第60話
ドロシー、ヴィクトリアの戦いが開始され、本格的に不味いことに成り始めた頃、ゾーイはと言うと未だにベッドから起き上がることも半分諦めてこれから先の事を考えていた。
「僕…もしかしてドロシー先生に捕まってそのまま結婚して、子供を作って幸せに暮らすのかな」
そんな将来を思い浮かべて、別にそれでもいいんじゃないかと思い始める。
「それとも、このままヴィクトリア様に甘やかされ続けることに成るのかな?」
ヴィクトリアのあの甘い声と柔らかい胸を想像する。
自分の為すべきことである恵まれない女性の人にハグをして勇気を与えたりや沢山のケモミミの女の子たちに会ってみたいという願いは半ば挫折しそうになっていた。
「もしかしたら、ヴィクトリア様、ドロシー先生ではない…例えばシュヴィとかがここに来たりして」
その未来を想像してみると、家に連れ戻されシュヴィに
『お兄様、ずぅーっと私と一緒に居ましょうね。離れませんから』なんて言われる場面が想像できた。
家に戻るのならば、母であるエヴァもいるだろうからきっとあの屋敷から二度と出ることは無くなるだろうなと簡単に予想がついた。
だれか、この魔力拘束具を解いてくれないかそう思っている時、頭の中に誰かから呼びかけれる声が聞こえた。
『そこの男、ゾーイさん』
「…いったい誰ですか?」
その声を聴いて、今まで話したことが無い人だなとそう思い、聞き返す。
『私は、イフリート。エルフや人間たちが言っている妖精って呼んでいる存在』
「妖精さん…ですか?」
『あぁ』
「…それで、その妖精さんは僕に何の用があるんですか?」
『私は、君と取引したい』
「取引ですか?」
何だろうとゾーイは首をかしげて考えてはみたものの答えは出なかったため、次を促した。
『私が、その拘束具を外す』
「え!?本当ですか?」
『ええ。だからこの戦いをゾーイさんの言葉で終わらせて欲しい。今外でヴィクトリア、その娘のドロシーが争っている。正直被害は物凄いもので、森が泣いてしまっている。ヴィクトリア、ドロシーだけじゃない。他の者たちも戦いあっている。どうか止めて欲しい』
「なるほど」
イフリートの言葉を聞き、自分の中で一分ほどその答えを導き出すために考えた結果。
「分かりました。僕が出て止めます」
『約束してくれるか?もし破った場合、分かっているな?』
「わ、分かっていますから」
ここで、流石にイフリートを裏切るような真似はしない。
森が泣いていて、他の人同士が傷つけあっているのはゾーイも本望では全くないからである。
イフリリートの力によって、拘束具が緩みそしてとれる。
ゾーイは立ち上がって約束通りに皆を止めに行くために進み始めた。
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