貞操観念逆転異世界でフリーハグしてたらいつのまにか世界中の人たちに取り合いをされるようになった。
かにくい
第1話 これから
目を覚ますと、そこは何もない真っ白な空間だった。
「ここは…」
「ここは、あなたたち風に言うと天国というところですね」
突如、何もないところから絶世の美女が出てきて、驚く。
なにこれ?何かのドッキリ番組?それとも何かのマジックショー?
「どちらでもないわ。貴方たちの言う天国と呼んでいるものよ」
「…仮にそれが本当だとしたら僕は死んだんですか?」
「そうですね。では思い出してみてください、最後の記憶を」
言われて、思い出そうとしてみる。
確か、買い物に出掛けてそれでお婆さんが車に轢かれそうになってそれで…。
とそこで頭が急に痛くなりモヤがかかり、思い出せなくなる。
「自分の心が、それを見れないようにしたみたいだね。でも分かったでしょう?」
「はい。どうやら僕は死んだみたいですね」
あまり現実味や実感がないけれど、僕は死んだみたいだ。
「それで…あなたは誰なんですか?」
「私は…神と言うものですね」
「神様、ですか?」
…正直言って胡散臭い。
「そうですよね。あなたが送ってきた人生からすると、私がそう見えても仕方がありません。ですが、本当です」
「そうですか」
「信じていませんね?」
そりゃいきなり会って私が神ですなんて言われて信じることなんて出来ない。そんな人がいるのなら簡単に詐欺に騙されていることだろうな。
「はぁ…まぁ今は信じてもらわなくても構いません。すぐに信じるでしょうし。本題に入りますね」
さっきから思ってたけれどこの人は思考が読めるみたいだ。本当に神様なのかな?
「本題?」
「あなたは物凄く優しい人です」
「.............?いきなりどうしたんですか?」
神様(仮)が脈絡もなくそう言ってきたので、僕は少し戸惑ってしまう。
「女性に浮気され裏切られても優しく許したり、電車では老人や妊婦の人たちに席を譲る。他にも色々とありますが、あなたは死ぬことさえも恐れず、お婆さんを助けた」
「そうですね。女性に裏切られて許すのは優しさなのか、分かりませんけれど」
過去にいろいろあったけれど、僕はそれを優しさだとは思っていない。当たり前のことをしただけだと感じている。
これは、父さんの教育のたまものだろうな。
「とにかく、貴方は優しいのです。ですが貴方はあまりに報われないので私は心を痛めました」
「そうなんですか」
「ですから、私はあなたの優しさが活きる世界へと転生させようと考えてここに呼び出しました」
「僕の優しさが活きる世界?」
それってどんなところ?
「それはですね…男の人が貴重な世界、です」
「男の人が貴重な世界?」
「はい。男の人が存在するだけで生きているだけで褒めたたえられる世界です」
「そんな世界があるんですか?」
「はい、存在しますよ」
男の人が貴重で、褒めたたえられる世界。
確かに男性にとっては、夢のような世界だろうけれどその中で生きている女性たちにとっては.......
「そうですね。そのとおりです。男性の数が極端に少ないため、多くの女性は男性に会うこともなく死んでしまう。そんな人が多いのです。会えたとしても男性は自分が稀有な存在だとわかっていますから驕り高ぶっています。見た目もあなたの世界とは比べられないほど醜いですね。太っていて清潔感のかけらもない人が大多数です」
「なるほど」
その世界で、僕の優しさがどう生きるんだ?
「そうですね、あなたは普段通りに過ごしているだけでいいです。あなたは勝手に行動を起こすでしょうから」
「そうですか.......」
そんな世界で生きている女性たちに僕は何ができるだろうか。
「まぁ色々ここで話しても仕方がありませんし、実際に転生したほうが早いと思うのでその世界に飛ばしますね。あ、そうだ。顔はあなたの元居た世界基準で最高レベルの顔にしておきますね」
「え?いいんですか?」
「はい。あの世界にあなたが与える影響はそれ以上の価値があるでしょうから。それとですが、その世界ではどれだけ女性と結婚してくださっても問題ないので」
「はぁ、そうですか」
重婚が可能だと分かっても、日本人の僕からすると不誠実じゃないかとか、僕なんか良いのだろうかと思ってしまう。
「貴方らしいですね。普通の人ならば喜びそうなところを相手の事を考えてそう思える。その優しさがあれば貴方は今度こそ幸せを掴めるでしょうね」
「そうだといいですね」
前世が不幸せだったかというと、そうでもなかった。
確かに裏切られたり、都合のいいように使われたりしたこともあったけれど僕は逆に、父さんや死んでしまった母さんから沢山の愛情を貰ってるから、幸せな人生だったと思う。
「じゃあ、行ってらっしゃい」
「行ってきます」
こうして、僕は新しい世界へと旅立ったのだが.......
目を覚ますとそこは.........
「あぅ?あぅうぅ?」
そこには見知らぬ天井があった。
それにうまく言葉を話せない。口から出る言葉はあう?とかぅぅうとか凡そ成人が話す言葉ではない。
そうか、僕は赤ちゃんになったのか、と理解するのに数秒の時間を要した。
「あぅぅ」
あの人は本当に神様のようで、本当に僕は転生したみたいだ。
少しだけ不安もあるけれど、もう転生してしまった後だから仕方が無いしせっかく神様が転生させてくれたのだから精一杯生きなければ。
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