第70話
「女王様、どうやら動きがあったようです」
「そんなの知っておる!!一体全体どうなったら、新しい国を作るという話になったのだ?」
「それは.........今のところは分かっておりません」
帝国内の一室。
大国である王国、聖王国、エルフ国が、世界に対して新しく作られる国の属国になると発表したのだ。それに、神聖国、王国、エルフ国に加え新しくできた国の四カ国で連合を組むとそう世界に向けて宣言された。
急なことに対応しきれなかった帝国内ではあらぬ噂やドヨメキが渦を巻いていた。
あくまで予想でしかないが、その新しく作られる国というものは、この世界においてあらゆる面において隙がない国であり、この世界の勢力均衡が崩れかねない話である。
「やはり以前に話をした男が関わっていることは確実です。あの男がこの一連の騒動の中心にいることは間違いありません」
「なるほど。やはり、私が直々に出なければならない事案という訳だな」
グレアはため息を吐きながら、青髪の毛先をクルクルと弄る。
イリアはその様子を見ながらこの国の将来を考え、話を続ける
「そうですね。国の体制が完全に出来上がる前に崩さなければ女王様とて不味いでしょう。相手はヴィクトリア、ドロシー、七聖女でしょうから」
「そうだな。私はこの世界で一番強い。だが私は人間である。傲慢であることは良いが、怠慢であることは敗北をよぶからな」
負ける事は最初から考えてはいない様子のグレアを見て、イリアはホッとする。
「そうですね。……一応の提案にはなりますが我が帝国もその傘下に入るという選択肢も有る事にはありますが.........」
「イリア、私が誰かの元につくとでも?冗談もほどほどにしろ」
「すみません、愚問でした」
「分かればよい」
鋭い目つきでイリアのことを一瞥されたので、イリアは頭を下げる。
「話を続けます。件の男にはきっと誰か一人は必ず付き人がいるでしょうし、かの男を捕らえ、攫ってくれば3カ国は死に物狂いで取り返そうとするでしょう。その男を攫うという行為は事実上の宣戦布告となります」
「そうだな。だが男を攫い、人質とすれば有利にことを進めることができるであろう」
「そうですね」
「私とて、無駄な殺傷は好まないからな。話し合いで解決できるのならそうすることが一番である」
まぁその話し合いというものは自分が有利に事を進められる場合に限るが。
「陛下、お気をつけてくださいね」
「私がミスをすることなどないだろう?」
「念のためです」
こうして、帝国が着々とゾーイへと迫っていた。
狩られる側から狩る側かはさておき
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます