第10話 悲哀

その後は宿のベッドで寝転がっていた。特にすることも無いので頭を真っ白にしながら休んでいると、いつの間にか夜になっていた。

そのまま寝るかと思った。だが、エルシアが急にこっちに向かって言った。


「お願いだから一緒に寝てくれないかな」


「それは、良いのか?」


昔は一緒に寝たりしていたが、最近はめっきりそんな事は無くなった。まあ当たり前なんだが。それでもやっぱり悲しいんだろう。

それなら…


「分かった、良いよ。別に困ることも無いしな」


「ありがとう」


涙がこぼれ落ちそうだった。こんなふうに生るなら今まで我慢していたのかもしれない。もっと早く気づくべきだった。今まで泣きそうだったと。


それからはエルシアを慰めながら眠りを迎えた。

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