第9話

「まぁ、まずは桜中隊長の吸熱が自分の体温にも有効なのか試してからだろう。ダメだったら映司くんが使えば良いってなるし」


確かにそれもそうか。個人的にはバーニングソウルより鑑定モノクルが欲しい。


「分かりました。まずは試してみます」


そういった桜さんが突然ふらつく。

危ないと思って桜さんを支える。


「冷た!」


「すいませんちょっと体温を奪いすぎたみたいです」


「河村さんこのままだとヤバそうなのでバーニングソウルのスキルの書を使っちゃいましょう。すぐに体温を上げないとやばいですよ」


ということでバーニングソウルのスキルの書を桜さんに持たせてバーニングソウルを習得させる。


桜さんはすぐにバーニングソウルを使用したようでめっちゃ冷たかった体温が元に戻る。


「ご迷惑をお掛けしました。成功したのはよかったのですが、加減を失敗してしまいました」


いつも火に向かって使ってる吸熱を体温に使ったらこうなるのは当然っちゃ当然だな。

寧ろ死ななかっただけよかったと思うべきか。

これ、敵の体温を一気に奪えばそれだけで殺せる可能性あるよね?

誰だよ吸熱スキルが火魔法の下位互換とか言ったやつ。

かなりやばいスキルじゃん。


「とりあえず何とかなって良かったです。それで俺は鑑定モノクルを1つもらって良いですか?」


「この隠し通路を見つけられたのは映司くんのおかげだし。できるだけ映司くんの希望は応えるつもりだけど、そっちで良いの風魔法のスキルの書を使うって選択肢もあるんじゃない?」


「今のところ戦闘には困ってないですからね。自分でも鑑定できるようになるって言う方が重要なんですよ」


鑑定ができるモノクルだってかなり有用な物のはずだ。


「それに風魔法スキルは鑑定スキル持ちの人に使えばいいんと思いますよ?自衛ができるようになるのは重要だと思いますし」


そう考えると相手の感情が読めるってスキルの河村さんも攻撃系のスキルを手に入れた方が良いのか。


宝箱の中に入っている物が風魔法のスキルの書以外鑑定スキル持ちの人にはいらない物だったから鑑定スキル持ちの人が使えばいいんじゃないって思ったけど。

と言うか大前提として宝箱の中身は全部国に提出しなきゃいけないとかなってたりしない?河村さん達が警察所属って考えるとありえない話じゃなさそう。


河村さん達が何も言わないしそんなことはないのかな。




「たしかにそれで良いか。映司くんには鑑定モノクルをあとは我々で分配ってことで」



アイテムの分配も終わったしここに長居する必要も無いので来た道を戻り元のルートに戻る。


「うわぁでかいムカデだ。河村さんどうします?」


メインルートに戻って階段に向かって進むと長さが2mぐらいあるムカデが現れる。

特に虫が苦手とかない俺でも、うわぁって言っちゃう気持ち悪さがある。

早いところさっきみたいにブレスで跡形もなく消しちゃいたいけど。

河村さん達だって戦闘をしないでずっと俺の後ろをついてくるという訳には行かないだろうし。


「せっかくだし。今度は私たちで戦わせて貰おう」


やっぱりそうなるか。


デカムカデとの戦闘は河村さん達に任せて後ろに下がる。

そう言えば、俺のブレスはファイアーブレスだったけどほかの属性のブレスも使えるのかな?

それとも火龍って事なのかな?


こう言う時に鑑定モノクルが使えないかな。

そう思い鑑定モノクルをつけて自分の手をモノクル越しに見てみるけど何も起こらない。


人に対しては使えないのかな?

そう言えば魔道具は魔石を燃料として使用するって説明されたな。

特に魔石を入れられるような場所は見当たらないけど……

さっき拾っておいたコウモリの魔石を鑑定モノクルに近づけると魔石がモノクルに吸収される。もう一度装着して自分の手を見てみると以下の情報が開示された。


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ドラゴニアン(火龍)


火属性を持つドラゴンの中で1番一般的な

下位龍である火龍のドラゴニアン。

火を自在に操ることができる。


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下位龍ねぇ龍の中では最弱ってことか。

進化して強くなったりできるのかな?

それに関しては今考えても答えは出ないだろうからおいといて、火を自在に操ることができるか……


ってことはさ……

手のひらに火の玉を作り出すイメージをするとイメージ通り手のひらに火の玉が現れた。

消えろと念じると火の玉は消えた。


「やっぱりブレス以外にも火で色々できるみたいだ」


これで火力の調整がしやすくなったな。

ブレスだとちょっと周りの被害が洒落にならなそうだし。

話を聞く限りかなりの強度を持つダンジョンの壁が壊せる火力だから外で使ったら建物とか地面とか文字通り蒸発させちゃう気がするし。


戦闘はどうなってるかなと戦闘の方に視線を向けると河村さんが正面に立ってライオットシールドでデカムカデを受けとめて、後の隊員で攻撃をするって感じでタコ殴りにしてる。


今回は全員スキルを使ってないようで警棒でタコ殴りにしている。

デカムカデの甲殻はアチコチにヒビが入って緑色の液体が漏れてきている。


あれって毒とか大丈夫かな?

気になって鑑定モノクルを使ってみる。


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ヒュージセンチピードの体液


大気に触れると気化する。毒などはないが、ヒュージセンチピードにのみ感じることができる特殊な臭いを放っていて、この臭いを嗅ぐとセンチピードが集まってくる。


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毒はなかったけど厄介な効果持ってんな。

やっぱりこう言う時に鑑定して調べられるのは便利だ。



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読んで頂きありがとうございます。

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