第316話
「そして当然のように札幌に向かったと……」
まぁ、行くだろうなって思ってたからあの装備品を渡したんだけどさ。
読んでいる漫画の中に俺がまだ買っていない新刊が発売されている事を知って買いに行こうとリビングに降りると、既にベアトリーチェさんがいなくなっていた。
どうやらダンジョンに入る為、札幌に向かったらしい。
行くとは思っていたけど。はやすぎない?
さっきまでお酒飲んでたし、酔っ払ってやらかさないか少し心配なんだけど……
装備を渡した事でやらかしても俺が責任取ってくれるとか考えてない?
流石にそこまでは考えていないと信じておこう。
「まぁ、下手に止めようとしてベアトリーチェさんが本気で抵抗したら面倒臭いし。口止め料を貰いつつ、最低限のラインは守って貰う感じで行こう」
俺たちがあたふたしていると周りから何かあったんじゃないか?と勘ぐられてしまうので、いつも通り普通に活動しよう。
予定通り、先ずは漫画を買いに行こう。
と言っても、近くに本屋さんがないので、漫画を買いに行くには電車に乗って移動する必要があるんだよね。
クラリスさんに車で送って貰う方法も有るけど。
今日はフィロの野菜を道の駅で販売する件の最終調整があるって話だから頼む事ができない。
学校に転移すれば電車に乗らず一瞬で本屋さんに行けるけど……
本屋の真横に転移すれば良いか。
透明になっておけば姿を見られる事もないだろう。
そもそも札幌に堂々と転移で移動している訳だし、隠れて転移する必要も無い気もしてきてるけど。
取り敢えず。バレないように透明化した状態で本屋さんの近くの裏路地に転移。
透明化を解除して裏路地から出て本屋さんに入店した。
有名人ってのも有るけど。ベアトリーチェさんの件もあって凄い見られる。
かと言って何かされる訳じゃ無いので、気にせず目当ての漫画を買って本屋さんを後にする。
転移を使えば直ぐに買いに行けるし、と思って本屋さんに買いに来たけど。
ネット通販で注文すれば良かったかな。
ネット通販だとすぐに読めないし。
電子書籍があるものは電子書籍を買うようにするのも良いかも知れない。
用事も終わったし家に帰ろうと思ったけど。
そう言えば、SCSFが装備品を販売するお店がオープンしたって話を聞いたな。
武器の所持登録もそのお店で出来るし、魔物からドロップした素材を使って作られた武器、防具も販売してあるらしく結構人気らしい。
何店舗か同時にオープンしていて、そのうちの一つが俺が通っている学校の近くにあるって話だったはずだ。
「折角だし、少し覗いて見るか」
男子として、武器とか防具が売ってるお店ってロマンを感じるし。
途中、偶然目に入ったアイスクリーム屋さんで買ったアイスクリームを食べながらお店に向かって歩く。
程よく苦い抹茶アイスでかなり自分好み。
前にこの辺りに来た時には無かったはずだから、最近できたお店だろう。
と言うか、このアイスクリーム疲労回復の効果が付いてるんだよね。
何となく気になって鑑定モノクルで調べたので間違い無い。
アイスクリームを作っている人が料理系のスキルを持っていると言うことだろう。
料理を仕事にしていた人ならファンタジーアップデートが起きた時に料理系のスキルを覚えた人もそれなりにいたみたいだから。
珍しいって訳じゃないけど。
料理系のスキルを持っている人が居るお店として覚えておこう。
「あのビルが例のお店か。ビル丸ごとお店らしいけど。1階はエントランススペースになっているのか。防犯面を考えてかな?」
武器とか防具とか盗まれたら大変だもんな。
たどり着いたお店は5階建ての小さめのビル。
階事に売っている物が違うらしい。
先ずは5階に武器を見に行く。
エレベーターの前には人がいっぱい待っていたので階段で上がろうと思ったけど。
階段はお店の人以外使用できないらしい。
仕方が無いので、エレベーターが来るのを待つ。
ビルのサイズにしては大きなエレベーターなので待っている人の数にしては少ない待ち時間でエレベーターに乗ることができた。
「思ったより色んな種類の武器があるなぁ〜」
スタンダードな鉄製の武器から昆虫系の外骨格を加工して作った武器。
高い物だと魔鉄製の武器が売っていた。
後、一振だけミスリルで作られた剣が飾ってあった。
飾ってあるという言い方をしたのは書いてある販売額が物凄く高かったから買う人いないんじゃない?と思ったからである。
ちなみにあのミスリルの剣カイゼルが打ったものだと思う。
カイゼルの存在はSCSFに報告しているし。
SCSF所属の生産系のスキルを持っている人に魔物の素材の扱い方を教えるためにSCSFに派遣した事も有るし、その時に打ったものだろうな。
どの武器が人気なのか店員さんにちょっと聞いてみると、昆虫系の魔物がドロップする外骨格を加工して作ったものが人気らしい。
金属で作られたものに比べて軽いし、耐久性も、そこまで悪い訳では無い。
物によっては鉄より耐久度が高い。
そう聞くと人気になるのも当然だと思う。
昆虫系の魔物が外骨格をドロップする確率は高めで集まり易いので、値段もまぁ、頑張ってお金を貯めれば帰るかなって範囲なのもポイントが高い。
見るもの見たし、他の階を見る為にエレベーターを何度も待つのは面倒臭いし帰ろうと思ったけど。
お店に来たのに何も買わずに帰るのも悪いかなと思って、試しに昆虫系の外骨格を加工して作られた剣を買ってお店を出た。
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