第54話オーガの暮らし




川から水路を引いて作ったりして、田畑の拡張までして好感度アップをしたりした。

もう田畑は、野菜で埋め尽くされている。


そんな出来上がった田畑を何気に見てた。

すると子供たちが大好物の大根を引き抜いて逃げ出してるぞ。


「あんた達、何を勝手にしてるの!」


「わーい、逃げろ」


あああ、足の遅い子が捕まってるぞ。



「ここに居たのですか・・・」


やって来たのは、集落の代表連中だ。

お!お目当ての台車が2台もあるぞ。全てが魔石だ。

魔石も魔物の残骸と一緒に捨ててる話を聞いて、報酬としてもらう事になった。


「凄き量だな・・・この魔石なんか大きいから魔物も強かっただろうに」そんな仕分けをして楽しんでいた。


「そんな石で良かったのですか・・・これは祖国から持ち出した優れた剣です。集落の話し合いで報酬として受取ってもらえないか」


「え!いいの・・・」


更なる報酬なんて期待してないのに、もらい受けた剣を引き抜いた。

なんと剣が、俺の魔力に反応して淡く光ってるぞ。

通常の淡い光が見劣りする位の優雅ゆうがな光だ。


【勇者の剣】


オリハルコンで作られた剣

××××××



これが剣の正体なのか・・・一部が文字化けしてるぞ。

あの本に出ていた勇者が持ってた剣か・・・それがどうしてオーガの手に・・・


オーガも、淡く光った剣に驚いてるぞ。

そうか・・・オーガは魔法が使えない種族だ。

それに魔人の魔術と人間の魔法は、違うから反応しないのか・・・そうに違いない。


それにしても文字化け部分が気になるぞ。

まだまだ俺の実力不足か・・・もっと成長して、判明できるのを期待するしかない。




お返しに家まで建てる事にした。

だって木で建てられた家らしき物は、ボロ過ぎきてちょっとカビ臭い。


両手を儀面につけて土魔法を発動。地面から岩や土がせり出してきたぞ。

それを更に土魔法で加工しながら、コンクリートの打ちぱなし風に仕上げた。

中は空気の泡が細かく入った状態だ。

そんな加工をして断熱効果を高めた。更に防音効果も抜群で申し分ないぞ。



まさに土魔法でしか出来ない荒技だ。



そして岩に含まれるカリウムを活かして、なんとかガラスらしき物を作り出しだぞ。

それを使って窓ガラスも二重窓にして、断熱と防音効果もあげてみたぞ。

ちょっと緑がかったガラス窓だが、外の景色もまあまあ見えるレベルの出来栄えだ。


最後には、LED照明まで天井に取り付けてやった。


夕暮れ時だから、照明スイッチを入れると一気に部屋が明るくなったぞ。


「なんて明るい松明だ・・・え!松明は・・・」


「ああ、魔石を使った照明だよ。ほら触っても全然熱くないだろ」


「そんな物が人間界にはあったのか・・・」


俺が人間界に持ち込んだ事は黙っておこう。

取りあえずは、ここで寝て一夜を明かした。

あの青いオーガの家族と一緒に、それなのに照明を消したりつけたりして遊びほうけるので困ったものだ。



そして目覚めて外に出ると、オーガたちが列をつくって「我が家もお願いします」と嘆願される羽目に・・・

もう仕方ないので朝から建築ラッシュで忙しいのに、オーガがああだこうだ聞いてきて邪魔ばっかりだ。


「邪魔したら更に遅れるぞ」


「ほらほら邪魔をするな。今、建ててるのは我が家だから、あっちへ行け」


え!もう決まったの・・・まあ決まったのなら良いか・・・


「あの・・・申し訳ないのですが、部屋を1部屋増やせませんか」


建築最中に追加注文までするのか・・・大工なら怒る注文だが、土魔法なら簡単だ。

暗黒刀で壁を切って、蹴り倒した。

地面に手をついて、瞬時に適当な部屋を出来上がったぞ。


「わーい、ここが俺ら部屋だぞ」と子供が走り回る始末だ。




そんなこんなで5日も滞在してしまってる。

みすぼらしい集落が様変わりして、オーガの暮らしも激変させてしまってる。

あの4輪バギーも子供が乗って、野菜を運んだり、狩の魔物運搬までこなすまでなってるぞ。

馬力があるから台車運搬もお手の物で、今更返してくれとも言えない状況だ。


だから次回の再会を約束して、魔石の回収を頼んだ。





ギルドマスターは、渋い顔したまま俺の話を聞き終えた。


「すると何か、巨大な魔物は居なかった。それが結論なのか・・・それなのに長引いたようだな」


「せっかくの行ったから、色々な魔物を狩まくって長引いただけだよ」


「それなら良いのだが・・・」


「何か疑問でも」


「吸血鬼が居るかもと期待しただけだ」


そうか・・・その可能性もあるかも・・・



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