第455話
大豆を加工したら俺たちにも幾らか分けてくれるみたいなので楽しみにしておこう。
衣笠丼とか結構すきだし、油揚げ楽しみにしておこう。
全部油揚げにせず豆腐、とか厚揚げも持ってきてくれるって話だし。
可愛い狐耳の巫女さんが手作りした大豆加工製品……味だって一級品だろうけど。
それ以上の付加価値が付き添う。
実際に手作りした稲荷狐の写真付きで販売したら凄いことになるんじゃない?
いや、そんな商売しないだろうけど。
俺に報告するために待っていてくれた稲荷狐は早く酒の湧き出る池の方に行きたそうにしていたので、話をするのはここまでにして別れた。
(映司様少しお時間宜しいでしょうか?)
(フィロから念話してくるなんて珍しいね。夕飯の時間までなら時間あるけど。どうしたの?)
ディメンションルームのマジックボックスに俺の分として残っている解体されたクラーケンを収納しているとフィロから念話が来た。
(ありがとうございます。映司様から頂いたマンドラゴラの種があったじゃないですか。
ふと、竜植物として育てたらどうなるんだろうって興味が湧いてきちゃってですね……)
竜植物と言うのはフィロが魔力だけでは無く生命力を使って育てた植物の事だ。
生命力ってのは一度に使いすぎると寿命を削る事になるし。最悪の場合カピカピの木乃伊みたいな姿になって死んでしまう。
なので竜植物を育てることは滅多にしない。
はずなんだけど。気になっちゃったなら仕方ない。
(それで、竜植物となったマンドラゴラに何か問題が?)
(マンドラゴラは魔物だと言う話はしましたよね?)
されたね。マンドラゴラは、れっきとした植物系の魔物だって。
魔法植物と言ったって叫ぶなんて無理だろうからね。
魔物って言われた方が納得出来る。
と言うか植物系の魔物の事を魔法植物と言うらしいよ?
魔物なのに種で増えるの?と疑問に思う人もいるかもしれないけど。
他の魔物だってダンジョンのリソースを消費して誕生する以外にも普通に繁殖して数を増やす事も可能。
なら魔法植物が種で増えてもおかしくないよね?と言うわけだ。
それで、魔物であるマンドラゴラをダンジョンの中で育てる事は出来ないって事で、家の横にあるフィロの畑で育ててるんだから。何か問題が起きたってなると色々と厄介な事になるんだけど?
因みに、魔物であるマンドラゴラをダンジョンで育てる事が出来ない理由は、ダンジョンと繋がりの無い魔物は従魔や眷族でないとダンジョンに入る事が出来ないと言うルールのせいだ。
種状態でダンジョン内にマンドラゴラを持ち込む事は出来るけど。地面に植えてフィロが
育てようと発芽する事は無い。
勿体ぶらないで早くマンドラゴラに何が起きたのか怒らないから教えて?と念話で伝えようと思った瞬間。
ある事に気づく。
俺の眷族が増えてる?
正確には直接俺の眷族と言うわけでは無い。
俺の眷族であるフィロの眷族だから俺の眷族でも有るって感じかな。
俺と直接繋がりが無いからこそ気づくのが遅れてしまった。
(マンドラゴラを竜植物になるよう育てたら地竜になっちゃったって事でOK?)
土とか植物とか石とか鉱石とか纏めて地属性だからな。マンドラゴラも竜になったなら地竜だろう。
(はい。そう言う事です)
仕方ない。マンドラゴラを育てている畑は家のすぐ横だし、地竜になったマンドラゴラに会いに行こうか。
フィロに今から行くからと伝えてマンドラゴラが育てられている畑に向かった。
ーーーーー
「で、そのプルプル震えている葉っぱが地竜になったマンドラゴラでいいの?」
畑に到着するとフィロ以外に誰もいない。
正確に言えば、地面に埋まっているマンドラゴラはいるんだけど……
その地面に埋まっているマンドラゴラの中で一体だけ小刻みに地面から出ている葉っぱを震えさせている個体がいる。
竜の魔力を感じるので、それが件のマンドラゴラで、間違いないだろう。
「申し訳ございません。さっきまでは地面から顔を出していたのですが。映司様が怖かったらしく……」
「そう言う事なら仕方ない。それにしても竜なのにノーマルワイバーンより弱いんじゃない?この子」
上位のワイバーンであれば下位の竜より強い個体がいてもおかしくないけど。
ベースがマンドラゴラだからかリンゴ達みたいな普通のワイバーンより弱そう。
と言うか現状でもリンゴの方が強いと思う。
シェリル達に関しては1VS1なら互角の戦いするかな?ぐらいの強さだ。
「それは私が与えても寿命が減ったりしない程度の生命力しか与えていないからでしょう」
成程。確かにそれは有り得る。
まぁ、フィロに無理されても困るし文句言うつもりは無いけど。
いくら弱いと言っても竜は竜、ポテンシャルは高いはずだ。
レベルを上げて進化すれば地竜になったマンドラゴラも竜として恥ずかしくない強さを手に入れる事が出来るはずだ。
それにしても地竜になったマンドラゴラか……
うん、長いから今度からマンドレイクって呼ぼう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます