第246話

「普通はどうにもならないっすけど。映司様ならどうにかなるかもっす。理外ならこのブリザードウルフとダンジョンの関わりを断つ事が出来ればテイムできるようになるかもっす」


成程。ダンジョンとの関わりが無くなればテイムできるようになるかもってか。


テイムできる設定されてないって話だけどテイムできないようにされているってのが正しいのかもな。


ダンジョンとの関わりが無くなると言うことは、ダンジョンに縛られなくなると言うことでもある。

眷族になったり従魔になる事でもダンジョンの縛りから開放されることができるけど。

上位者がダンジョンとは別の存在に変わるだけで何でもかんでも自由にできる訳じゃない。


けど、今回は通常と順番が逆になってしまう為。ブリザードウルフはなんの制限もなく自由に活動できる瞬間が生まれてしまう。


本来は眷族、従魔化→ダンジョンの縛りから解放。


今回はダンジョンの縛りから解放→従魔化。


たとえそのタイミングが一瞬だったとしても、BP1,000,000越えの魔物だ。

その一瞬で何を仕掛けて来るか分からない。

そのタイミングで敵対してきたとしても倒せばいい話では有るけど万が一ダンジョンの外に逃げられたら……日本は大変なことになる。


「あ〜。ブリザードウルフとダンジョンの繋がりを断ち切ったら、滅茶苦茶弱体化するはずっすよ。BPがここまで高いのもダンジョンがリソースを使って一時的に超強化しているからっすから」


どうやら本来のブリザードウルフは高くてもBP10,000程度の魔物らしい。


それをリソースを使って一時的に超強化している。

因みにコスパが悪すぎて普通は使われない機能らしい。

リソースがこっち持ちなのと、闘技場の魔物は勝とうが負けようが1戦が終了した時点で消えてしまうから。この機能を使用しているらしい。


それならちょっと安心だな。

本来の強さの状態でも十分日本を滅茶苦茶にできる力を持ってるんだけどね。


「そう言う事ならやってみようか……って思ったけど。折角ならソフィアにテイムさせるか」


ブリザードウルフって名前からもわかる通り氷属性の狼だし俺よりソフィアの方が相性良いと思うんだよね。

それにブリザードウルフをテイムするために習得するスキルにはブリザードウルフをテイムするスキルだけじゃなくて、弓術や短剣術と言った他のスキルが統合されているスキルだ。


物語に登場するエルフって魔法だけじゃなくて弓の名手である事が多いいイメージだし。

ソフィアも弓術を使いこなせるんじゃないかな?


ブリザードウルフは俺がほかの人物にテイムさせようと考えていると気づき嫌そうな素振りを見せた。


自分に拒否権がない事は理解しているので嫌そうな素振りを見せるだけで、暴れだしたりする事はない。


やっぱり従魔になるなら強いやつがいいって事なのかね。


取り敢えず。お前の事をテイムしてもらおうと思っている人物は、俺の婚約者で彼女も氷魔法を使うし、既に水の精霊と契約もしている。

俺より彼女の方が相性良いんじゃないかなと思うんだけど……と説明してみた。


ある程度日本語を理解しているとは言え、理解してもらえるかな?と思っていたら、嫌そうな雰囲気がパッと消えた。


すげぇ賢いな。

その方がこちらとしても助かるけど。


眷族にするよりかは影響しないだろうけど。

従魔も多少はテイマーの魔力の影響を受けるだろうからね。

火属性に曲ぶりな俺より、水、氷属性に寄っているソフィアの方が相性が良いのは確実だからな。

ソフィアの護衛にも丁度良い。


ウィーも護衛として十分な力を持っているけど。見た目が猫だからね。見た目の威圧感がゼロだ。

そもそも姿を隠して護衛しているから一見、護衛がクラリスさんしかいないように見えちゃうんだよね。

透明になって護衛するのはむしろ有難いから、他に見た目からして圧力のある精霊か魔物をソフィアの護衛に出来たらなって考えていた。

サイズはシベリアンハスキーぐらいなので、サイズでビビらせると言う事は出来ないけど。顔はかなり厳つい顔をしているからな。

ブリザードウルフがソフィアの隣にいるだけでいい悪人よけになってくれるだろう。


ブリザードウルフの理解も得られた事だし、先ずはソフィアをこの場に連れてくるか。

理外を使って家との直通ワープゲートを作り出して、もう寝巻きに着替えていたソフィアを闘技場に連れ出す。

ソフィアには事情を説明して既に〈猟師〉のスキルの書を利用してもらっているので、後は俺が、ブリザードウルフとダンジョンの繋がりを断ち切るだけだ。


前に理外を使ってテロリストをレベル、スキルシステムから切り離した事もあるし多分できると思うけど……


理外を構えてブリザードウルフが視界の中央に入る位置に移動する。


自分が攻撃される訳でないとわかっていても、圧倒的強者に武器を向けられていると言うことで、ブリザードウルフはかなり怯えている。


あまり時間を伸ばすのも可哀想だ。

ブリザードウルフとダンジョンの繋がりを切り離す事をイメージしながら理外を横に振った。



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読んでいただきありがとうございます。

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