第470話
「交換できちゃった……」
よくよく考えたらディメンションルームと魔力体生成装置どちらの方が希少度が高いかなんてどうでも良くない?
魔力体生成装置は凄い魔導具だけど。
デメリットもあるし、ベアトリーチェの身代わり人形があるから使う事無いんだよね。
もっとレベルの高い魔力体生成装置なら話は違って来るんだろうけど。
まぁ、交換しちゃったものは仕方ない。
使い道が無い訳じゃないし上手く使わせて貰おう。
それにしても、魔力で使用者そっくりの義体
を作り出し。それに使用者の魂を入れる事で
擬似的に残機を増やす事が出来る魔導具より。
生き物が生活する事が出来る空間を作り出す事が出来る魔導具の方が希少度が高いか……
(初攻略報酬の受け渡しが終了致しました。今から10分後に当ダンジョンと繋がりのない生命体は当ダンジョンからの強制転移を行います)
おっと。考え事している暇は無さそうだ。
あと10分でダンジョンの外に放り出されてしまうらしい。
ダンジョンマスターが、どんな魔物なのか知らないけど。
ダンジョンマスターのドロップ品なら良いものが含まれているはず。
遭遇する前にぶっ倒しちゃったからドロップ品が何処に落ちているかも分からないからな。
急いで砦内に侵入してそれっぽい部屋を探し回る。
「これがダンジョンマスターのドロップ品?ダンジョンの初攻略報酬の他にランダムな初討伐報酬も貰えるって話でしたけど。ただの木の棒が初回討伐報酬?」
そう言って古池さんが地面に落ちた木の延べ棒を拾い上げる。
「それは━━━」
(時間になりましたので、当ダンジョンと繋がりのない生命体の強制転移を開始します)
見た目はただの木の延べ棒に付いて説明しようと口を開いた瞬間、強制転移を開始すると言う念話がとどく。
結果、説明は強制終了。目の前が真っ白にそまり視界が回復すると即席迷宮の入口を隠すように設置されていたSCSFの天幕の中に立っていた。
「なっ!映司様っ」
「あ〜驚かせてしまって申し訳ございません。即席迷宮は攻略すると外に強制転移させられるみたいで……」
天幕の中に突然俺たちが現れた事で驚き銃を構えるSCSF隊員達を落ち着かせる。
・
・
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「成程。それでは、このダンジョンは無事攻略されたと言う事ですね」
「えぇ。無事攻略する事が出来ました。入り口も既に消滅してしまっているから直接皆さんが確認する事は出来ないですけど……
撮影した動画を無修正でお渡しするのでそれで納得して頂けると」
「入口があったとしても我々の実力では中に入ったら命がいくつあっても足らないですし。映司様がここで嘘を言う理由がないです。無修正の動画ファイルも頂けるということですし」
ここで説明に時間を取られるかもと構えていたけど。
特に止められることなく直ぐに開放された。
クラリスさんに俺たちが即席迷宮に挑戦している間に宿の手配をお願いしておいたので、クラリスさんに電話をかけてどうなったか確認する。
良い宿の予約を当日に取る事なんて無理かなと思っていたけど。
このご時世旅行しようと言う人は減っているので、予約をとる事が出来たようだ。
予約を取れた宿の名前を聞いてマップで位置を確認。宿に向かって移動を開始した。
「効果としては桜島ダンジョンの温泉の方が高いだろうけど。他の温泉に入るのもやっぱり良いもんだな」
温泉から上がり。入口の傍にある長椅子に座りコーヒー牛乳を飲みながら会話をする。
この宿の温泉に混浴は無いので一緒に男湯に入った古池さんとだけど。
「ホント、少し前まではこんな生活をする事になるとは思っても見ませんでした」
「確かにそれは俺も一緒ですよ。と言うか世界がこんな事になるなんて予想出来なかったでしょう」
まぁ、八咫鏡のおかげで事前に知ることが出来た人たちもいるけど……
その人たちが真面目に頑張ったおかげで日本にしては物凄い速度で法整備が進んでいるから。
この事について文句を言うことはないけど。
「それもそうですね。こんな世界になるなんて、妄想している人はいても実際にこうなるなんて予想出来た人はいないでしょう。それはそうと。あの生地を伸ばす時に使う麺棒そっくりアレ、なんなんですか?」
そう言えばアレの説明してなかったね。
マジックバッグから木の棒を取り出して説明を始める。
「これはアレだよ。最遊記に出てくる如意棒」
そう言って10cmぐらいの長さで麺棒にしか見えない木の棒の長さを伸ばす。
建物の中だから邪魔にならないようそこまで伸ばしたわけじゃないけど。
それでも、これが普通の麺棒じゃないと分かって貰えただろう。
見た目は木だけど。鉄の剣と打ちあったら逆に鉄の剣を刃こぼれさせる事が出来るし。
ミスリル性の剣とも打ち合える強度持っている。
如意棒なのでデカくするだけじゃなく小さくする事も出来るので、持ち運びも便利。
中々に使い勝手がいい武器なのだ。
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