何度もお礼を言っていた。
子どもを母親の元へ返したペロルは事の経緯を話しに村長の家へと向かう。マップを使えば家の位置などは分かるため門を守っている男の同行は遠慮しておいた。
村長の家にたどり着き扉をノックする。
「どうぞ。入ってください」
と返事が返ってきたので遠慮なく中に入らせてもらう。入ってきたのがペロルだと気づいた村長は詰め寄り早口で話しかける。
「あの子はどうなりましたか?」
「村の入り口で母親の元へ返しましたよ。治療を受けて元気になっています」
そう聞くと村長は緊張が解けたようで腰を下ろした。
「村の子どもを救ってくださり本当にありがとうございます」
「私はできることをやっただけです」
ペロルは謙虚にこう口にした。
「それでも村長として礼を言わせていただきます。それで何か欲しい物でもありませんか?」
「欲しい物はありませんね。街での仕事でお金も手に入りましたし、私は筋力がないため食料を貰っても帰りで魔物の餌になってしまいます」
ちょっとふざけた風に話してみたが、村長は納得いかない顔をしている。
「それでは貸し一つと言うことで、何かあった時には頼らせていただきます」
それを聞いて少し不満げだが納得してくれたようだ。
「それでは今日は止まっていってください」
「では遠慮なく」
そうして夜は村長宅で宴会が開かれた。村中の人が集まり、ペロルはこの時初めてお酒を飲んだのだった。
そして日が昇り、ペロルは初めての二日酔いを体験する。この時ペロルはもう二度とお酒を飲まないと誓ったのであった。
思わぬ襲撃にあい村で二日目を過ごしたペロルは三日目にようやく体調が戻りデュロットの街へ帰ることになった。手紙の配達がないかを確認したがなかったのでそのまま街に向かった。
東門へ着き身分証を見せると、兵士から兵長が呼んでいると伝言を受ける。日はまだ高いため、兵士詰め所まで向かった。部屋に通されたペロルの前には兵長の他に立派な鎧を着た男が一人佇んでいた。
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