第235話
「許可が必要とは言え、武器を持ち歩いて外を歩ける時代か……そう考えると物凄く物騒な時代だよね」
「実際にテロの情報をニュースで見ているだけじゃ実感わかないかも知れないけど。相当物騒な時代だよ」
俺の存在や自衛隊やSCSFがダンジョンでレベルを上げて力をつけた事が抑止力となって日本国内での大規模なテロ行為の発生数は治まってきているけど。
ゼロになった訳じゃ無いし。
小規模なものなら毎日起こっている。
そう考えるとダンジョンの一般開放はそう言った連中に力を与える事になってしまうので、勢いづかせてしまうんじゃないか?と思う人もいるだろうけど。
一般人のダンジョン解放を行わないとスタンピードやレッドムーン、異常種がダンジョン外に出てきた時に一般人の被害が凄まじい事になってしまう。
それに人間はダメと言われるとやりたくなる生き物だ。
ダンジョンは危険一般人は立ち入り禁止ってなったら絶対やらかす連中が出てくる。
「兎に角、今日は帰ろう明日も学校がある訳だし。続きはまた明日放課後にって事で。
あぁ、そうだ。今日手に入れたドロップ品はSCSFに売却する事になるから勝手に売っちゃダメだよ?」
ダンジョンの一般開放後もダンジョンで入手したものは迷宮省が買取り、迷宮省が各企業に売却すると言う方法が取られる事に決定している。
ダンジョンで入手出来るものには危険物も存在するので、勝手に冒険者と企業で取引されると、その危険物を悪用される可能性があるだろうと言うことからの処置だな。
企業からしたら文句もあるだろうけど。
妥当な処置だと俺は思う。
迷宮省が売却する時に金額を殆ど上乗せしないって話だし。
上乗せする代わりに政府の収入が増えるんだから、税金をその分減らす見たいな案もあったようだけど。
どれだけの収入になるのか正確に計算する事が出来ないので、それが実行されるとしても早くて1〜2年後だろうって河村さんは言っていた。
それに今回青木さんがSCSF以外でドロップした魔石を売却したらなんで女子高生が魔石を持っているって騒ぎになっちゃうからね。
「因みに、今日手に入った魔石を売ったらどれぐらいの儲けになるのかな?」
「だいたい8,000ぐらいかな」
「命懸けだったのにたったそれだけ!!」
「ゴブリンの魔石とか200円ぐらいにしかならないからね。流石に武器を持っていれば誰でも倒せるような魔物の魔石だからそこまで高く買い取って貰えないんだよ」
そこまで苦労せず手に入れられる物だからね。その分値段は安くなってしまう。
「まぁでも時給換算したら2,000円って考えると中々稼いでるって気になってくるんじゃないか?」
このダンジョンに来てだいたい4時間。
8,000円稼いでる訳だから時給換算2,000円って訳だな。
「確かに高いように感じるけど。8,000を3人で割る訳でしょ?1人あたり約2,600円時給換算650円だよ?」
そう考えると冒険者で稼ぐのは大変かもな。
魔石の需要が上がって魔石全体の買取価格が上がるとかなれば話は変わってくるだろうけど。
現状だと弱い魔物を相手している間はコンビニでバイトしている方が稼げるって感じって訳だな。
「このダンジョンがガチの初心者用として設計されているからってのも有るよ。実力や人数を考えてダンジョンを選べば、もうちょっと稼げると思うよ。それと今日の稼ぎは俺は受け取る気ないから」
「俺もだな。交差点ダンジョンでガーゴイルシバいてるからお金は持ってるし」
ガーゴイルは0,01ct〜0,5ct程度の宝石をドロップするからな。
サティがいるならガーゴイルも楽々倒せるだろうし。
そこそこの金策にはなるよね。
「狙う魔物次第では稼げるってこと?」
「その分魔物も強くなるけどね。勝彦が言ってたガーゴイルは小さな宝石をドロップする事が有るけど。さっきのゴブリンの数十倍の強さだし、そのガーゴイルより少しだけ強いレッサーデーモンって魔物も出現するからね。少なくとも今の青木さんが1人でガーゴイルを倒しに言ったら確実に死ぬことになるよ」
勝彦と一緒に行けば問題ないだろうけど。
勝彦自身は戦闘系のスキルを持っていないので、基本サティに頼る事になる。
2人を護衛しながら戦うとなるともしもの事だって有るだろうし、やっぱりやめた方がいいだろうな。
「結局、簡単に稼ぐ方法はないって事だね」
「無理をせず地道にレベルを上げて装備を整えて、安全に魔物を倒してお金を稼ぐのが一番だろうね」
勝彦がいるんだし、俺なしでもダンジョンに潜る許可を頑張って母親から貰えばそのうち安定して稼げるようになると思うけどね。
まぁ、勝彦のお願いだし俺も少しは協力して上げるけどね。
勝彦とサティも頼りになるって所を証明出来れば良いと思うし、明日は俺がサティの戦闘シーンの動画でも撮ってみるか。
勝彦に関しては逆に不安にさせるかもしれないから、要相談だな。
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