第366話

それにしても精霊が宿る武器か。エルフだったり特殊なスキルを持っていなくても精霊の能力を使えるようになるわけでしょ?

戦力の増強に役立ちそうだよね。


勿論、色々条件が有るだろうし。武器に宿るのは嫌だって精霊もいるだろう。

それに精霊が宿っている状態だと一種のインテリジェンスウェポン。意志を持っている武器と呼べるものだろうから。それこそ武器が使用者を選ぶと言った感じで、誰でもお手軽に精霊が宿った武器〈精霊武器〉を使えると言う訳では無いだろう。


「精霊が宿れる、武器探しねぇ。俺が理外みたいに炎を結晶化させて作った武器とかじゃダメなの?」


理外には既に自我が芽生えている気がするので、精霊が宿る武器として使えないだろうけど。同じものを作って精霊が宿る武器とする事はできる。

創造神もそのぐらい分かっているはずだし。

それでいて武器を探して欲しいって言ったということは、恐らく俺が炎を結晶化させて作った武器は精霊が宿るには適していないと言うことだろう。


と言っても、精霊が宿れない理由が気になるのでああ言った質問を投げかけてみた。


「超越者である貴方が作り出した武器なら問題なく精霊も宿る事ができますが今回は属性的な問題から難しいのです。炎の化身と言っても間違いないレベルの貴方が生み出した武器は強力な火属性を宿した武器となります。今回、邪神に対抗するための武器の宿る精霊は光属性です。光の精霊が貴方が宿ろうとしたら存在ごと燃え尽き焼失してしまうでしょう」


なるほど。属性の相性か。

それにしてはウィーは俺から魔力を貰ったり結構な頻度でしているけど。

特に変化がないんだけど。魔力を貰うのと俺が作った武器に宿るのでは難易度が違うって事なのかな。


そこら辺はウィーに聞いてみればいいか。


「今回俺が作った武器が役に立たないのは良く理解出来た。武器探しか…あっさり見つかれば良いけど……」


あてもなく探すことになるなら。都合よく直ぐに見つかるなんて事起きないと思うので。

俺が世界中飛び回って探し回る事になる。

邪神の復活までに精霊が宿るのに相応しい武器を見つけられるか?


それに……


「アンタを復活させるには全力を出す必要があったから混沌大陸の浄化を止めたけど。あれは続けた方が良いでしょ?」


「はい。浄化を続けていれば邪神の復活まで時間が稼げますし。復活後も弱体化が見込めます」


となると、また聖炎を使って混沌大陸を浄化しないといけない。

全力の邪神となんか戦いたくないし。


戦うなら少しでも弱い方がいい。


でも、あれは俺も結構なリソースをさく必要が有る。


その状態だと、理外を使った転移は連続で使えないし。飛行の全速力も落ちる。


つまり武器探しの効率が落ちる。


二兎追うものは一兎も得ずって言うし。

聖炎による邪神の弱体化か邪神に大ダメージを与えることができる精霊武器の作成か。


どちらかに絞った方がいいかもしれない。


「武器探しに関しては完全にあてがないと言う訳では有りません。神鉄100%のその剣に比べて神鉄の含有率はかなり低いですが。神鉄が含まれた合金で作られた武器がテラールと言う街に存在する事が確認できてます」


恐らくですが。神剣(刀身が真っ二つに折れている剣)が真っ二つに折れた時に出た欠片を見つけて溶かし、オリハルコンと混ぜ合わせて作り出したインゴットから作られた武器だろうと創造神が説明してくれた。


確かにこの剣、真っ二つになった部分をくっ付けてもピッタリ食っつかないだろうって、俺が見て分かるぐらいには折れてる部分はボロボロだよな。


切断されたと言うよりは打撃でその部分を破壊されたって感じかな。


その時に発生した破片を誰かが回収して足りない分を別の金属で補うことで武器を作り出したと……


それなら欠片ではなく俺が見つけて拾った本体の方を使って新しい武器を作れば良かったのでは?

この剣は、クレーターの底に埋まっていた事を考えると。砕かれてしまった場所にそのまま放置されたって感じだろうし。


その武器を作った誰かが見つけた欠片のあった場所も本体が埋まっていた近くにあったと思うんだけど。


少し考えて、この武器には精霊が宿っていて意志を持っている事を思い出した。


剣に宿る精霊が欠片ぐらいならまだしも。自分が宿っている本体の方を持ち帰る事を許さなかったみたいな?


「どうやらそうらしいな……」


タイミング良く剣が一瞬光った。

俺の考えを精霊が肯定したって事だろう。


と言うことはつまり。運良く太陽光を真っ二つになってはいるがサビひとつない刀身が反射して奇跡的に気づけたんじゃなくて。

俺が気づくように今みたいに剣自身が発光していた訳か。


それにしてもテラールって確か。俺達が拠点にしていたダンジョンのある、あの街だよな?


名前覚えるつもりが無かったから適当に聞き流してたけど。確かそんな名前だった気がする。


確認の為にソフィアの方を向くと呆れた表情で頷いてくれた。


そうなると。話を聞いた限りでは、魔人たちが、あの街だけにしか襲撃を仕掛けて来なかった理由にもなるな。

魔人たちの狙いはダンジョンの核として使われている邪神の一部ではなく。神鉄の使われている武器だった可能性が高い。



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読んでいただきありがとうございます。


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