天真爛漫な投手とヤンデレ気味な捕手が最強バッテリーを目指します!

抹茶プリン

春季県大会編

入学式

作者は野球未経験者です。

野球は漫画、アニメ、ゲームでハマりこの作品を執筆しました。

カテゴリーがローファンタジーなので、現実離れなことが起きるかもしれません。


野球に詳しい方コメントやアドバイスを募集してます!

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――4月1日。

この日、彼女らは高校に入学した。


「セイちゃん、入学式終わったら野球部へ見学しに行くの?」

「あったり前じゃん! 早くレギュラーになって春季大会に出たいからね」

「ふふっ、セイちゃんがやる気出してるなら私も頑張らないと」

「何言ってるの、私だけレギュラーになろうと思ってたの? 私はレイちゃんがいないと意味がないよ」

「なにそれ、とっても嬉しいこと言ってくれるじゃない」


セイちゃんこと、綺羅星奈きら せいなは、金髪の長い髪をポニーテールで束ねている少女。

普通の女子よりに筋肉質で、いかにもスポーツをしているような体系だ。

そんな彼女の隣には、レイちゃんこと水瀬麗菜みなせ れいながいる。

彼女は、ふわふわと触り心地良さそうなウェーブをした水色のゆるふわロングだ。


そんな二人は仲睦まじく並んで校門前を潜り、学校へ入っていく。

クラス分けの案内の張り紙に従って、一年の教室へ向かう。


「セイちゃん、私はこっちの席だから、休み時間にね」

「うん」


教室の机は、それぞれ出席番号が割り当てられ二人は離れ離れになる。

自分の席に座ると、隣の席の子が話しかけてきた。


「あなたって、松原中の綺羅さんだよね? さっきの子は水瀬さん?」

「えっ!? 何で知ってるの?」

「松原中のバッテリーは有名でしょ。私も一度会ったことあるし」

「それって……」

「入学式終わったら、一緒に見に行かない?」

「相手からのお誘い……。 うん!一緒にいこ!」


隣の席の子は美しい銀髪のショートでくせ毛が目立ち、見た目が小学生かと思うくらい小さい。

制服が大きいのか、絶滅危惧種の萌え袖族だ。


「知ってると思うけど、松原中出身の綺羅星奈ね。 さっきの子は水瀬麗菜ね、二人共どもよろしくね!」

「私は篠田小夜香しのだ さよか。こんな形だけど中学ではレギュラーだったよ」


新たな部活仲間ということで、意気投合し話に花が咲いたところで入学式のため体育館へと移動した。







入学式が終わり、教室へ戻ろうと廊下を歩いてると麗菜が話しかけてきた。


「ねぇ、セイちゃん、さっきの子は誰なのかな?」

「隣の席の子ね、篠田小夜香ちゃんだよ! 同じ野球部志望の子だよ!」


少し圧は感じさせるような言い方だが、気にせず回答する。


「ふーん、よかったねー」

「なんかレイちゃん急に不機嫌になったよ……。どうしたら機嫌治る?」

「セイちゃんが私の前に来て」

「うん」


星奈は麗菜の言う通りに前までくると、後ろから抱き着かれた。


「ひゃっ!? ちょっとレイちゃん!?」

「私が好きなセイちゃんの匂いに、私が育てた良い筋肉ぅ~♪」

「ちょっとレイちゃん、こんなところで触らないでよぉ。周りに人がいるからぁ」


麗菜は星奈の右二の腕と左太腿を摩ってくる。

数十秒間じゃれ合いが終わり、教室に戻る。


教室では、今後の日程の説明や学校行事等の資料配布や説明が終わり、解散となった。

解散後、麗菜と小夜香の3人で部活見学をするために野球グランドに向かう。


野球グランドでは、すでに部員たちが内野ノック練習をしていた。

部員がボールを軽く投げ、金属バットを持っていた部員が打ち打球を転がし、内野手が取り一塁手ファーストに送球をしている。

一塁へ走塁やゲッツーを想定した内容だった。


「今日って在学生たちは休日よね」

「そうね」

「いいなー、朝から練習してるなんて。 早く混ざりたいね」

「そうね」


内野ノックが終わると休憩に入り、一人が星奈たちに気づいたようだ。


「あれ、君たちは新入生かな?」


声を掛けてきたのは、美しい容姿の女性だが身体のほうに目が追ってしまうほどの無駄のない筋肉が目立つ。


「はい!私たちは野球部に所属を志望するため見学しに来ました!」

「初日から見学なんて感心だね、もしよかったら練習に参加してみる?」

「いいんですか!?」

「もちろん。部員がギリギリだからこっちも助かるよ」


そう言い、部室に案内された。


「急ですけど、先輩の筋肉って凄いですね!」

「そう?ありがとう。君もよく鍛えられている身体してるね。後の自己紹介を楽しみにしているよ」


案内後、先輩はすぐに部室を出てグランドに戻っていった。


「初対面の時ってセイちゃんの天然というか天真爛漫のコミュニケーションは助かるわ」

「そうだね、水瀬さん。 あの人たぶん浅野先輩だと思うよ」

「誰?」

「えっ!?」

「有名人なの?さよちゃん」

「う、うん。 てっきりお二人はあの人目当てでこの高校に受験したと思ってたけど……」

「違うよ、ただ家が近いから受験しただけだよ?ねー、レイちゃん」

「そうね、すぐに家帰って練習がしたいからって理由ね……」

「そんな理由で……」

「それで、浅野先輩って?」

「……綺羅さんが知っておくべき人だと思うよ。 浅野先輩は県屈指というか全国クラスの投手だよ」

「えっ!?そんなすごい人なの!?」

「うん。浅野先輩は女子野球では驚異の直球134キロを放つけど、それを際立たせる変化球によって打つことが無理なんだよ」

「なんでそんな凄い人が名門校に行かなかったのかな?」

「案外、私たちと同じ理由だったりしてね」

「綺羅さんや水瀬さんなら、名門校のスカウトが来ると思ったけど、どうだったの?」

「スカウトの話来たけど、私たち別々の高校にスカウトされたからね」

「だから、断ったよ。私はセイちゃんとバッテリー組めないならどうでもいいの」

「愛だねぇ」


練習着に着替えて部室を出ると、浅野が駆け寄ってきた。


「君たちは入部するんだよね?だったら、メンバーに自己紹介しないとね」

「あっー!!!」


浅野の話を聞いてたら、遠くの方から大声が聞こえた。

ほかのメンバーもその声に反応して、振り向くと二人の女子がいた。


一人は銀髪に紫色のメッシュが目立つサイドテールの高身長ギャル。

二人目は、プラチナブロンドのストレートに水色の瞳で外国人みたいだ。


「なんでキラキラ星がこの高校にいるのよ!」

「あっ七夕ちゃんだ!久しぶりだね!」

「そのあだ名呼ぶなしっ!」


浅野は、その二人のほうに駆け寄った。


「君たちも入部希望者か、すっごく嬉しい……。さぁ、早く練習着に着替えて!」

「はっ、はい!」


二人も部室に案内され、着替えてくる。

その後、新入生たちは集合した部員たちの前に立たせられ、それぞれ自己紹介を始める。


「左順から名前、出身校または出身チーム、希望ポジションに最後は一言を言ってくれるかな?」

「分かりましたっ! 私は綺羅星奈です。松原中出身でポジションは投手をしていました!早くレギュラーになって麗菜ちゃんと一緒に好打者をねじ伏せたいと思います!これからよろしくお願いします!」


自己紹介が終わると後ろの方の部員たちがざわめきだした。


「ほう、これは大型新人がウチに来てくれたな」

と、浅野が笑う。


「私は水瀬麗菜と言います。同じく松原中出身でポジションは捕手です。綺羅ちゃんとバッテリーを組むために入部しました。先輩方これからもよろしくお願いします。


「二人はとても個性的だね」

と、浅野先輩に苦笑いされる。


「私は篠田小夜香です。青葉中出身でポジションはセカンドを任されていました。私は小さいですが、足に自信があります」


小夜香の自己紹介が終わると、「お~」と声が聞こえた。

浅野に限っては「普通の子だ」と呟いてた。


「ウチは七草奈菜ななくさ ななです。葵中出身でポジションは投手です。打倒、綺羅星奈を掲げています」

「ピンポイントだねっ!?」

「ふふっ、いいライバルになりそうだ」


「ワタシは高橋ヴィクトリアいいマス。シニア出身で外野手をしていまシタ、打者として貢献したいと思うデス」


全員の自己紹介が終わり、浅野が皆の前に立つ。


「これからは新しいチームメイトになり、全員が野球経験者で即戦力になる。入学式初日でこれだけ入部希望者が出たんだ。レギュラーから振り落とされないようお互いに切磋琢磨しようじゃないか」

「「「はい!」」」

「3年生が卒業してからメンバーがギリギリで違うポジションをやってもらうことがあったが、これで正ポジションができるだろうし、甲子園に向けてまずは春季県大会を頑張ろうっ!」

「「「はい!」」」


ここ星彩女子高等学校の野球部は、後に浅野投手筆頭に全国で旋風を巻き起こすのであった。

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