第169話
村長に占いをして貰い。アルカディアの連中の本拠地がわかった、このまま潰しに行こう!とは、ならなそうだなとは思ったけど。
それをどうにかするのは俺の役割ではない。
俺の仕事はこの情報を持ち帰って報告するだけだ。
占いが終わった後は、明るくなったら直ぐに帰る予定なので、特に何もせずに貸してもらった部屋のベットの中に入った。
ーーー
「お世話になりました」
「占って欲しいことが御座いましたら、また何時でもお越しください」
三ツ目族たちに見送られて村を後にする。
特に何事もなくダンジョンからも脱出する事が出来た。
ダンジョンマスターが出てきたりするかな?とか少し身構えてたけど。
結局、出てくる事は無かったな。
少し会ってみたかったけど。会えないなら会えないで問題ないし。これ以降アトランティスに来ることは無いってこともないだろうし
そのうち会うことになるだろう。
ーーー
「と言う訳で、アルカディアの本拠地は潜水艦で次に海面に浮上してくるのは今日から約2週間後、IT国に面するアドリア海だそうです」
「それはまた面倒なことになってるね。アルカディアを潰すためと言ってもIT国に、なんの説明もせずに戦力をアドリア海に派遣する訳にはいかない。かと言って王族に独自に他国と交渉する権限なんてないから政治家に協力してもらう必要がある。この情報をどうやって手に入れてきたか、それすら秘密なんでしょ?それで、政治家を納得させるってかなり難しいよ?」
アトランティスから帰ってきて、直ぐにエリックさんに三ツ目族については話さずに報告をした訳だけど。
やっぱりそうなるよね。
王族って言ったって、日本の天皇家と同じように、象徴だからな。
天皇家よりは権限を持っているみたいだけど。
勝手に他国に戦力を派遣するようなことは出来ない。
まぁ、それが可能な権限を持っていたとしても、実行するとは思えないけどね。
国同士の関係は最悪になっちゃうし。戦争に発展しかねない。
「そういう事も折り込み済みなんでしょうね、アルカディアは……」
ほんとに厄介なテロリスト集団だな……
「正直、潜水艦が浮上する瞬間を使ってアルカディアの幹部連中を一網打尽ってのは難しいでしょうね」
複数の人間に関わらせることで、途中でアルカディアの連中に計画がバレて浮上場所を変更される可能性だって高いし。
「で、映司君はどうするつもりなの?」
「マーリンと俺。2人で潜水艦は存在しなかった事にします。アルカディアの連中の本拠地は別の場所ってことにしましょう」
グレーを通り越して真っ黒な行為かもしれないけど。
真っ黒な連中を倒すには必要な事と思って割り切ろう。
一般人に被害を一切出させないように……
「それは……」
「なのでエリックさんは、さっきの話は聞かなかった事にしてくださいね?」
ぶっちゃけ犯罪行為だし、そんな事にエリックさんを巻き込む訳にはいかないからな。
「と言う訳で、ここからはマーリンと2人で話しあいます。って事で、マーリン2人っきりで話せる場所に連れてって」
「一番、確実な場所は僕のダンジョンだろうね。って訳で……」
ポンっと肩に手を乗せられたと思ったら次の瞬間花畑にたっていた。
「ここがアヴァロン……」
何となくだけど、イメージ通りだな。
「とりあえず、座って紅茶を飲みながら話をしようか」
マーリンが指パッチンをすると椅子と紅茶がのっているテーブルが現れる。
「と言っても何か話す事とか有ります?
正直。2週間後、俺がアドリア海に行って浮上する前に潜水艦を消しちゃえば良いだけでしょ?マーリンは俺があらゆる探知に引っかからないように魔法を使ってサポートしてもらう感じで」
マーリンなら、それぐらい朝飯前だろう。
証拠を一切残さずに潜水艦を消すのはマーリンがいる時点で難しい事じゃない。
「問題はそこじゃないよ。アルカディアの本拠地を別の場所にする訳でしょ?それを考えないと」
そっちか……まぁ、確かに嘘だとバレないように矛盾のない筋書きを考える必要があるな。
「そうですね……そう言えば、俺が捕まえたテロリストがいたでしょ?そいつから話を聞き出したって事にしましょう。本拠じゃなかったとしても、実際にアルカディアの拠点の1つを本拠地って事にすればいい。いや待てよ……わざわざ本拠地を潰す必要なんてない。『E国内に存在するアルカディアの拠点を一掃した』って事にすればいいんじゃない?」
わざわざ、アルカディアの本拠地を潰したと発表する必要ないだろう。
取り敢えず、捉えたアルカディアの連中からE国にある拠点を聞き出し、一斉に潰したって報道すればいいだろう。
「そもそも、映司君が潜水艦を破壊じゃなくて鹵獲してくれれば、いい感じの筋書きが作れるけどね」
「……あ〜E国の領海内で実際に航海させれば良いだけか」
難しく考える必要は全くなかった訳だ。
鹵獲程度なら余裕で出来るだろうし。
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読んでいただき有難うございます。
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