第424話
「ん?リンゴは男の子だよ。生殖器は普段、総排泄口に収納されてるからね。一見ついてないから女の子だと判断してたのかもしれないけど。俺が龍の姿になっている時もブルンブルンさせてないでしょ?」
「言いたいことは、もの凄く伝わって来たけど。ブルンブルンはやめなさい。想像しちゃうでしょ」
「想像しちゃうでしょ。じゃないよソフィア。まぁ、リンゴちゃんでは無くリンゴ君です。はい、この話終わり!」
俺自身を例に使ったのは失敗だったな。
自分、メスだと思われていたんですか?と拗ねたリンゴを元気づけながら強引に話を終了させる。
「ん?お腹すいた?」
取り敢えず今すぐ聞きたいことはこれで全部かな。古池さんとナディアさんを回収して家に帰るかと考えているとキュルルル〜と言う音がリンゴから聞こえてきた。
魔物はダンジョンとの繋がりがある状態なら食事は一切必要無いんだけど。
そうじゃない場合は食事が必要になる。
リンゴは当然ダンジョンとの繋がりなんてないし。赤ちゃんだからな。沢山食べないとな。いや、食べ過ぎは良くないだろうけど。
「肉はワイバーンの肉で作ったジャーキーしか無いからな……」
ワイバーンは赤ちゃんだろうと普通にご飯が食べられるので、肉をあげようかなと思ったけど。手持ちの肉はワイバーンの肉しか持っていないことに気づく。
リンゴがめいいっぱい目を見開きジーっと俺の事を見てくる。
いや、正確にはこの部屋の視線全てが俺に集まっている。
「だから、フィロが育てた果物で作ったドライフルーツね」
他に食べ物となると現状持っているのは、それぐらいしかない。
柔らかくして上げる必要は……無いな。
色んな種類のドライフルーツをマジックバッグから取り出して食べたいものをリンゴ自身に選ばせる。
「へー果物を食べるのは初めてなんだ、名前は果物なのに」
リンゴはお母さんは赤ちゃんだからってペット用の粉ミルクしかくれなかったと言いながら色んな種類のドライフルーツを1つずつ食べて味を確かめている。
「ま。赤ちゃんだったらミルクって考えるのは普通だよね。それでリンゴはどのドライフルーツが気に入った?」
「ギャ」
コレ!と言っていちごのドライフルーツを選んだ。
リンゴじゃないだ……と思ったけど声には出さない。
まぁ、本人がりんごが好きでリンゴってつけられた訳じゃ無いからな仕方ないか。
「後は喉も渇いてるよね。ウィー、リンゴの近くに水球を浮かべてくれない?」
ウィーの水は普通に飲めるからな。
その水球の水は飲めるから顔突っ込んで水を飲んでとリンゴに伝えると、リンゴは迷うことなく水球に顔を突っ込んでゴキュゴキュ喉を鳴らしながら水を飲み始めた。
リンゴのお腹が少しポコッとし始めた頃満足したと言いながらリンゴが俺に飛び込んで来た。
「お腹がいっぱいになったら眠くなったか。まぁ、赤ちゃんだからな仕方ないか」
飛び込んできたリンゴをキャッチして抱っこしてあげると、そのまま腕の中で丸まってウトウトし始めた。
「ソフィアさんや、顔凄い事になってるよ?」
ソフィアが俺に抱っこされてるリンゴを見て羨ましそうな顔や嫉妬したような顔、色んな表情にコロコロ変わって、もの凄く面白い事になっている。
「完璧に寝ちゃったな。リンゴが寝ちゃいましたし、今日は帰ります。これ以上ここにいても出来る事無いですからね」
ウトウトし始めたリンゴの頭を撫でて上げるとグーグー寝息をたてて完全に眠ってしまった。
「映司。家に帰ったら私もだっこして」
「分かった分かった。ソフィアの気が済むまでお姫様抱っこして上げるから。ちょっと落ち着こうか」
デートをぶっ潰された不満からか暴走気味のソフィアを宥めつつSCSF支部を後にする。
「そうだ。レンタルしている着物返さなきゃ」
「そう言えばソフィアの着ている着物はレンタルしたものだったね」
似合いすぎてレンタルしている物だってのを忘れてた。
それにしても、古池さんとナディアさんはまだここに帰ってきていない様だ。
まぁ、最初に約束した集合時間まで後30分ぐらい有るからな。
「それじゃ、着物をレンタルをしたお店までだけど。デート再開って事で」
古池さんに最初の集合時間から30分ぐらい遅れる事を連絡してからソフィアと手を繋いでソフィアが着物をレンタルしているお店に向かって歩き出した。
「それにしても、いつもに増して凄い見られるな……まぁ、リンゴが原因だよな」
片手で寝ているリンゴを抱っこしてるからな。
リンゴの存在は周囲からバレバレだ。
俺が抱っこしているからかパニックにはならないけど。いつも以上に周囲の人からの視線が集まる。
後、ボソッと龍とエルフの子供ならドラゴンの姿をしていてもおかしくない?って言ってる人。深読みしすぎですよー。
それと……
「女性を刺した男の仲間かな?こっちに悪意を向けてる連中もいるな」
片手でリンゴを抱っこして、もう片方の手はソフィアと手を繋いでいる。
つまり俺の両手が塞がっている現状ならどうにかなるとでも思っているのか?
手が塞がっている程度であの程度の連中瞬殺にできる。
情報源は少しでも多い方が良い。
無力化してオハナシしたいところだけど。
今はデート中だからな。仕掛けて来ない限り放置でいいや。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます