第4話


「係長これなんですが」


「係長〜」


「係長取引先で先方との契約に問題が…」


次から次へと声が鳴り止まない、係長になったのはいいものの、慣れないなぁ


「ちょっとまってて〜」


「うん、これはね、うん、こうして」


「俺が後で取引先の確認をするわ、定時であがって大丈夫よ」


「「係長ありがとうございます!」」



「ハァ、」

結局俺はまたこうして夜中にパソコンと睨めっこしている、猫背になりながら作業をするしかない


「あれ?、また残ってんの新係長さん」


俺の同僚が声を掛けてくる、いつも陽気でキメ顔を忘れない


「はいよー残ってまーす」


眠気混じりの声で呟いた、部下を持つことがなかったから頭がくらくらする


「まだ慣れないの、それか部下に気に掛け過ぎなんじゃないか?」

こいつはいつも核心を突く


「そういやお前あの後どうなったんだよ、仲直りできたのか?」

俺は傍から見ても分かりやすいように強引に話題を反らした


「おかげ様で、あの後必死に謝ってなんとか、って所かな」


俺は安心してニヤついてしまった


「そっか、それなら良かった」


「いやまあ、次やったら、ちんこもぎ取るって言われちゃったよ、もう二度とこんな真似できないさ」


「ブハぁ」


思わず吹き出してしまった、最後にドヤついる所とか


「何がおかしいんだ?」

「何もかもだよ」


キョトンとした顔で見つめてくる、こいつアホすぎだろ


「いやまあ勿論俺の愛しのレディを傷つけた行為だとは理解してるし、それで感謝してるんだ、とても」


笑顔でそんなことを言われて体温が上がるのを感じた、まさかこいつに褒められるのが嬉しいとは


「…そりゃ、どーも、だけどお前が頑張ったからだと思うぞ」

上手く言い出せなかった、こいうのを友情というのだろうか


「いやけど、あの時あのアドバイスがなかったら俺はずっと言い出せなくて閉じこもってた、だから今度お礼に飯奢らせてくれ」


「今度って次の休日か、」

俺は軽く動揺していた、まさか仕事の付き合いである同僚からプライベートでご飯のお誘いがあるなんて


「それで良かったらだけど嫌か?」


「いや、行こう」


「やったぜー!」

同僚がバンザイしてはしゃいでる。どこまでも子供っぽいんだが


「そんなにか、」


「うん、会社の友達と遊ぶのは初めてだから」


「友達か…」


「どうした?」


こいつは俺のこと友達だって思ってたのか、何だか自分が思ってるよりもこいつと居ると


「いや、お前やっぱり面白いな、彼女さん幸せだろうよ」


「ええ、そこは格好いいだろ?」


はにかんだ顔でそう微笑む姿、普通にしてれば可愛いやつ


「ないない」



休日の日、俺は駅前の居酒屋で待ち合わせをしていた

「誘ってきたのに遅いな」

待ち合わせ時刻からもう20分過ぎていた。

晴れてる空が顔を照らして眩しい

「お!久し振りじゃん!」

透き通った声、やけに聞き慣れた懐かしい声、まさか

「お、お前は、ばーやま!」

「フフ♡」

金髪姿にショートのスカート、青いカラコンが今でも似合っている。そう昔と同じように

「あの時振りだね」

にこやかな顔で俺に近づいた






私は偶々散歩していたら、駅前の居酒屋でよく、仕事帰りに来る彼を見掛けた、反対側の歩道に映る、謎のギャルも一緒に。

「誰?」

この時に酷い胸騒ぎがした。

タバコの煙でも吐き出せないくらいのざわつきが私に押し寄せる








「会いたかったよ」

大学の頃からずっと変わってない、おっとりとして不器用な彼に

期待が胸を押し寄せた、これから私は


俺はどうなるんだろうか


第5話に続く



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