第69話

「国を作る.........ね。その場合は勿論ゾーイちゃんが王様なのよね?」

「当り前。ゾーイが国の王じゃなきゃその国は破綻するけれど......ゾーイがその国の王になるならきっとこの大陸全てを掌握できる大国が出来上がる」


 そう自信満々に言ってのけるドロシー。


 ゾーイに陶酔している者は一考の余地ありと真剣に頭を悩ませるが、まだ正気を保っている王国、聖王国の女王は待ったをかける。


「もし、ゾーイ様が国を作ったら、自国の民たちはきっとそちらへと流れてしまいます。それに賢者ドロシーや優秀な者までそちらの国へと流れてしまったら王国の防衛の面、その他諸々が崩壊してしまうかもしれません。きっと法で縛ってもその者たちはゾーイ様の国へと流れるでしょう」

「私の国も同じ考えです。七聖女。あなた達は、ゾーイ様が国を作った場合、どうしますか?」

「......?聞く意味がありますでしょうか?勿論、ゾーイ様のお傍にいるつもりですが?」


 シャーロットの言葉に頷く七聖女たち。


「私達の国もきっと継続が困難な程廃れてしまう可能性があります。そこで飄々としているエルフ国の女王、ヴィクトリア、あなたの国もそうでしょう?」

「.........?はぃ?なんでですかぁ?ゾーイ様が国を作ったならば、その国の属国と言う形を取ればいいだけじゃないですかぁ。王国、聖王国、エルフ国、そしてゾーイ様の国。連合を作ってしまえばぁ、万事解決ですぅ。まぁ、我々の国はぁ、ゾーイさんの属国、という形にはなりますが」


 そんなことを言ってのけるヴィクトリア。


 ヴィクトリアはもうゾーイに浸食され切って脳まで犯されているため、ゾーイ第一主義なのである。


 ゾーイの国の属国となるのならば別に文句もない。


 長い歴史?国としてのプライド?面子?


 そんなものはどうでもよいのである。


 それに、ゾーイの国の傘下に入れば、今まで以上にきっと旨味があり、エルフ国はより豊かになるとそう確信している事もほんの少しだがある。


 どうにか風向きを変えようとこんな提案をしてみる。


「ならば、ゾーイ様の国が我々三カ国の傘下に入れればよいではないですか」

「馬鹿なの?ゾーイはこの世界の全てにおいて頂点。ゾーイの国が属国になるなんて優しいゾーイは許しても私が許さない」

「そうですよぉ、何言ってるんですかぁ?それでも国の王なのですかぁ?」

「私の国の女王がこれ程馬鹿だとは.........男性神チーン様もさぞ、お困りでしょうね」


 と口々に馬鹿にされ殺意の籠った目を向けられるため何もいい返せなくなってしまう。


「さてでは、採択をとりまぁーす」


 とそこで間髪入れずにヴィクトリアはそう言う。


「ゾーイさんのぉ、国を作るという提案に賛成の人、手を挙げてくださぁーい」


 ゾーイの事を深く愛して狂っている少女、女性達は意気揚々と手を挙げて国を作る段階で自分がどうやって他を出し抜き、正妻になるかの作戦を練る。


 反対していた二人の女王もこの異常な圧力に耐えることは出来ず、小さく手を挙げた。


「それじゃあぁ、満場一致でゾーイさんの国を作る。決定ですぅ」


 こうしてゾーイの国が作られることが決定した。


 


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