第466話
「ブレイブゴブリン……ゴブリンの勇者か」
見た目はただのゴブリンと同じだけど。
装備と自身が放つオーラが、ただのゴブリンとは別物と理解させてくる。
「まぁ、だから?って話だけど」
一瞬で俺に距離を詰めて袈裟斬りにしようと振りかかって来た剣を人差し指と中指で挟み止める。
「なるほど。人間の勇者は魔物と戦闘する時パワーアップするけど。魔物の勇者は人類と戦闘する時にパワーアップするのか」
俺は、これでも一応人類カテゴリーだからね。
それにしても、その能力勇者じゃなくて魔王で良かったんじゃないの?
いやまぁ、別にどっちでも良いんだけど。
流石にソフィアに戦わせるのは危険かな。
ロスならブレイブゴブリンの勇者バフを発動させずに戦うことが出来るから問題ないと思うけど。
攻撃されたのは俺だし、俺が倒しちゃってもいいだろう。
掴んでいる剣を話して回し蹴りを叩き込む。
ブレイブゴブリンは持っていた剣と魔石を残して消えていった。
ゴブリンの中では超強いし、勇者の力で更に強化されているとは言っても所詮はゴブリン。
俺と戦えるほど強くはなれなかった訳だ。
「聖剣ガラティーンねぇ……」
ドロップした剣を鑑定モノクル確認してみると聖剣ガラティーンと表示された。
聖剣とは言えレプリカでは無く本物。
いや、ダンジョンで手に入った物な時点で本物では無いのか?
「折角の聖剣だけど……誰か使いたい人いる?」
太陽の元でガラティーンを使い戦っている間疲れて動きが鈍る事は無く魔力も高速で回復し怪我も高速で再生する見たいだけど。
この効果を発動させるには聖剣を振るうにふさわしい剣の腕を持っている者が使う必要が有るみたい。
知り合いで使いこなせそうな人って言うと
エリックさんかロイヤルナイトぐらいかな?
とは言えE国と言えど。ホイホイ他国の人に渡せるものじゃないからな。
名前的にはE国にあった方がしっくりくる気がするけど……
ナディアさんも使えるかも知れないけど。
ナディアさんが使うのはレイピアだからな。
効果を発動させる事が出来るレベルでガラティーンを使いこなすのは難しいんじゃなかろうか。
そう言えば。E国には聖杯が封印されていたり。
ロンゴミニアドの話は更にヤバい品物である聖杯に目を向けさせないように作られたものだけど。
本物の聖剣や聖槍が安置されていてもおかしくない。
そう考えるとダンジョンで手に入るレプリカとついてない聖剣も本物という訳ではないと言う可能性が高くなったか?
結局、証拠の少ない中での推理でしかない訳だし。リーリンさん辺りにでも聞けばアッサリ答えが得られるだろう。
今考える必要は無いな。
「……使いたいって人がいないみたいだから一旦俺が保管しておく事にして先に進もう」
ちょっと予想外な敵とドロップだったけど、あいつはダンジョンマスターじゃないし何時までもここで話している場合じゃない。
「ん?映司殿、少しこの木を確認させてくれないか?」
ゴブリンワイズマンやゴブリンソードマスターと言ったゴブリン達を倒しながら平原を進んでいると目的地とは少し外れた方向に木が生えている場所を見つける。
ゴブリンの弓兵が木の上から不意打ちを狙って来たりしそうだし。
目的地とは方向が違うから行く必要はないかなと思っていたらナディアさんから待ったがかかる。
「あの木に何か気になるところが?」
この即席迷宮は超強化されたゴブリン達しか出現しないと思ってたけど。
実はあの木も魔物とか?
「いや、私が暮らしていた世界に生えていた。この世界で言うメープルシロップが作れるような甘い樹液が採れる木に見た目が似ていたので、もしかしたら甘い樹液が採れるのでは?と思ってな」
あぁ、そう言う事ね。メープルシロップが作れるような樹液が採集出来るなら採集していきたいけど。
樹液を集めるのって凄い時間がかかるよね?
このダンジョンは時間制限があるから樹液を集めるのは難しそう……
そうだ。木ごと持ち帰って樹液の採集は別のところでやれば時間を気にする必要無くなるな。
いや、それこそ簡単に出来ないだろうと言われそうだけど。
フィロの力を借りればちょちょいのちょいだ。
「という訳で、フィロを呼びに1度帰ろう」
俺無しで、この即席迷宮の中にいるのは最悪の事態も全然有り得るので全員で1度家に帰る。
家に帰り日光浴していたフィロに事情を説明して同行を了承してくれたのでフィロ連れて即席迷宮に再び転移する。
「成程。確かにこの木の樹液は加工すればメープルシロップのような使い方が出来るかと。私は、この木を持ち帰って育てれば良いんですよね?」
「うん。お願い」
「かしこまりました。それでは、皆さん少しこの木から離れて下さい」
フィロ以外が木から離れると空中に植物の種が出現。即座に発芽し蔦が伸びて木にまとわりつく。
フィロは蔦を操って木を根っこごと引っこ抜いた。
一見、力任せに引っこ抜いたようにしか見えないのに木は一切傷ついていないのは流石だな。
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