第33話 美術部の校舎にエース皆川の姿が?

 東京藝術大学ゲイダイを受験する市村雅治と林原達郎、山鹿麻矢は2学期から桃園中央高校モモコウの美術部活動室の隣の準備室で山田先生と平松先生の指導を受けながら受験特訓に入った。

 そろそろ帰宅する時間、資料本の片付けついでに準備室にやってきた山本由香里副部長が、デッサンの上達ぶりを先生たちに評価されて気を良くしてニコニコしている麻矢を見て嬉しくなった。


「山鹿くんたち、もう終わるみたいよ」

 由香里が準備室の様子を見てきてくれたので、麻衣子と有紗も帰り支度を始めたら、有紗の携帯にメールが着信したようだったが~あとで~と思って気に留めずに後片付けをしていたら廊下側の窓際に人影、しばらく立ち止まっていたので~何だろう~と思った瞬間にハッと気が付いて、メールを確認してみたら、なんと皆川慶彦ヨシヒコから。

 です、部活まだ終わりませんか

 有紗は返信するより先に活動室の引き戸を開けて廊下の慶彦ヨシヒコを発見。

「わあーぃ、ヨシヒコー、来てくれたー」

「村田さん、まだ部活終わってなかった?」

「大丈夫、もう帰れるから待っててね」

 有紗は少しドキドキしながら後片づけに戻ると麻衣子が

「誰だったの?」

「ヨシヒコ!」

「…皆川さん?」びっくりした由香里が廊下側の摺りガラス越しに慶彦ヨシヒコの姿を見て胸が躍った。


 準備室から男子が2人、薄暗いが皆川エースも見たことがある風貌、林原も皆川エースに気が付いたようで小声で「どうもっ」と発したが、市村は無言のまま通り過ぎた。

 準備室から先生らしき2人。先に気が付いたのは平松。

「どうしたの? 野球部エースが」

「7時限目が終わったとこなんで…」

「そうか、特進クラスだよね皆川君。今頃だけど2回戦、惜しかったね」平松は週一で特進クラスの美術を担当。

「君が、特進クラスの皆川君! 美術専攻の山田です。職員室で話題よー、桃園中央ウチから初の東大に現役合格する期待の星だと」と初対面の皆川エースに知る限りの情報をぶつけた。

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