第442話
「まさかこうもあっさり倒されるとは……
勝てないにしても、もう少し勝負になると思っておったのだがのぅ。長い間ここに籠っていたせいでナマっておったようじゃ」
「反省する前にリザードマン達をどうにかしてください」
気絶から目覚めて起き上がったラムールさんにリザードマン達をなだめて来てとお願いする。
確かにそうですなと言ったラムールがナイスバルクなイケおじ形態になってリザードマン達のいる方に歩いて行った。
その後、リザードマン達をなだめたついでに洞窟蟹を持って帰って来たラムールさんに追加の龍酒(日本酒)の入った樽を渡して洞窟蟹を受け取る。
用事はこれで済んだので、帰ったら龍酒を追加で作らないとな。と考えながら帰宅した。
ーーー次の日ーーー
「アレ?雷太がいないなんて珍しいな」
学校が終わって放課後。昨日消費した龍酒(日本酒)を補充する為に桃源郷の酒が湧き出る池まで来ている。
いつもなら高確率で雷太がいるんだけど。
珍しく今日はいなかった。
自分のダンジョンの管理をする為にそのダンジョンに直接赴く必要がある場合以外はここにいる事がほとんどなんだけどな。
「雷太はリンゴの面倒を見ているからな。流石のヤツでも赤子を連れてここに来るつもりは無いようだ」
そうだった。早島さんが退院するまで家でリンゴを預かっているんだけど。
リンゴが一番懐いているのは雷太なので雷太にお世話を任せているんだった。
確かにそれじゃここにいないのは当然か。
「龍酒を樽に汲むの頼もうと思ってたんだけど仕方ない。自分でやるか……」
時間かかるのが分かりきっているから雷太にやらせようと思ってたんだけどな。
「そんな事、自分でやらなくとも適任がいるだろう。それこそ雷太より」
「あぁ、ウィーに頼めば樽を洗うことも含めても一瞬で終わらせる事が出来るな」
液体に関する作業ならこれ以上ない適任な存在に声をかけるのを忘れていた。
会社のあれこれで出かけるソフィアの護衛として一緒に出かけている事も多いけど。
今日のソフィアは出掛けず家でプラモデルを組み立てているので、ウィーも家でゴロゴロしているはずだ。
ソフィアが家の中にいるなら、護衛としてずっと傍にいてもらう必要も無いので、ウィーだけ連れて来れば良いか。
一度、家に戻ると家の庭で日向ぼっこしているウィーを見つけた。
交渉の末、給料としてウィーに魔力を上げる
事にはなったが。
龍酒(日本酒)の樽詰を手伝って貰うことに無事成功した。
リーリンさんが何時でも龍酒を飲めるように俺が定期的に酒の湧き出る池に炎の結晶を投げ込んでいるから。池の日本酒は既に龍酒に変化している。
ウィーの協力によって時間のかかると思っていた龍酒の樽詰作業が10分もかからず終了した。
給料として魔力を上げる時間の方がかかったレベルであっさり終わった。
桃源郷から出て伸びをしながら時間に余裕が出来たから食材集めの続きでも行くかと考えていると。
スマホの着信音が鳴る。
誰からの着信だ?画面を確認すると河村さんからだ。
また、なにか面倒事でも起きたかな?
「もしもし、進藤です」
「映司様、ロスです。河村殿からスマホを借りてご連絡させていただいております」
ロスは俺相手限定なら念話を使えるけど。
使用可能距離が短いので電話をかけて来たわけか。
まぁ、俺だって念話でこちらから話しかけられるのは眷族だけで念話を使いこなせている訳じゃないのでロスにこの事で文句を言うつもりはない。
「ロス?いったい何があったの?」
「ワイバーンの赤ちゃんたちが映司様の顔を見たいと言っていまして……」
なるほど。ここは心を鬼にして行かないって言うのも選択肢としては存在するけど。
折角だ、リンゴを連れて会いに行くか。
兄弟なのかまでは分からないけど。ほぼ同時期に生まれた子同士交流させてみるのもありだろう。
「わかった。雷太とリンゴを連れてそっちに行くよ」
「ありがとうございます」
電話を切って雷太に念話で連絡する。
「は?何やってんの?」
念話で何処にいるの?と交差点ダンジョンで
リンゴの戦闘訓練をしていると返事が帰って来た。
人間の尺度で考えちゃダメなんだろうけど。
まだ赤ちゃんだよ?
とりあえず詳しい話を聞いてから判断しよう。
交差点ダンジョンに転移すると直ぐに雷太とリンゴがこちらに向かって飛んで来た。
「リュウの子育てなんて分からないから、ダメでしょ?と言うつもりは無いけど。赤ちゃんの頃から鍛える必要あるの?」
「まぁ、確実に安全な環境で育っている現状なら鍛える必要無いと思っす。でも、そう遠く無いうちにテイマーの女性と暮らす事になるっすよね?そうなった場合、リンゴは自分自身は勿論テイマーの女性も守らなきゃいけないっす」
確かに早島さんが退院し次第、リンゴは早島さんと2人で暮らすことになるだろう。
その場合リンゴは赤ちゃんだとしても守護される側では無く守護する側になってしまう。
確かに、最低限鍛えて上げる必要があるか…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます