第6話 旅路

村の皆が死んって言う話はどこか現実感が無かった。いつもみたいにまた生き返るのではないかと、そう思ってしまう。そんな事はないと知っているけれど。


「旅っていってもどこに行くんだ?」


「王都に行こうかと思ってる。一番近いし」


まあ、そうか。国は四つあってその一つがフランベルク王国だ。その首都はベルクと呼ばれている。そしてこのムント村はその王国にある村で、王都から見れば二番目に近い村になるだろう。


「じゃあ、まずはリンド村に行かないとな」


「そうね」


「それなら準備を始めるか」


そう言いながら昔を偲ぶ。特に良い思い出も悪い思い出も無かったけど、それでも故郷だから。滅んだと言うのは、どこか哀しい。何か欠けたような、でも心は変わらないままで、何事もなく今を歩んで来た。これからもきっと変わらないだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る