第57話学園の秘密




学園近くのしょぼい建築物の前で、俺は立ってた。

なんだよ、この建物は・・・


「ガチャガチャ」と鍵で開けて入った。

俺も入り終わると佐々木部長は、すぐにドアにロックを回した。

なんだか閉じ込められた感が、ひしひしと伝わってくるぞ。

なんだよ、この感覚は・・・


もう1つのドア前で日本ギルドマスターである大木は立ち止まって動かない。

なんで開けて入らない。何故か俺は不安だ。


佐々木部長「心配しなくて大丈夫よ。わたしも居るから」

そうなのだ。大木と佐々木に用事があるからと説明なくここまで来ている。


『入館確認完了』


そんな言葉が何処どこからともなく響いた。

大木は「ガチャ、ガチャ、ガチャ」とノブを右2回左に1回と回した。


なんで・・・横の壁がスライドしたぞ。

そっちへ入るのか・・・大木さんは、平気で入ったぞ。


「さあ、入りましょ」


背中を押されて入るしかなさそうだ。

その時、俺は見た。

スライドした壁の厚さが銀行の金庫程の厚さだ。


あれ!大木さんが足跡マークに足位置を合わせて、不動ポーズをしてるぞ。

なんと1分ぐらいも同じポーズだ。ブザーが鳴った途端に動き出し振返った。


「今度は君の番だ。足を合わせてブザーが鳴るまで動かないように」


立ったままの俺は、緊張がマックス状態だ。

何やら見えるぞ。色々な光線が体に照射されまくりだ。


やっとブザーが鳴って開放されたぞ。

最近開発されたZ線も混じってたはずだ。分子レベルで解析できる光線らしい。


何回も厳重な自動ドアを通った先に、エレベーターがあったぞ。

なんだ、この階層の表示は・・・地下20階だと・・・どんだけ山を掘ったんだ。

だからあんな事件が起きたのか・・・


学園が完成したのに、いつまでも工事用車両が通ってたので不思議に思ってた。

ここの施設が原因らしい。




「ここは、日本が秘密裏に開発する施設が階層別に揃ってる訳だが、君に見せたいのは7階の施設なんだ」


地下7階で降ろされた。

通された部屋から隣の部屋が丸見えだ。


防弾ガラスで分厚いくて、向こうの音が一切聞こえない状態だ。


なんと!グールが拘束されたまま寝かされてるぞ。

寝かされたベッドはステンレス製だ。


大木さんがスイッチを入れた途端に、グールの甲高い叫びが聞こえだした。


「中国から空輸されたグールで、ゾンビからグールになりたてだよ」


「どうしてそんな化け物を日本に持ち込んだのですか・・・もしもの時に誰が責任を取るのですか?」


「マリアの脅威から人類を守る為だよ。君には分かってもらえると思ってたが、考え違いだったかな」


そこまで言われたら返す言葉もないぞ。


「それで何をしてるのですか?・・・そして、俺を連れてきた意味は・・・」


「今から実験を開始するから見てもらいたい。佐々木、実験開始だ」


「博士、実験を行なって下さい」


厳重そうなドアが開いて、防護服を着た人物が2人も入ってきたぞ。

部屋の装置を操作すると、天井から1つのライトがアーム操作でグールの真上にピタッと止まったぞ。


「博士、お願いします」


ライトが淡く光りだした。

その時だ。グールが死に物狂いに暴れだした。

しだいに拘束された右手が引き千切れて、手首の無くなった手で光をかばう。

そのかばった手は、見る見る間に朽果てて全身に広がってるぞ。

もう干からびた状態だ。それは5秒も経たない、あっという間だった。


博士が干からびた体を触った瞬間、「カサ、カサ、カサ」っと崩れて土くれになってる。


「あれは通常の光ではない。君にも関係してる・・・君がスライムから回収した青い魔石で光らせたものなんだよ」


「え!あれが・・・」


「吸血鬼も照射しても同じ結果だったよ。だからマリアにも有効だと考えてる。それに弱い光で人間に照射して、確認もできて無害なのが良い」


「すると、もっとスライム討伐にしろって・・・」


「人類を守る責務と考えて欲しい。報酬額も今までよりアップするから・・・」


「分かりましたよ。ちょっと考えさせて下さいよ。これ以外の実験ってみせてもらえますか」


「いいだろう」


手渡されたタブレットで見たら「え!こんな事もしたのか・・・」


「ゾンビやグールに、人権なんかクソ食らえだ」


人間が人間だった人に、ここまで残酷な事が出来るなんて・・・想像もしなかったぞ。

あまりにもグロ過ぎて・・・



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