第23話
ゾーイがこの学園に入学して、一ヶ月半ほど経った。
ゾーイの周りも賑やかになり充実した生活を送っている。
最近、ニケはゾーイに人見知りを発揮する事なく接している。
ゾーイがあまりにニケの耳を触ろうとしたり頻繁にハグをするからいつのまにか距離が近づいたのかも知れない。
ニケもゾーイに耳を触られることは全く嫌がっておらず寧ろ、公共の場では恥ずかしいだけで内心はもっと触って欲しいと思っている。
それにゾーイに耳を触られる快感が体を巡る度にゾーイに開発をされているみたいだと興奮している節すらある。
ゾーイがニケに構っていることによって当然面白くないと思っている人がいる。
それは、アリスとエリザだ。
アリスの最近の悩みはどうやってニケのように自分の頭にネコミミが生えないかというものだった。
ゾーイがニケのネコミミをずっと撫でていることに嫉妬しているということもある。
それとニケがネコミミを触られるたびに至福のような顔をしたり喘ぎに近い声を出しているためどれほどの快楽なのか気になっているということもある。
エリザ様も同様にニケという平民の才能がない獣人族の女が自分のような地位も名誉も才能もある私が何故ゾーイに何故気に入られているのだろうかという嫉妬と怒りがある。
だが、それをニケにぶつけたりするとゾーイはさらに自分から遠ざかっていくということを理解しているため何も行動は起こさない。
代わりに何かあればゾーイの周りに付き、ゾーイに自分という存在を刷り込もうとしている。
ちなみにヴィクトリアはと言うと、ニケに嫉妬はしているが将来的には自分がゾーイと結婚できると謎の自信があるためあまり気にしてはいない。
ゾーイはというとニケちゃん可愛いなぁくらいしか考えていない。
そんな日常を過ごしているゾーイの預かり知らぬ所で事が動いていた。
「布教は順調ですか?」
「はい、滞りなく偉大なゾーイ様の活躍が広がっています」
「よろしい。下がって結構です。これからもその調子で頑張りなさい」
「はい、では失礼します」
パタンとドアが閉じると「む、ムフフ」と口元をニヤけさせある一人の男性、自分のことを救済してくれたゾーイのことを思い浮かべていた。
「あぁゾーイ様、あなたの偉大な行いは多くの人に伝わり始めています。これからもより多くの人がゾーイ様の偉大さを知り、平伏する事でしょう。多忙な仕事に疲れ死にかけていた私をあの少し硬い優しい温もりのあるあの胸に抱かれた時、干からびていた私の心は潤っています。
あなた様のお陰で今の私がいるのです。ですので、私はこれからもあなたのために尽くしていきます。ずっとお慕い申し上げております」
そう言ってゾーイ教という宗教を立ち上げた彼女は祈りを捧げる。
その瞳はゾーイ以外の何も映していない。
今の彼女の行動理念や考えは全てゾーイのためを思ってである。
「あぁそうです。王国内では大分広がりましたが、他国でもゾーイ様の偉大さを説かなければなりませんね。ゾーイ様は王国ないという小さな所に収まって良い天使様ではないですから。世界がゾーイ様のものになる日もそう遠くないですね、ふふっ」
こうしてゾーイの知らないところでゾーイという人間の存在が徐々に知られ始めていた。
当の本人は、呑気にニケのネコミミを触っているが
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