それでも世界は笑ってる
さとり
第1話 不変
僕はいつも退屈だ。周りはみんな幸せで、幸せであるべきと望んでいる、望まれている。そんな世界は面白くない。いつもいつも晴れていて、いつもいつも平和だった。
今朝、成人した。でも、これからも変わらない生活が続くと思う。だって変わりたいなんて思わないから。堕落した毎日から抜けようなんて、そんな面倒なことは絶対にしない。
それは僕の中の小汚く、無価値な信念だ。それでも世界は続くなんて、意味のない感傷に浸りながら、夜でもないのに僕は布団の中にに潜った。
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夜になって起きた。こういう時は大体もう眠れないと経験している。だから扉から外に出た。僕が住んでいる家、というか小屋だけど、広さは大体人が10人くらいが入るほどしかない。ベッドとタンスしかないこの小屋は存外広い。まあ、置いてるものが少ないからだろうけど. . .あとは庭に広いとも狭いとも言えないくらいの畑がある。それでも野菜の類しか育てていない。
外に出ると村の皆が寝静まったのか静かだった。いつもは酒場の方が煩いのに、と思ったけど、そう言えば今日は成人式があった。多方疲れて寝てしまったのかな。僕は静かに散歩をした。静かというのは心地良い物だ。流石に寝ている時の方が上だけどね。
そう言えば最近、幼馴染のエルシアから「ウルマはいつも変わらない」とか言われてしまった。
この時ほど幼馴染なんて要らないと思った時は無かった。心配してるのは分かるけど、それがとても煩いのだ。とりあえず、興奮した心を落ち着かせる為に家へと帰って眠りについた。
翌日、起きるとエルシアが立っていた。その目はとても濁っていて、目尻には涙が溢れた跡が残っていた。なんだ、何が起きた。
「何があったんだ」
「、、、お父さんがお母さんを殺した。殺し
て、殺して、そして死んだ。なんで、、、
ねえ なんで?」
そんなこと、あるはずがない。
だって….
人は死なないんだから
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