第239話
「〈魔法陣〉スキルで用意した人工魔導具はやっぱり凄いね。これ量産して自衛隊に配備するだけで凄い戦力増強になりそうだ」
「これを作るには最低10ctの赤系の宝石が必要って考えると現実的じゃないけどな。現状俺の腕だと1ヶ月程度でただの宝石に戻っちゃうし」
俺は闘技場を利用していれば宝石はゴロゴロ手に入るけど。本来10ct以上の宝石を手に入れるにはそれなりのお金が必要になる。
確かに人工魔導具の量産は難しいか。
あと、地味に1ヶ月程度でただの宝石に戻ってしまうって言ってたな。
それってファイアロッド以外の人工魔導具もそうなのかな?
「人工魔導具って使用期限的なものがあるの?」
「そう言えば映司には伝えてなかったな。〈魔法陣〉スキルを何度も使っているうちにその事に気づいた感じ。俺の腕が上がれば使用可能な期間を延ばせると思うんだけど。
現在は俺が使った人工魔導具は1ヶ月程度が寿命だな」
永遠に使える訳じゃなかったのか……
確かに一度作成された人工魔導具が燃料の魔石さえ用意出来れば永遠に使えるとなると〈魔法陣〉スキルが強すぎるか。
それに永遠に使える道具なんてものが存在したら、その時点でチートアイテムだろう。
形あるものいつか壊れるのがこの世の理だし。
そう考えると人工魔導具としての寿命があるのは当然か。
勝彦の技術が上がれば人工魔導具の寿命が延びると言うけど。
ただ単に〈魔法陣〉スキルを使い続けているだけで良いのかな?
何となくだけどそれじゃダメな気がするな。
ドロテアに会わせて見るか?
ドロテアは触媒を使ってアイテムに色々な効果を付与する技術を持っている。
〈魔法陣〉と似ているなと少し思っていたんだよね。
だからこそ引き合わせれば勝彦の為になるんじゃないかなと思っている。
これに関しても独断でやると日本とE国両方の反感をかう可能性もあるので、しっかり確認してからだな。
兎に角、自分で作った人工魔導具が有れば最低限戦うことが出来るって事だな。
次はサティの番だけど。
これに関しては何も心配してない。
ゴブリンごときでどうにかなる実力じゃないし。
予想通り巻き角から放たれる電撃一発でゴブリンたちは魔石を残して消えてしまった。
「そう言えばさ、サティの電撃を人工魔導具化する事は出来ないの?」
それが出来れば、さっきのファイアロッドより強力な武器になると思うんだけど。
「攻撃関係に関して言えば、攻撃力が高ければ高いほど。大きさだったり質だったりそう言うのがいい物じゃないと魔法陣化して宝石に刻むことが出来ないんだよね。さっきのサティの電撃だったら最低でも50ctぐらいあるエメラルドがないと魔法陣化して人工魔導具の核として利用することは出来ない」
50ct?正直一般市民には想像しずらいサイズだけど。
手に入れようとしたらすっげー高いんだろうなと言う予想はつく。
「それは作るの難しいだろうね」
「そう言う事」
〈魔法陣〉を所持しているのが勝彦だけとは限らないんだし。
そのぐらいのバランスの方が安心っちゃ安心か。
〈魔法陣〉スキルを使える人が味方とは限らないんだから、チート過ぎるのも困る。
「とりあえず交渉材料が2つ用意出来たな」
「と言っても今の時代、何時どこで理不尽に殺されても可笑しくない。しかもそれなりの確率で、その理不尽に抗えるように少しでも強くなりたいって言ったら、借金を返すためにダンジョンに潜りたいって言った時より反論されなかったから、これがなくても何とかなるかも?」
俺がお節介をかける必要はなかったか。
そう言うことならこれ以上俺が何かする必要ないか。
その後現れるゴブリンを倒し罠を回避して進んでいると腰蓑ではなく皮鎧を装備したゴブリンが待ち構えている部屋にたどり着いた。
皮鎧を装備しているゴブリンがこちらに気づいたと思ったらベルトに装着されていた角笛を手に持ち、角笛を鳴らした。
ブォ〜と言った低めの音が部屋に響き渡ったかと思うと、皮鎧を装備したゴブリンの周りにゴブリンが5匹現れた。
仲間を呼ぶ笛か。
「メェェェ」
いくら皮鎧を装備してさっきまでのゴブリンより強そうと言っても所詮ゴブリン。
サティの電撃で取り巻きを含めて一撃だった。
ゴブリンと言えどもっと上位種なら話は変わってくるんだろうけど。
ど素人がダンジョンになれるために作られたダンジョンだからな。
このダンジョンで出現する魔物中で一番強かろうと魔物全体から見たら雑魚も雑魚だよな。
「あっさりすぎて何か可哀想って思っちゃった。って魔石以外のドロップ!」
確かにボスと取り巻きたちのドロップは殆ど魔石だけど1個だけペラッペラの金の板?カード?見たいのがドロップしている。
鑑定モノクルで確認すると1gだけだけど純金のカードのようだ。
「これだけで8,000円位で売れるね」
恐らくボスのドロップだろう。
昨日は4時間で手に入れたドロップ全て売って8,000円ぐらいだったからな。
このダンジョンで手に入るドロップとしてはかなり高価なんじゃないかな?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます