第134話
「それじゃ、先に進もう…って思ったけど。やっぱり1回、SCSFにダンジョンが改装されてる事を報告しに行こうか」
報連相は大事だからね。
と言うより持ってるだけでオートマッピングしてくれる魔導具を借りたい。
今日だけで攻略するのは難しいから何回か来ることになるだろうし。
その時に地図があれば、2回目以降の階層が楽になる。
本来は入って改装されてるって気づいた瞬間引き返して、オートマッピングしてくれる魔導具を借りれば良かったんだけど、すっかり忘れてた。
と言うか貸して?って言ってすぐに貸して貰えるものなのかな?
ダンジョンはここだけじゃないし、今もSCSFが別のダンジョンで使用中かもしれない。
そこら辺を確認する為にもやっぱり一度帰る必要がある。
「私は映司にぃの言う事を聞かないと痛い目に合うって身をもって知ったから。大人しく映司にぃに従うよ」
あれは痛い目程度の出来事じゃなかったけどね。
中々ショッキングな出来事だったからね?
中学生が串刺しになったんだから。
「俺はどっちでも良いっす」
雷太ならそう言うと思った。と言う訳で一度外に引き返してダンジョンの入口を警備しているSCSF隊員に事情を説明して河村さんを呼んで貰う。
河村さんは今日も桃源郷でE国の人達を護衛and監視しているからね。
つまりダンジョンの中にいるので直接電話しても繋がらない。
と言ってもSCSFの実働部隊トップの人間に連絡がつかないと言うのは問題なので、河村さんへの連絡を受け取って直ぐに伝えられるように桃源郷の入口にSCSFの隊員がいるようになっている。
俺はその人の連絡方法を知らないので、SCSFの隊員に頼んだ訳だ。
シャワーを浴びてプレハブで河村さんが来るのをゆっくり待つ。
桃源郷からなら30~40分ぐらいで到着するはずだ。
「今日なんか人多くない?何かあるの?」
さっきからちょくちょくSCSFの隊員服を着ていない人物とすれ違うので、今日なにかあるのか。プレハブにいるSCSF隊員に質問してみる。
「どっかのバライティー番組の撮影だそうですよ」
SCSF隊員が言うにはバライティー番組の撮影で男性アイドルと撮影班がダンジョンに入るらしい。
馬鹿なの?と言うかなんでそんな許可降りちゃってるの?
国内では廣瀬さんが唯一ダンジョンの映像を発信しているけど。
SCSF所属だからね?
「現場としてはやめて欲しいですけどね。政治家たちのゴリ押しで決まっちゃったんですよね」
心底面倒そうに小声でそう教えてくれる。
「はぁ〜」
呆れてため息しか出てこない。
「寄りにもよってなんでこのダンジョンなの?絶対トラップ発動させて死人がでる未来しか見えないだけど。道が狭くなってるし、トラップの量も更に増えてるよ?」
「そうなんですよね。浅い層なら弱いスケルトンしか出てこないからって理由でここに決めたらしいんですけど。構造が変わっちゃったんですよね?今、どうするのか話し合ってるところだと思いますよ。SCSFの隊員も一緒に入らないといけないんですよね…
ほんと、このまま帰ってくれないかな〜」
まぁ、俺には関係ないことかとその時はこれ以上この話をすることは無かったんだけど。
ガッツリ巻き込まれることになる。
「ヴァンパイアっ娘は初めてのダンジョンどうだった?」
「なんと言うか。ダンジョンに入る前まではちょっと超リアルなVRゲームをプレイするような気分だったけど。魔物を倒してトラップに引っかかって現実なんだなって実感した。遊び気分で入っていい場所じゃないって」
まぁ、トラップで串刺しになってるからな。
人間だったら死という代償払うことになってた訳だけど。
ヴァンパイアだったので、今後の教訓としていかせてる訳だ。
「ダンジョンでは臆病なぐらいが丁度良いと思うよ。死んだら終わりなんだし」
「ダンジョンの壁を壊したりする人が言っても説得力ないっす」
ヴァンパイアっ娘にジト目で見られてしまう。
「それはあれだ。トラップ事、破壊してしまえばトラップに引っかかることはないよね?と言う非常に高度な作戦なんだよ」
俺はホイホイ壊してるけど、ダンジョンの構造物はかなり硬いからね。
ダンジョンに持ち込める現代兵器では傷すらつかなかったらしいし。
なので現代兵器を遥かに超えた火力を出せないと実効できないと言う意味で高度な作戦という訳だ。
「私の尊敬を返して欲しい」
くっ、雷太が余計なことを言ったせいで…
雷太には後でお仕置が必要だな。
雷太がドラゴンステーキにされるっす!と逃げて行く。
まぁ、ちょっとしたら帰って来るだろ。
追っかけるの面倒臭いし。
「まぁ、時と場合によるってことだね。トラップを見分けることは出来ないけど。先に進みたいってなったら。壊しちゃった方が安全でしょ?それが出来るならだけどね」
1番安全なのは引き返すことだろうけど。
引き返せないってことも有るかもしれないし。
「まぁ、確かに。ただ、ダンジョンに入っている間は臆病なぐらいが丁度良いって言う人の行動では無いと思うよ」
全くもって仰る通りです。
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