第450話
「そう言えばクラリスさん。朝ソフィアの様子がおかしかったけど。大丈夫そう?」
今朝のソフィアは、なんか心ここに在らずって感じで、ずっとボーッとしてたから悩み事でもあるのかな?と少し心配している。
直接あって確認すれば良いんだろうけど。
今は家に居ないみたいだし。何処にいるか分からないから。帰ってくるのを待ってるしかないんだよね。
「あ〜。大丈夫です。今日はベアトリーチェ様のところでウエディングドレスの話をしに行っただけなので」
「そうなの?まぁ、そう言う理由だったら俺が深堀するのは止めた方がいいか」
「ウエディングドレスがどんなものか詳しく聞かなければ問題ないと思いますよ?」
「そう?まぁ、ソフィアから話してくれるのを大人しく待つことにするよ」
この後、色々すっ飛ばして『結婚式一週間後に開くことになった』と自分から伝えることになる事を映司は知らない。
ーーー
「それじゃ。終わったら連絡ちょうだい迎えに来るから」
クラリスさん達を岩見ダンジョン前に送り自分は伏見稲荷大社の目の前に転移する。
「前回はこの鳥居をくぐったら神域に入っちゃった訳だけど……やっぱりダメか」
前回と同じように鳥居をくぐってみたけど。
ただ鳥居をくぐっただけで何も起こらない。
何となくそんな感じがしたんだよね。
となると、どうやって稲荷狐達と接触しようか……
伏見稲荷大社の敷地内にいればあっちから接触して来てくれるかな。
とりあえず境内にお参りしようと進み出すとこちらに来てくださいと手招きするケモ耳巫女さんを発見する。
ケモ耳巫女さんなんて目立つってレベルじゃないだろうに、俺以外に彼女に視線を向ける人は誰一人存在しない。
まぁ、警戒する必要はないだろう十中八九稲荷狐だし。
狐獣人の姿になれる稲荷狐は最低限稲荷狐の力を使いこなせるようになっている稲荷狐なので認識阻害ぐらいお手の物だろう。
ケモ耳巫女さんの方に向かって行く。
「ようこそいらっしゃいました映司様。申し訳ございません。ただいま宇迦之御魂神様、荼枳尼天様ご不在につき神域への道は閉ざされておりますので神域に入る事は不可能となっております」
神様達は、もう出雲大社に行ってるって事なのかな?
まぁ、出かけるなら戸締りするのは当然か。
「神域に入りたいと言うよりは、異世界で数十m級の魔物を2体しとめて持ち帰って来たけど。解体をどうすれば良いかな?って考えた時に稲荷狐さん達に手伝って貰えないかなと思って今日は来たんだ」
「なるほど。神々の宴会に持参される食材と言う認識で間違いないでしょうか?」
「その認識で間違ってないよ」
「そう言う事なら。上への報告は事後報告で問題ないですね。かしこまりました。直ぐに解体ができて今すぐ集合できる稲荷狐に招集をかけましょう」
上への報告は事後報告って辺りで少し大丈夫かな?って心配になったけど。
下手なこと言ってやっぱ無理ですと言われたくないので口には出さない。
流石にこちらの思考を当たり前のようによんで来るのは楓さんクラスじゃないと無理だろうから目の前の稲荷狐さんにはバレていないはずだ。
「これでしばらく待てば稲荷狐達が集まって来るはずです」
なにかしたようには見えないけど。念話で連絡をとったんだろう。
美味しいお茶とお茶菓子を食べながら待っているとケモ耳巫女さんが続々と集まってくる。
思ったんだけど稲荷狐って女性しかいないのかな?
今まで女性にしか会ってない気がする。
狐獣人になっている状態で会った稲荷狐が女性だっただけで、俺があった白い毛の狐状態の稲荷狐には男性も混じっていたのかな?
「ん?電話。クラリスさんからか。もしもし、用事は終わった?」
「はい。今日行うの最後の仕上げだけでしたので」
東京にいる間にできる事は全て終わらせてあって、最後の最後早嶋さん本人が現場に居ないとどうしても出来ない仕上げをしに行っただけだからな。
思ったより早いなと思ったけど。そうでもないのか。
「わかった。それじゃ今から迎えに行く。それじゃ電話切りますね」
さて、どうしようか……まぁ俺がまたここに戻ってくれば良いだけか。
まだ稲荷狐達は集まって来ているみたいだし。
「少しだけ、別のところに行ってくる」
「かしこまりました。こちらの部屋でお持ちしております」
転移をで岩見ダンジョン前に移動してクラリスさん達を家に送って。
伏見稲荷大社に戻ってきて300人前後の稲荷狐達を桃源郷に転移で連れてくる。
「解体して貰いたいのはこれとこれなんだけど……」
クラウドホエールとクラーケンをディメンションカプセルから外に出す。
「クジラに巨大なイカですか。同時に解体をするのでは無く、片方づつ解体した方が良さそうですね。取り敢えず、クジラの方から解体しようと思うのですが。宜しいでしょうか?」
「そこら辺は解体する皆の判断に任せるよ」
「ありがとうございます。それでは早速作業に移らせていただきます」
そう言うと、クラウドホエールの周囲に氷で作られた足場がいくつも出現する。
後は任せておけば大丈夫だなとクラーケンをディメンションカプセルに仕舞い桃源郷を後にした。
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