第205話
「そう言えば映司さんは鉱脈の位置が分かるんですか?運に任せて採掘するってのは効率が悪いと思いますけど」
「ダンジョンが作った洞窟が有るらしくて、そこなら壁に鉱脈が露出しているらしいので、そこで採掘します」
リソースを消費して鉱脈が回復するので、魔鋼鉱石を取り放題だ。
当然、魔物も出現するし鉱脈の場所もランダムなので簡単に手に入らないみたいだけど。
「さっきから気になってたんにゃけど。新藤は自分がその場所に行ったと言うよりか。
誰かからその場所を聞いたって感じにゃ。
いったい誰からその話を聞いたのにゃ?」
全員、分かっているけど。聞かない方が良さそうだなって遠慮してた質問を躊躇無くしてきやがった。
「誰にって、風魔さんと残念猫だって会ったこと有る人物?だよ。このダンジョンのダンジョンマスターである天使から直接聞いたの」
本当は三ツ目族から聞いたんだけど。三ツ目族について知る人をむやみに増やすわけには行かないので、ダンジョンマスターに教えて貰ったことにする。
自分たちも数時間前に遭遇している訳だし。
前回俺がひとりで来た時に同じように遭遇して、その話を聞いたんだろうって納得してくれるだろう。
「ダンジョンを作った存在なんだから詳しくて当然ですね。会話が成立する理性的な方でしたし。彼に利益のある物を提供出来るなら、そう言った情報を話してくれるという事ですか」
いい感じに勘違いして納得してくれたな。
自分で行ったことがない場所なので少し迷ったけど。何とか洞窟の入口を見つけて洞窟の中に入る。
洞窟の中には魔光苔と言う。空気中の魔力を吸収してほのかに光る苔がところどころ生えているので割と明るい。
暗闇では目が見えない人でも明かりなしで歩く事が出来る。
「この苔は剥がして地上に持って帰って育てられるんですかね?」
どうなんだろう?確かに増やせるなら、そこそこ需要が有りそうではある。
地上で増やさなくても、ここに取りにくれば良いけど。
風魔さんは個人的にここに来る手段が無いからな。
光るのはダンジョン内限定とか条件があるかも知れない。
鑑定スキルを持っている人に見てもらえばそこら辺も分かるだろう。
鑑定スキルを持っている人によっては鑑定モノクルLv2より詳しい情報が分かる人もいるし。
鑑定スキルを使うことで熟練度的なものが上がると手に入る情報が増えるのか。
本人のレベルが上がることで手に入る情報が増えるのか。
詳しくは分からないけど。
鑑定した物の数によって鑑定スキルで得られる情報量が増えてるんじゃないかと言うのが1番有力な説って言ってたかな。
同じものを何度も鑑定しても手に入る情報は変わらなかったけど。
色んなものを鑑定してから、前に鑑定した物を見ると情報が増えている事が多いらしい。
と言っても自分のレベルが上がった後、鑑定スキルで手に入る情報が増えたと言う例もあるようなので、鑑定スキルで手に入る情報を増やす方法は複数存在するっぽいけど。
「取り敢えずサンプルとして採集して帰れば良いんじゃ無いですか?」
「それもそうですね。って思ったより張り付いてますね。もっとこう手で簡単に剥せると思ったのですが……」
風魔さんがナイフを使って魔光苔を壁からこそぎ取る。
そんなにガッシリ張り付いてるの?と魔光苔に触れてみると確かにしっかり壁に張り付いている。
「魔物が近づいて来る」
洞窟の奥から足音が聞こえてくる。
身長130cm程度で二足歩行する狼が洞窟の奥から集団で現れる。
ゲームとかで良く出てくるコボルトだな。
「このダンジョンで出てくる魔物の強さを考えると、コボルトも強いの?ゲームとかだと初期に出てくる魔物ってイメージだけど」
「ソフィアのイメージ通り、コボルトの強さは大した事ないよ。ここにいる人なら全員一撃で倒せるレベルだよ。ただ、鉱石をコボルト鉱石に変換しちゃうから注意が必要な魔物ではある」
「コバルト鉱石?」
「いいやコボルト鉱石。普通の鉄や鋼よりは性能良いけど魔鉄、魔鋼より下の性能って言うコバルトとは別のファンタジー金属」
コボルトはどんな鉱石でもコボルト鉱石に変換してしまうので、魔鉄以上の金属を変換されてしまうと価値が下がってしまう。
逆に普通の鉄鉱石とかだと変換してもらった方が価値が上がるんだけど。
今回狙っているのは魔鋼なので、もし変換されてしまうと、大損だ。
そう言う意味ではかなり厄介な魔物と言える。
「まぁ、倒すのに苦労する事は無いんだけど」
警戒しながらジリジリ近づいてくるコボルトの頭部を熱線で貫く。
ドロップは魔石だった。
「ただ単純に強いからでは無く、鉱石を別のものに変えてしまうから注意が必要なんだね。性能が下がるとは言え、使えるものに変換されるだけマシなのかな?」
彩夏の言う通り、変換されたとしても素材として使える物なだけマシと言う考え方も出来るな。
金属を一瞬んで錆びさせて使い物になら無くするとか言う能力だったら最悪だったもんな。
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読んでいただき有難うございます。
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