第255話

「えっ、じゃあスサノオはケツァルコアトルに気づいてなかったの?」


「そりゃ土御門家の本邸なんて行った事ないし。それにしても、そんなビックネームがいるとはな……」


神の事は神に聞いてみるのが良いだろうと大江山ダンジョンに移動してスサノオに話を聞いてみると、スサノオも今初めて知ったようで、なんの役にもたたなかった。


土御門家本邸に行くのは騒ぎになるからって断られたし。


「まぁ、ケツァルコアトルなら復活させた方が良いじゃないか?人の味方になってくれるだろうし」


神からしても、そう言うイメージなのか。


「神格を剥奪されているだけではなく、更に弱体化している状態なら万が一敵対してもどうにか出来るだろうしな」


「どちらにせよ復活させないと一生付きまとって来そうだし。復活はさせるよ」


情報が必要なら伏見稲荷に行った方が良かったかも。


大江山ダンジョンから土御門家本邸に戻る。


(やっと帰って来たね。それで私を復活させてくれる気になった?)


(そうだね。復活させるよ。と言ってもどうすれば良いの?普通に竜牙兵を作ればいいの?)


神の復活なんて簡単にできると思わないけど…


(竜牙兵を作る時に神力を混ぜる以外は普通の竜牙兵を作るのと変わらないよ)


神力?俺は魔力しか持ち合わせて無いけど。


(魔力のようなエネルギーではなく、君が指にはめてる指輪を作った時に使った物の事だよ)


絶炎が神力って事で良いのかな。


神が使うことが出来るエネルギーじゃなくて。


神が行使する事が出来る力のことを神力と呼ぶようだ。


絶炎を使うとなると俺の消費がかなりキツイことになるんだけど……

やるしかないかぁー


取り敢えず、周りに何も無い場所に案内して貰って移動する。


多分だけど、理外を使って絶炎を増幅させないとケツァルコアトルを復活させる事は出来ない。


そうなると、絶炎で周りに被害が出るかもしれないので、出来るだけ周りに何も無い場所に案内して貰った。


結晶化したあばら骨を地面に置いて竜牙兵作成を発動させる。


あばら骨を中心に魔法陣が現れて、あばら骨が少しだけ宙に浮いて形が徐々に変形していく。


竜牙兵作成がちゃんと発動した事を確認して次は理外を経由して絶炎を作り出す。


現状、増幅した絶炎の制御だけでいっぱいいっぱいなのに、竜牙兵作成の維持もしなくちゃいけない。

こんな状況で絶炎を制御出来る訳が無く、理外から絶炎がボウボウ噴き出る。


これはヤバいかなと思ったけど。

理外から噴き出た絶炎は全て結晶化したあばら骨に吸収されていくので、周りへの被害は出ていない。


魔力量的にもそろそろ限界なんだけど。まだ、絶炎を吸収するのかと思っていたら。

竜牙兵作成の魔法陣がどんどん小さくなっていき結晶化したあばら骨がギリギリ収まるサイズまで小さくなったと思ったら球体上に変形した結晶化したあばら骨がピカッと発光して、余りの眩しさに反射的に目を瞑る。

この瞬間に絶炎を作り出すのも止める。


目を開けると蛇の骨格標本に鳥の翼の骨格が合わさったような、骨の生物が宙に浮いていた。

あんなスカっすかな翼で飛べるものなんだな。


「ケツァルコアトル、これは成功で良いのか?」


「成功も成功、大成功さ」


「それは良かった……」


ここまで消耗して失敗とか言われたら キレてたかもしれない。


と言うか骨なのに喋れるのか。念話じゃないくて普通に会話できてる。


そんな事一々気にしても無駄か……

正直、立っているのも限界、早く帰ろう。

陰陽術について色々聞いてみたかったけど、そんな事している余裕は無い。陰陽術についてはまた今度機会があった時に話を聞かせて貰おう。


「すいません、ケツァルコアトルの復活させるのに消耗しすぎて立っているのも限界なので俺はここで帰らせて貰います。後は土御門家とケツァルコアトルの間で話し合いをして決めて下さい」


面倒事を押し付けて逃げたようにも見えるけど、マジで限界なので、返事を聞かず魔力回復ポーションを急いでガブ飲みして転移で家の自室に移動した。


(新藤 映司がファンタジーアップデート後初めて神を復活させました。報酬として自身以外の任意の生物を1段階種族進化させる事がで可能です。現在のケツァルコアトルの復活度1%)


少し遅れて地球からのアナウンスが頭の中に流れた。


神の復活って凄い偉業だよね。そりゃ種族進化が報酬になっても可笑しくないか。

と言っても俺自身は出来ないけど。

生物と言う言い方をしたって事は雷太とかも選択肢に入ってるって事なんだろうな。


まぁ、考えるまでもなく今回はソフィアを種族進化させるけど。


(ソフィア・パターソンがエルフからアイスエルフに種族進化しました)


アイスエルフ?氷属性の魔法を扱うのが得意なエルフって事か……あ〜ダメだもう限界。


布団をしく元気すら無いので、そこら辺に置いてあるクッションを枕にして絨毯の上に直接横になって目を閉じた。


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読んでいただきありがとうございます。

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