第9話 慎重と深読みPart2(ゲーム)

ヴォーテ・ライニング vs オース


TURN1

(ヴォーテのターン)

ヴォーテの残存行動値:2


「私のターン。

眼紋雀ピーコック・サイト】を召喚」


眼紋雀ピーコック・サイト】(前線)

思念部類 固有行動値1 思念攻撃力400

思念効果:このモンスターと戦闘が成立した(攻撃が無効にならず、勝敗判定を行った場合)モンスターは、以降、攻撃ができない。

(羽に眼の模様を持つクジャク。その眼を目にしたものは恐怖で凍りついてしまう)


「(【眼紋雀ピーコック・サイト】には、戦闘したモンスターの攻撃を封じる効果がある。

まずはこのカードで相手の出方を見る)

ターン終了」


手札(残存行動値)

ヴォーテ:4枚(1)

オース:5枚(0)


TURN2

(オースのターン)

オースの残存行動値:2


「私のターン。

【再起の不死鳥フェニックス】を召喚」


【再起の不死鳥フェニックス】(前線)

思念部類 固有行動値1 思念攻撃力100

思念効果:戦闘で破壊された場合、手札を1枚墓地に送れば復活できる。

(何度倒しても立ち上がる、粘り強さが取り柄の不死鳥)


「ターン終了」


「(私のモンスターより攻撃力の劣るモンスターを召喚しただけで終わりだと?

良いカードが手札にないのか?

私の攻撃を誘い、手札のカードで反撃するという手もある。

それともあのモンスター、何らかの効果を…)」


「どうした?

お前のターンだが」


「ああ…」


「あっ! あいつ!」


ヴォーテを見つけた町の人々が集まってくる。


「戦ってるのは、夕方にあの子どもと勝負していた男じゃないか」


手札(残存行動値)

ヴォーテ:4枚(1)

オース:4枚(1)


TURN3

(ヴォーテのターン)

ヴォーテの残存行動値:4


「私のターン。

(ならば、このモンスターで奴の真意を探るまで!)

出でよ、【金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】!」


金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】(前線)

思念部類 固有行動値2 思念攻撃力1100

思念効果:攻撃時、発動可能。

相手の手札を2枚まで確認する。

その後で、攻撃を無効にしてもよい。

(全身が金色のワイバーン。見つめると目が眩んでしまう)


「バトル。

金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】で【再起の不死鳥フェニックス】を攻撃!」


金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】思念攻撃力1100(前線)

     vs

【再起の不死鳥フェニックス】思念攻撃力100(前線)


「ここで、【金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】の思念効果を発動。

相手の手札を2枚まで確認する」


金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】が輝く。


「さぁ、手札を見せてもらおう」


降撃波急襲インパクト・インパルス

増援カード

発動条件:相手の場のモンスターの総数が、自分の場のモンスターの総数より多い場合。

効果:相手モンスターを全て破壊し、攻撃力の合計の半分のダメージを与える。


士気のツボモラル・プレッシャーポイント

増援カード

発動条件:自分の場にモンスターがいる場合。

効果:ターン終了時まで、モンスター1体の攻撃力を800上げる。


「(【士気のツボモラル・プレッシャーポイント】!

あのカードで前のターン、【再起の不死鳥フェニックス】の攻撃力を上げていれば…)」


**********


<ヴォーテのイメージ>


士気のツボモラル・プレッシャーポイント】を発動するオース。


【再起の不死鳥フェニックス】思念攻撃力900(100+800)(前線)


「攻撃力900となり、私の【眼紋雀ピーコック・サイト】を破壊して、ダメージを与えることができたはず…」


【再起の不死鳥フェニックス】思念攻撃力900(100+800)(前線)

     vs

眼紋雀ピーコック・サイト】思念攻撃力400(前線)


**********


「(しかし、奴はそれをしなかった。

奴の残る2枚の手札の中に、私の攻撃を誘うことで効果を発動するカードがあるからに違いない)」


「【金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】には、効果を使用した後、戦闘を終了させる効果があるはず。

どうする?

攻撃を中止するか?」


「(攻撃を続行させた瞬間、奴の有利な状況になる可能性は高い。

ここで奴の手札を確認できたことは幸いだった。

今取るべき手は…)

金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】、攻撃は中止だ」


金色飛龍ゴールデン・ワイバーン】が下がる。


「私はこれで、ターン終了だ」


「だろうな。

だと思ったよ」


「?」


「ヴォーテ・ライニング。

お前のことは研究させてもらったよ。

七掌陣を倒すほどの実力者が現れているという話は、私の耳にも届いていたのでな。

お前のプレイングは実に慎重だ。

手札を確認し、削ることで優位に立つ。

手の内が分かっていれば、ゲームをより思い通りに進めることができるからな。

しかし、それがそのデッキの欠点でもある」


「欠点?」


「それは相手の手を見ることで、"何かあるのでは"と深読みしてしまうお前自身だ!」


「!」


「今のターン、お前は私の手札を確認することで、前のターンに私が攻撃してこなかったことに違和感を覚えた。

だから、攻撃を止めたのだろう?」


「くっ…」


「教えてやる。

今の攻撃を防ぐ手段は、私の手札にはなかった!」


「何だと!?

それでは、お前は無防備な状態で、攻撃力100のモンスターを召喚したというのか!?」


「その通りだ。

極端に手薄な状態でターンを終えれば、お前が怪しんで攻撃してこないことは読めていたからな」


「(まんまと奴の罠にはめられた。

この七掌陣は私の手を徹底的に読んでくる…)」


手札(残存行動値)

ヴォーテ:4枚(2)

オース:4枚(1)


続く…

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