第6話

自室の窓から河村さんの車が来るのを見ていると1時間ぐらいで黒塗りのバンが近づいてきて家の前で止まる。

それと同時にスマホの着信音がなり始める。



「映司くん到着したよ」


「了解しました。すぐに降ります」


カーテンを閉めて電気を消して部屋を出る。


「じゃあ母さん行ってくるね」


「気をつけてね」


母に挨拶をして家を出る鍵を素早く閉めて黒塗りのバンに乗り込んだ。


バンには河村さんの他に5人既に乗っていた。


「太一すぐに車を出してくれ」


「了解っす大隊長」


「名前に関してはまぁ時間がある時にと言うことで、私と一緒にきた隊員は各中隊長だ」


「なるほど。もしかしてこの車ダンジョンに向かって走ってます?」


「映司くんがダンジョンに行く行かないに関わらず、私たちは急いでレベルをあげる必要があるからね」


2ヶ月後には一般人へのダンジョンの解放が開始される。

それまでに自衛隊や警察が強くなっておかないと冒険者になってレベルをあげた一般人が暴れた時に対処出来なくなるってことか。


「ほんとお疲れ様です」


「ほんとだよ。自衛隊はある程度BPが上がるまで銃火器を湯水の如く使用してレベルを上げてるのに。私たちはライオットシールドと警棒で魔物を倒してレベルを上げろって言うんだからヤになっちゃうね」


自衛隊と警察の間でなんか色々ありそうだな。

と言うかあっさり受け入れてたけどレベルシステムもしっかり適応されてるのな。

ステータスにはレベルが表示されてなかったけど隠しステータス的な感じなのか?


「レベルの項目が増えてる……」


今朝見た時はレベル表記はなかったのに今確認したらレベルの表記が増えてる。

ちなみに今のレベルは1だ。なにもしてないから当然だな。


と言うかなんで突然表示項目が増えたんだ?

ステータスは本人の知識によって表示される項目が増えたりする?

さっきまではレベルが存在するって知らなかったけど。レベルが存在するって理解したからステータスに表示されるようになったみたいな。


「とりあえず今はどうでもいいか。ちなみに俺の雇用形態に関してどうなったんですか?」


「スキル犯罪鎮圧部隊・特殊隊員と言う括りに決定した。ちなみにこれは2ヶ月後に開始される冒険者ライセンスを取得してその中で優秀な者を警察の協力者にするための役職でもある」


簡単に言えば外部隊員という事だそうだ。

特殊隊員の役職を返却することも簡単にできるらしい。

特殊隊員になるだけで月30万の給料がでて鎮圧などの仕事で招集されると追加の給料が出るらしい。

命懸けじゃなければ凄い給料が良いなって思えるんだけどな。


「とりあえず。その特殊隊員の件受けさせていただきます」


今の時点では特殊隊員になった方がこっちに良いだろう。


「そう言ってくれて助かる。特性の警察手帳的なものを作るから顔写真だけ撮っちゃって良い?」


別に拒否する理由がないので普通に撮ってもらう。


「そう言えば俺、着実に有名人になっちゃってるんですけど。どうしたらいいですかね?」


「テレビの件だね。映司くんさえ良ければ逆に利用させて貰おうと思ってる。我々スキル犯罪鎮圧部隊そして特殊隊員の宣伝に」


なるほど。そうして貰った方が俺が変なことをしない限り警察はこちら側についてくれるだろうし。もう、身バレしてるんだからこうなったら利用した方が良いのかも。


「追加で給料を貰えるなら」


「それは当然だ。名前を利用させてもらう分お金は払わせる。因みにお金じゃなくて君の実家の警護するための人員と言う労働力で払うこともできるよ」


母さんのスキルが主婦じゃなければとても魅力的な提案だな。

でも、母さんのスキルが自衛できるスキルを持っているから警護はいらないだろう。

寧ろ警察を私的利用してるて叩かれるだろうからね。

もし、母さんが自衛出来なかったらどれだけ叩かれようと警護をお願いしてたろうけど。


寧ろ、母さんをダンジョンでレベル上げする許可を貰うのが良いか。

父は新設の迷宮省勤務になるって話だからそっちでレベル上げの段取りをつけてくれるだろう。

冒険者ライセンスを発行する機関なんだからレベル上げしないってことはないと思う。


「母のスキルが主婦って言う名前の割に万能なスキルだったので、警護する人員よりかは母をダンジョンに連れていく許可が欲しいです」


魔力を消費するだけで洗い物を終わらせたり、家の中を綺麗にしたり、料理に追加効果がついたり、家妖精って言う家事を手伝ってくれたり、家を中にいる人ごと守ってくれたり。

なんかもうひとつのスキルで色々できるんですよと説明する。


「拠点衛生管理に防衛もできるスキルか。

隊に1人欲しくなるスキルだ。おそらく特殊隊員に推薦すれば通ると思う。そうすれば合法的にダンジョンに入ることもできるが」


「出来れば特殊隊員にならずにダンジョンに入る許可が欲しいです」


お母さんは主婦なんだからお父さんと映司が帰ってくる家を守るのって言って特殊隊員なんてならないだろうし。


「わかった。善処はしよう。けど、さすがに確約はできないよ?」


「それは当然です。もしダメだったとしても文句は言いませんよ」


無理を言ってるのはこっちだし。もし、許可が出ればラッキーぐらいのお願いだし。



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読んで頂きありがとうございます。




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