第63話無スキル
学園からやって来たのは、2人だけとは・・・
学園側は本気で考えてるのか・・・もう疑問だらけだ。
もしかして、講師を使って学園を乗っ取られないか警戒してるのか・・・そんなバカな。
折角のスキル講師の育成なのに・・・それも村の関係者だよ。
【
スキル
力アップ
【
スキル
力アップ
高田のじいさんは、なんとなく事情は分かる気がする。
「いい年して探索者ゴッコを
じいさんも老人には、敵わないからな。
じいさんのオシメを変えた叔母が、今も健在だ。
それに対して神田奈菜は、神田じいさんに説得されたと俺は感じたな。
孫の2人が可愛いんだ。
今、着てるジャージはブランド物だ。
なんと鑑定では、6万800円って・・・今、俺が着てるジャージは、2980円だぞ。
「お前、最近になって自動車教習所へ行ってるらしいな」
「行ってるわ・・・何か問題でもある。兄が乗り回してるの見たら欲しくなって・・・それよりイサム、こんどは何を教えてくれるの」
歳が近いからってタメ口だよ。
「いいか、身体強化をもっと効率的に上げる方法だ。それが新しい生徒に教え込むのが講師の務めでもある」
「わかった」
え!分かったの。
2人には、体を触っての魔力循環の手助けだ。
「やめて!気持ちが良過ぎよ」
サッと手を離した。
「え!何してるのよ。やめないで」
「どっちなんだよ」
「まだまだ循環が慣れなくて・・・」
高田のじいさんは、理解したと1人で瞑想しながら魔力循環をしてるのに・・・
「まだまだダメよ、あと少しで分かりそうな気がする」
おかしいな・・・俺には手応えがあるのに・・・個人差があるのか・・・
結局、1時間も魔力循環をやらされたよ。
「折角、気分がいいのに・・・」
魔力循環は、魔法士だけに教えた準備運動みたいなものだ。
これをマスターしないと先に進めない。
もう、次の段階に行ってもいいうだろう。
俺は、バッグからナイフを取り出して2人に手渡した。
「え!なぜナイフを・・・」
「今から俺の行動を見ていろ」
ナイフで自分の指をサッと切った。
すると鮮血が滴り落ちるのを見せる。
「なにするの!」
「そうだよ。ストレスでも溜まったのか」
「いいかい。自分自身の魔力で指を治すんだ。ホラ!もう治った」
俺の指を触りまくって「嘘!本当に治ってる」
「そんな事ができるなんて・・・」
もう高田のじいさんもビックリしてるぞ。
俺は、魔力での回復の仕組みについ、ていねいに説明してやった。
「細胞を活性化するって言ってもねぇー」
「何をやってる。早く指を切らないか」
「ちょっと待ってよ。心の準備が・・・」
「ホラ!高田のじいさんは、もう切ったぞ」
そうなのだ。高田のじいさんは切った指を
それなのに奈菜は、持ったナイフをぶるぶると
「俺が切ってやろうか」
「え!よしてよ」
その時だ。
「治ったぞ。見てくれ」
「本当に治ってますね。よく頑張りました」
気を良くした高田のじいさんは、手に持ったナイフで奈菜の指を切っていた。
「ギャー!人殺しよ。何をしてるのよ。このクソじじい!」
俺もビックリだよ。
そんな騒ぐ奈菜を捕まえて「さあ!切れた指に集中して」
まだ震える体が伝わってきたが「さあ、頑張ろう」
諦めたように指に集中をするようになったぞ。
俺の鑑定が細胞の活性を知らせてきた。
「あ!治った。本当に治ってる・・・信じられない」
もう何度も切って治す事を繰り返した。
もう十分だと思った俺は、2人の手を握って『癒しの光』を発動。
2人とも信じられないように、何度も何度も手を見てた。
「前よりキレイになってるわ。見て見て、右手より左手の肌つやが全然違うわ」
鋭く俺の方を見た。
「もしかしたら、全身にその光を浴びたらキレイになるかも」
「いやいや遊びじゃないんだから・・・次のステップにゆくぞ」
「・・・・・・」
「そのステップで高田さんより早くできたら、褒美として癒しの光をして下さい」
なんだよ後半の『して下さい』の言葉は・・・
「まあ良いだろう。高田さん、あんな事を言ってますよ。負けたらダメですからね」
「分かってますよ・・・だてに歳はとってませんよ」
じいさんの目が光ったような・・・
「2人は、力アップのスキル覚醒者だ。素早さもアップしたいとは思わないかな」
「そりゃーないより、あった方がいいに決まってるわ」
「その素早さを、無魔法を使って体に一時的に強化する方法を伝授しよう」
「本当ですか」
「わたしに出来るでしょうか」
「失敗しても減るものでもないので気楽にやりましょう」
ここは緊張させたら失敗するから落ち着かせよう。
「魔力循環をやったね。今度は神経と筋肉に同時に循環させてくれ。イメージとして神経伝達を速くする感じと筋肉がすぐに反応するイメージがいいだろう」
30分が経過。1時間が経過した時だ。
「やったぞ!できたぞ!」
高田のじいさんが、ダンジョン内の空間を素早い動きで走りだしている。
目にも止まらない動きだ。
「わたしの負けなのね。なんで・・・」
ガクッとうな垂れる奈菜が居た。
その奈菜もマスターすると走り回ってる。
「もういい加減しないか!!」
俺が止めなかったまだまだ走り続けただろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます