第65話ルーンブレイド




ルーンブレイドには秘密があった。

持ち手部分が、ぱかっと開いたのだ。そして魔石が置けるくぼみもあった。

ちょうどオークの魔石と同じ大きさだぞ。

あれ!たしか昨日、オークの魔石を換金したぞ。亜空間を探しまくった。

1個も残ってないや。




なので異世界にまたまた来た俺は、オーク相手に斬って倒して腹を切り裂いた。

あったぞ・・・魔石だ。


血の汚れを布で拭き取って、きれいにしてからルーンブレイドにはめ込んだ。

パッチッと閉めた瞬間に、お!わずかに刀身のルーンが光ってるぞ。



いいタイミングでオークの姿が見えた。

早速、ルーンブレイドを試そう。

どんな結果になるのか、気になって眠れもしない。



自然とオークに向かって、かろやかに走りだしている。

え!斬の1文字が光だしたぞ。ただ斬のルーン文字だけで斬ったら、どうなるのかと考えただけなのに・・・

滑り斬る感じの技を繰りだしていた。それは俺が意図しない無意識に出た技だ。

振返った俺は、2つに斬り分けられたオークを、呆気なく見ているしかない。

俺が斬ったのか・・・そんな感覚もなかったぞ。


この感覚を、どのように表現すればいいのだ。

しばらく呆然と立っていた。



そんな俺を呼び覚ますように、「ブヒブヒ」とオークのお出ましだ。


更に斬と強を試すぞ。なんと刀身が光りだして、滑り斬る技を繰りだしたぞ。

それは、流れるような動きだった。


オークの姿は無く、消し飛んでしまったのか・・・それ程の技なのだ。


これはやばいぞ。

どんだけの威力だよ・・・まさに稲妻のような一撃だ。

そうだ・・・今の技をハイスラッシュと名付けよう。

その前の技は、スラッシュだ。




オーガの集落へまたもや、舞い戻って来たぜ。

そんな俺を喜んで向かい入れるオーガは、心なしか大きくなったような。


錯覚か・・・まあ、それはいい。

ルーンブレイドをくれたオーガを探しまくった。

あ!あそこに居たぞ。


「この剣を何処で手に入れたか教えて欲しい」


「イサムさま、それでしたら山奥のヒューゴ山のふもとに住むドワーフを助けた時にもらった物です」


なんだとドワーフが居たのか・・・もしかしてエルフも居るのか・・・


「森に住む美人が住む村なんか知らないか・・・」


「そんな村は知りません」


え!ここは知ってるって場面だよな・・・



なんと2山越えた奥深い山に、ドワーフが住んでるらしい。

まあ行ってみるか・・・



「これが新しい野菜の種と、こっちは麦だからな」


「あのパンが作れる麦ですか」


「前に作って焼いた事もあったな。もう作り方は理解してるよね」


「もうパンを焼けるようになりました。まだ粉が残ってますがパン職人が、粉の心配をしていたところでした」


ここに来るにあたって、水車小屋の設計図をプリントアウトして持って来た。

昔風に粉にする方法も一緒に・・・


「ここがこうなって、こう・・・そうそう・・・それで回して粉にする」


「なるほど・・・川の流れる力を使うのですね・・・なんとも不思議な・・・」


なんとか理解したようだ。



有人ドローンを出した。


「さあさあ乗って・・・大丈夫だってロンベル」


もう無理やり尻を押して乗せたロンベル。

オーガって名前がなかったから俺が勝手に付けてやった。


「皆!また帰って来るから心配ないよ。行って来るぞーー」


「ロンベル!しっかり役目を果たして来いよーー」


ボタンを押して浮かび出したぞ。


もう「ギャーギャー」とうるさいロンベルだ。


1時間も飛んだら慣れて、下を覗き込んで「すごい、すごい」とはしゃぎ過ぎだ。


「あの山だな」


「はい、あれです」


「間違いないな」


「はい、あれです!」



お目当ての山だ。険しい山で思っていたより高い山だ。

ああ、石で建てた丸っこい住居があっちこっちにあるぞ。

それに黒煙がちらほら見えるぞ。


あの辺がいいな、手動でゆっくりとポイントを決めて、ボタンをポチッと押した。

もう自動で降下して着地だ。



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