1. 歴史 1限目

 今は昔?昔は今か?昔昔の遠い日、その日。

あるところには人の住まう地と妖精の住まう地とが海を隔てて在ったという。人と言って思い浮かべるのは皆一様の人間族と仮定し、此度は妖精について解き明かそう。いやしかし妖精は人間によく似ているものだ。耳がとんがっていたり、羽が生えていたり、そんな風にはできていない。見ただけでその二つは区別が効かない。外的な違いは唯一、人よりも歯が一本ずつ多い点だ。かつて妖精がもっともっと聖霊に近い存在だった頃には乳歯を集める妖精がいて、その名残で多いのだそうだが、一体それで何になる。例えば君は自分の歯が何本生えているのが正しいか知っているかい。知らないのなら、つまり妖精と人間は同じと言ったって言い過ぎじゃない。

 さて、ならば何が違うか。それは魔法の力にある。人は科学で発展した種である。魔力はなく、その知恵と機転でその真価を発揮した。今で尚妖精族が怠け者と揶揄されるのはその為だ。妖精族は世界を占めるありとあらゆる要素の王であるから、それを使役することができる。それこそが魔法である。


「今日はここまで。次は人間が魔力を持つ過程について説明する。各自予習、復習を怠らぬよう!」

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