第448話

「……触腕って事はイカかタコか考える必要無くね?」


触腕ってイカが持つ10本の触手のうち長い2本の触手の事だし。

メナージュさんが触腕って言ったって事はイカかタコどちらなのか考えるまでも無くこの世界のクラーケンはイカって事で間違い無いだろう。


個人的にはタコが食べたい気分だったからちょっと残念だけど。イカも美味しいし落ち込む必要は無い。


……ダイオウイカって別に美味しくないって言うよね?

おっきいイカって美味しく無かったりする?

そんな事を考えながら、狙い易いようにゆっくり海上を飛んでいいるとザバーンと大きな音を立てて触腕が一本海面に顔を出した。


「よし良し予定通り」


水面から顔を出した触腕が俺の事を捕らえようと向かって来たので、躱して吸盤のないところをつかみ。そのまま飛んでいる高度を上げる。


このまま本体を海の中から引っ張り出してやる。


途中までは上手くいっていたが突然ブチッっと切れる感触が伝わって来たかと思ったら引っ張っている触腕が一気に軽くなり抵抗が消える。


「触腕を自分から切って逃げるつもりか」


クラーケンから放出される魔力から本体がどこにいるのかは分かっているので、こうなったらこっちから本体のところに向かうか。


速度をつけて頭から海の中に突っ込み一気にクラーケンの本体のところまで潜水する。


クラーケンを視界に捉えた最初の感想はただただデカイなと言うものだった。


触腕を含めるとクラウドホエールよりデカイ。


なんか面倒な行動をされる前にさっさと倒しちゃおう。


炎で作り出した槍をクラーケンに向かって投擲する。


投擲された槍はクラーケンが防御や回避と言って行動をとるより早く本体に到達し貫通。


クラーケンの体色が赤から白に変わり体から力が抜ける。



ディメンションボールに収納しようかと思ったけど、1度見せてからの方が良いかと思い炎で作られた鎖を巻き付けた。


左手でクラーケンが繋がれている炎で作られた鎖、右手でクラーケンが自切した触腕を持って海中から脱出する。


それにしても触腕まじで長いな。他の触手が胴体の三分の一ぐらいの長さなのに対して触腕は胴体の数倍の長さがある。


触腕が長ければ長いほど。攻撃範囲が広くなるから、そんな感じに進化したんだろう。

接近された時は逆に触腕を使って迎撃するのは難しくなるのかも知れないけど。

その時は触腕以外の触手を使えば良いだけだしな。



「アレ?心配させちゃいました?」


海面から飛び出すとメナージュさんを先頭にドラゴニュート数人が上空で武器を構えて待機していた。


「自分から海の中に突っ込んで行くような人物が負けるとは思っていない。それでクラーケンはしっかり討伐できたのか?」


「当然」


高度をさらに上げ鎖を引っ張り。クラーケンの本体を水中から持ち上げる。

海から出してもクラーケンからアンモニア臭はしてこないので、少なくとも不味いってことはなさそうかな。


「間違いなくクラーケンだな。……それにしても一撃か。分かってはいたが映司の強さはそこが見えない」


「まっ、そんな事どうでも良いでしょ。それより。この触腕あげるから、あの街の領主と協力して、クラーケンのせいで受けた被害の補填に役立てて」


この街には、また今度改めて海産物を買いに来ようと思っているから。

漁師達がスムーズに復帰出来るように少し支援させてもらう。


「触腕一本を丸々をか?映司は触腕一本でどれだけの価値が有るのか分かっているのか?下位とは言え海竜すら餌にするクラーケンの素材だぞ?」


そんなに強いかな?アレぐらいなら下位の海竜だとしても苦戦はするけど負ける事は無いと思うけど。

まぁ、若い海竜でレベルが低かったらクラーケンに負ける事もあるか。


もしくは、今回倒したクラーケンが若くてレベルの低い個体だったとかかね。


「そう言われても丸々一体俺の物だからね。触手一本ぐらい別にって感じだし」


ーーーーー


「それじゃ。また今度、縁があったら会いましょう」


結局、クラーケンの触腕の三分の一をメナージュさん達ドラゴニュートに渡して街に帰らず。地球に繋がる空間のさけ目が存在する場所に転移した。


クラーケンを倒した俺が街に帰ると色々面倒くさそうだからな。


後処理は誰かに押し付けるに限る。

気前よくクラーケンの触腕を渡すのは迷惑料も込みだからな。



「うーん。結構収穫があったな」


コカトリスの無精卵にマンドラゴラの種。

クラウドホエールにクラーケン。


中々豪華なラインナップだと思う。


「クラウドホエールとクラーケンの解体どうしよう?まぁ、後で考えればいいか」


決して後回しにしていい事じゃないけど。

取り敢えず睡眠を取りたいので後回しにする。


ーーーーー


「もう夕方か。仮眠程度のつもりだったんだけど。ガッツリ寝ちゃったな」


これはまた夜眠くないからオールして日中眠いみたいなループから逃げられなさそう。


この後少し運動して疲れれば夜も気持ちよく寝ることが出来るだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る