第38話誘拐のその後




誘拐事件があってから世間は、その話題で持ち切りだ。


次々に出てくる証拠の山に警察は、四苦八苦していた。

それがある日に、黒いセダンの逮捕劇が動画としてネットに流れた。

それは一般人がドローンで撮った動画だった。


その動画は、あっという間に世界に広がってしまい。内密な処理は無理となった。

アメリカ政府と日本政府とK国政府の3カ国での協議が始まった。

K国の国家情報院も動き出した。


国家情報院は、国家安全保障に係わる情報・保安及び犯罪捜査などを担当する組織だ。

大統領直属で組織で、情報機関でもあり秘密警察でもあった。


その話をしたのは、全て村上からの情報だ。



そしてアメリカ政府は、ノア姉妹を重要視していた。

動画で更に確信へと変わった。だから2国協議のはずがアメリカ側が介入して3カ国協議へと変更さてたのだ。



「ねえねえ聞いた。あの赤い髪の女は、K国のフロント企業の社長らしいのよ」


「そのフロント企業って何よ」


「知らないの・・・ちょっと待って・・・スマホの情報だと、反社と係わってる会社でズブズブの関係さしいわ」


「それなら知ってる。向こうのドラマでは、平気で人殺しをしてたわ。するとあの女はヤクザの情婦ね」


「そうかも知れないわね」






ギルド本部会議室で大木は、大声で怒鳴り散らしていた。


巨大な画面には、女の顔がアップで映し出されていた。


「そのチョン・ユイって女が、実質的にヤクザのボスなのか!!」


「そのようです。ボスの情婦だったらしいですが、ボスを殺して組を乗っ取ったみたいです。あの風魔法では組員も逆らえないでしょう。そして地方のヤクザを次々に吸収して、構成員を増やしながらスパイ行為に深く手を染めたようです。もう闇の仕事ならなんでもやる組織なったのもうなずけます」


「議員にも伝手があるらしいが、それは本当かね」


「今は関係があった議員は、辞職に追いやられているみたいです。例の抗議集会で200万人を超えて、更に広がっているので辞めるしかないようです」


「信じられない国だな・・・」


そんな話題に、1人の女性がすくっと立上がった。


「我が国を侮辱ぶじょくする事は許さん!」


「ああ、国家情報院の方ですね。言われても仕方ないのでは・・・私の孫があなたの国の人間に何をされたか、1つ1つ話ましょうか」


「部下の失言をお許し下さい」


「院長!」


「黙りなさい!」


その時だ。突然やかましい警告音が鳴り響いた。


「何事だ!!」


「緊急警戒音です・・・え!K国のアメリカ軍からの衛星映像です」


巨大な画面に衛星映像が映し出された。

それがズームして何が起きたのか、全員が総立ちになった。


大勢の人間が・・・人間を襲って喰っていた。

それはゾンビ映画を見てるようで、現実味がなかった。


更にアップ画面を見て、嘔吐おうとする者が現れた。


「これは北との38度線の映像です。リアルタイムの映像です。アメリカ軍から応援要請がでました。在日アメリカ軍も航空機が飛び立ったようです」


国家情報院の連中は、会議室から飛び出した。


又も巨大な画面に、中田総理大臣の顔が映し出された。


「ギルドの諸君・・・緊急事態だ。神須勇を緊急的包括ほうかつにK国へ向かわせろ。これは政府の判断だ」



「中田総理!分かりました」


大木は、急ぎながら命令しつつ早足で歩き出した。


「佐々木に、神須村へ行かせろ」


「はい」と言った男は、すぐにスマホで連絡をした。





なにやら空が騒がしい。

夜の21時過ぎなのに、明るく照らされて爆音がとどろかせた。


なんだこれは・・・畑に軍用ヘリが・・・

そこから現れたのは、佐々木部長だ。


「日本政府からの依頼よ。すぐにヘリに乗って」


Tシャツにパンツ姿だ。手を引張られて「はい、はい、乗って」と乗せられた。

我が家の中は、テレビから照明まで付けっぱなしだ。

その我が家が・・・遠のくのをジッと見てた。


タブレットを手渡された。


「その動画は本物よ」


それはゾンビ映画だ。しかし、本物って・・・マジか・・・


「あなたには、その通称ソンビをどうにかして欲しいの」


ああだこうだとゾンビの話ばかりだ。

そして着陸した場所は、空軍基地だ。


なんだか夜の空軍なのに、忙しく人々が準備中だ。


「いいか!これは訓練ではない。実戦だ」


なんか怖い事を言ってるぞ。


「あの飛行機で行くわよ」


その飛行機は、闇夜の空を飛んで行った。

窓から外を見下ろした。星屑ほしくずのようにきらめく世界が広がっていた。




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