第37話主犯捕まる




拘束された犯人の中から、誰を鑑定しようかと悩んでる時だ。

スマホが鳴り出した。


あ、仲間署長からだ。スマホをスピーカーモードに切り替えた。


「こちら仲間署長、不審車両発見、黒のセダン。そちらに向かってます。運転手と後部座席に赤い髪の女性確認。それ以外は未確認・・・10分後には現着・・・以上」


「署長、連絡さたらいつでも来れるようにして下さい」


「了解!」とプツリと切れた。


しばらくすると1台の車が見えてきた。


「あれが黒のセダンか・・・」


「いよいよ本番ですね」


「ノア姉妹には、運転手を任せた。出来るな」


「任せて下さい。隠蔽いんぺい魔法で近づけば楽勝です」


「君らの隠蔽に期待してるよ」



お目当ての車がアジト前に、ゆっくりと止まった。

運転手がドアを開けて出てきた。

辺りを用心深く見渡した。口に指を入れて「ピーィ」と鳴らした。

又も「ピーィ」と鳴らした。


『おい!出て来い』K国語だ。


『ボス!おかしいです』


『そんなはずは無いわ。何も証拠を残してないのに・・・ここが見つかるなんてあり得ない』


後ろのドアが勢いよく開いて、真っ赤な髪に染めた女性が伽耶さんを無理やり車から連れ出した。

手には銃を持って、伽耶さんに突きつけた。


『早く見てきなさい』


俺は、隠蔽魔法で姿を消したまま近づいた。

まったく俺の存在に気付いてないぞ。

銃を持った手を掴んで引張った。赤い髪の女は驚いた。

そのまま腕を背負いながら地面に叩きつけた。

見事に一本背負いが決まった。

強く頭を打ったらしい。「ウッ」と言ったまま気絶だ。


伽耶さんを見た。さるぐつわで口がふさがれて、手には手錠だ。


「大丈夫ですか・・・ギルドから助けに来た者です」


それを聞いて安心したようだ。小さなエナジーショットで手錠を壊した。

そして運転手を見た。


俺と同じで隠蔽魔法で近づいたノア姉妹によって、運転手は押さえつけられていた

手には手錠がかけられていた。それでも抵抗をやめないので蹴りを2発も入れられて気絶だ。

蹴ったのは姉のシアンだ。


「姉さん、犯人でも可哀想よ」


「誘拐犯に可哀想って・・・甘いわよアリン」そう言って又も蹴った。


俺はスマホで仲間さんに連絡した。




1台、5台、20台と大勢の車がやって来た。


もうご機嫌な仲間さんが「お手柄でしたね・・・撮影されたものを見ても何が起きたのかサッパリでしたよ」

そうなのだ。遠い場所から撮影されていたのだ。

大木の頼みで仕方なく撮影を許可した。

大木は、何処かできっと見てただろう。大木以外にも、大勢が見たのだろう。


カメラに映らない存在って恐怖対象だ。きっと色々と考えてるに違いない。



「救急車が入れないぞ」


「早く来て!彼女・・・急に気絶したの・・・だから早く!」アンリ・ノアの悲痛な声だ。



救急車から救急隊員が急いで降りてきた。

伽耶さんをバイタルサインをチェックしてから、救急ストレッチャーの乗せた。

てきぱきと救急車に運び込んだ。なぜかアンリ・ノアも乗り込んだ。


「ピーポーパーポー」と鳴らしながら走りだした。


あああ、行ってしまった。

彼女は、緊張とストレスの開放で気絶しただけだ。

鑑定で分かっていた。


気絶した赤い髪の女から女刑事が「署長、スマホです」とスマホを振って見せた。


「署長、そのスマホを見せて下さい」


「おい、見せて上げなさい」


「え!証拠品ですよ」納得いかない表情で手渡してきた。


俺は、スマホを鑑定した。

え!魔力が減りつつ会話した相手を認識した。


40代の男性で、この男性もK国人だ。

所在位置も特定出来た。森の中だ。


更にGPSで精確な位置まで特定した。

スマホのアプリで位置情報を入力。


出た地図は、神須村の山の中だ。

やっぱりスパイが近くに居たのか・・・


早速、大木さんに地図を送った。




ギルド職員や警察が総出で山狩りだ。

1時間たらずで呆気なく3人の男が逮捕された。

テント用具持参で1ヶ月間も寝泊りしていたらしい。


もう穴を掘ってゴミは捨て放題だ。山に詳しい爺さんが同行してたのでぼやいた。


「なんて奴らだ。神聖な山をけがしよって!」


村へ連れて来られた時は、村人がああだこうだと言い合った。


「あれが村をスパイした男らしいぞ」


「悪そうな面構えだ」


「そんな者が山に隠れてたのかい。罰当たりな・・・神聖な山に隠れるなんて」


大勢が見守る中、パトカーに乗せられて走りだした。




大木さんに頼まれて、証拠品をくまなく鑑定。

魔石を消費して、鑑定をし続けた。

日本中にいたK国スパイを芋ずる式に逮捕。

その数は2603人。24%が日本人だ。

言い逃れ出来ないように、証拠も見つけ出した。


やくのブツの隠し場所や様々証拠を見つけ出した。

企業の設計図もあれば、弱みによる恐喝きょうかつも色々出てきた。

もうヤクザの集団だ。


古い記憶まで鑑定は出来なかった。

やばい記憶があったが、ぼやけた記憶だ。証拠集めも無理だった。



あの赤い髪の女は、風魔法の魔法士だ。

どうやらK国の巫女によって覚醒した覚醒者であった。


太鼓や楽器を鳴らして踊る巫女だ。

その告げを聞いて覚醒したらしい。


調べたら偽巫女で、各地をテンテンとしていた詐欺師だった。

夫婦の詐欺師だ。



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