第408話

「先に言っておくけど。加護の能力を弱くしろとは言う気は最初から無いにゃ」


「そうなんですか?」


「一度渡したものを調整ミスったからやっぱり返してとか神として恥ずかしすぎるにゃ。そもそもラー・ホルアクティとしてラーとホルスの加護を融合させるなんて時点でやり過ぎな加護になるのは分かりきってたことにゃ」


なるほど?まぁ、止めるんだったら加護をさずけようとした時点で一度止めてるって事かな。


「今回はもう遅いとしても。今後加護を与えるような事があったときに、やり過ぎないように釘を刺しておこうと思っただけにゃ」


クラリスさんが弱くならないなら後はどうでもいいや。


ちゃんとバステト神に渡す為に用意したものは渡すけどね。


「先ずはワイバーンの肉とクロマグロ。眷族の龍が育てた果物の盛り合わせです」


「にゃにゃ。どれも美味しそうにゃ!有難く受け取るにゃ。因みに今回の罰としてラーとホルスには分けてやらないにゃ。へのプレゼントと映司が言ったニャンから、それでいいにゃんよね?」


「確かにバステト神への贈り物と言いましたからラー神、ホルス神に分けるかどうかはバステト神の判断でいいと思います」


そもそも、ケツァルコアトルの体の一部を貰ったお返しだからな。

絶望した表情をしているラー神とホルス神には悪いけど。今回は諦めて欲しい。


「後はバステト神は猫の姿をした部下とかいますか?もしいたらと思って最高級猫グッズも用意したのですが」


ラー神やホルス神には分けないと言っても。

自分の部下たちに分けないと言う訳には行かないだろう。

稲荷狐みたいな神の使いが部下としているのかなと思って猫グッズも買ってきてあるんだけど。


稲荷狐みたいに獣人の姿にもなれる感じかもしれないから。猫グッズは使わないかもしれないけど。


「私の目や耳として働いてる黒猫がいっぱいいるにゃ。猫グッズも有難く受け取るにゃ」


猫グッズも思った以上に喜んで貰えた。

というか。『使用感をテストするにゃ』とか言って完全な黒猫の姿になってバステト神自身が猫グッズで遊びだした。


玩具で遊んでる姿は凄い可愛くて癒されるんだけど神様としての威厳はゼロだな。


まぁ、親しみ易いと言うか。必要以上に畏まらないと機嫌を悪くするような神様じゃなくて良かった。


猫って肉食で残虐な一面も持ち合わせているし、バステト神が猫の残虐な一面を全面に押し出したような性格だったらどうしようとは思ってたから少し安心した。


「俺が何も無いはずの砂砂漠に入って長時間出てこないとなると何をしていたのか、怪しまれてしまうので、そろそろ帰らせていただきますね」


既に怪しまれてはいると思うけど。

出来るだけ早く帰るにこした事はないだろう。


それと月曜日の授業に間に合うように飛行機で帰るとなると、あんまり時間に余裕ないし。


そう考えると二十数時間かけてEG国に来て数時間だけの観光だけして帰る訳か……

しかも向かった場所が何も無いはずの砂砂漠

絶対他に狙いが有るって誰でも考えるよね。


まぁ、今更仕方ない。何してたの?って聞かれても観光してただけですが?って答えて乗り切ろう。


「このまま宴会と思ってたけど。それなら仕方ないにゃ。映司達なら何時でも大歓迎にゃ。また来るにゃ」


ラー神とホルス神はまだ絶望しているので特に声をかけずにバステト神の神殿を後にした。


「帰りは真っ直ぐ歩いて入口まで帰れるから行きより簡単にゃ」


シェラはバステト神に語尾ににゃってつけると良いって言われてつけてるって話だけど。

もう完全に自然に語尾ににゃってつけてそう。


意識しないと語尾ににゃって自然につけちゃうぐらいには染み付いてそう。


それにしても帰りもあの長い道のりを歩く必要が無いってのは有難い。


道なんて存在しない砂砂漠だけど。

バステト神の神殿に辿り着くには決められたルートを歩く必要があった。


そのルートがかなり蛇行したり行ったり来たりと複雑だったけど。帰りは真っ直ぐ歩くだけでおっけーらしい。


間違ったルートを歩いたら入口に返されるみたいな仕掛けはないみたい。


あったら、あえて違うルートを通って入口にすぐに帰るなんて事も出来たんだけどな。


無いものは仕方ない。歩く距離は確実に短くなってるんだし諦めて歩いて帰ろう。


「それにしてもこんなに楽な砂漠移動初めてにゃ」


ウィーに俺の周囲の温度を丁度良い感じに調整してもらっているからな。

砂漠を歩いててもエアコンのかかった部屋の中にいるのと変わらない快適さだ。


「流石猫の姿をしているだけはあるにゃ。私もこんな事が出来る仲間が欲しいにゃ」


シェラにはウィーも姿を見せているけど。

猫の姿をしているのも重要なの?確かに猫可愛いけどさ。


姿はさておき。EG国じゃウィーみたいな水精霊は凄い人気がありそうだよな。

水精霊じゃなくても、周囲を冷やしたり出出来る魔物とかも。


温度を自由に上げ下げ出来るならさらに人気が出そうだ。

活躍するのはダンジョン内じゃなくて日常生活でって感じになりそうだけど。


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読んでいただきありがとうございます。

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