第220話



「やっぱりアンデッドがメインで出てくるダンジョンは臭うね」


「まぁ、腐っている訳だしね。ここの場合地面も腐ってるし」


そうなんだよな。このダンジョンは腐ってるアンデッド系が出現するだけじゃなくて地面も不浄な土と言う腐った土で構成されている。


因みにダンジョンにいるだけで状態異常やデバフを受けるのはこの土が原因らしい。


匂いを軽減してくれる装備を装備して先に進む。

ダンジョンを最初から溶岩湖にしてしまうのは勿体ないので、先ずは普通に探索する。

見つかってない宝箱とか良い採集物が見つかるかもしれないし。


「それにしてもこの土は厄介だね」


俺は理外のおかげで状態異常やデバフを受ける事は無いけど、近くにいるだけでアンデッド系以外は状態異常やデバフを確率で付与されてしまうと言うのは中々に厄介だ。


……紫色の不浄の土で出来た土地にところどころ墓標が設置されていたり幹や葉が真紫といった毒々しい物が生えていたりと言った感じのフィールド型ダンジョンなので上空を飛んで回避すると言う方法も有るけど。

なんかそれは負けた気がするんだよね。


「聖炎を使って浄化出来ないかな」


聖炎は状態異常やデバフを解除する効果の他にアンデッド系みたいな不浄系の魔物によく効くように作った炎だ。

土地の浄化も出来るんじゃない?


不浄な土のままだと使い道が無くても浄化された土だったら使い道があったりしそうだし、試して見よう。

失敗したところで俺らにデメリットはないからね。


早速、聖炎で火球を作って不浄な土に向かって飛ばす。


「浄化はされたけど、普通の土に戻っただけか……聖土的な不浄な土の反対バージョン的な土にならないかなってちょっと期待していたんだけど」


浄化自体は出来たし、実験は半分成功って感じかな。


まぁ、出来たら良いなぐらいの実験だしここでヤケになって実験を続けるんじゃなくて先に進むか。


普通の土に戻せるって事は不浄な土の上を歩く必要無くなる訳だし、それでだけで十分だ。


不浄な土の上を歩くと、ブニョブニョした感触がして気持ち悪いんだよね。


聖炎を作り出して足に纏わりつかせる。

これで足元が自動で浄化される筈だ。

当然、俺だけじゃなくてソフィアの足も聖炎でコーティングする。


「それにしても、全く熱くない炎ってのも不思議な感覚よね」


まぁ、普通だったら大火傷どころじゃない絵面だからね。


「これもファンタジーって事でそろそろ先に進もうか」


俺が実験を始めたせいではあるけど、何時までも入口付近にいてもダンジョンの中にいる意味がないし。


と言う訳でダンジョンを歩いているんだけど、魔物と遭遇しない。


いや、一度だけ墓石が乱雑に設置されている場所の地面からゾンビが生えて来たけど。

俺たちの事を見た瞬間地中に戻って行ってしまった。


どう考えても理由は足に纏わせている聖炎だろう。

アンデッド系に特攻があるとは言え見ただけで逃げられるとは思わなかった。


と言うかモブ魔物に逃げると言う選択肢が取れるほどの知能を持っていた事が驚き。

人間だ殺せ見たいな単純な思考しているやつしかいないと思ってた。

まぁ、ダンジョンマスターとか中ボスレベルになると話は変わってくるけど。


「もうダンジョンの1フロアを破壊する動画撮って帰るか。魔物も近寄って来ないし」


「それでも良いけど。ウィーが言うにはこのダンジョン1階層目から中ボスがいるみたいよ。折角なら初討伐報酬貰っておいた方が良いんじゃない?」


精霊のウィーは俺よりも魔力を感知できる範囲が広いからな。


中ボスやダンッジョンマスターの初討伐報酬は豪華だとは言っても1階層目にいる中ボスだし、そこまで期待は出来ないけど。

貰えるものは貰っておこう。

使い道のある物が手に入る可能性だって有るし。


と言っても歩いて中ボスのところに行くのは面倒臭いので、ここからは飛んで中ボスのところに向かった。


「匂いを抑えてくれる装備が全く効果が無いんだけど……」


中ボスは邪悪なラフレシアと言う闇属性のラフレシア。

ゾンビが可愛く思えてくるレベルの臭いを放っているし触手が生えている巨大なラフレシアだ。


因みに触手からは服だけでなく人体すら溶かす溶解液が滲み出てきている。

触手のなぎ払いを避けても飛び散った溶解液に触れちゃうと手痛いダメージを受ける事になる。


臭いもキツいし、時間をかけて戦闘するつもりはないので、聖炎を使った熱線で邪悪なラフレシアを貫く。


アンデッド系までとはいかないけど、闇属性の魔物にはダメージが多く入るからな。

そんな事しなくても一撃で倒せる火力を出す事も可能だけど。


聖炎を使った方が魔力の消費を抑える事が出来るからね。

どちらにせよ気にするような消費量では無いけど。

出来るだけ魔力消費を抑えるスタイルを習慣づけときたい、こう言うのはしっかりしっかり意識して習慣づけておくことが重要だと思うし。


理外で消費する魔力量が減ったと言っても直ぐに使用した分回復するような量でもないので、魔力の消費は出来るだけ抑えないとね。



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読んでいただきありがとうございます。

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