0122 昇級試験(特別等級)
キマイラがレベル120だったので、次の相手はそれ以上のレベルの魔物なのは間違いがない。
なんと言ってもここから先は特別等級なのだ。
「次は何ですか?」
「次は特級の
ただし、
なるほど!グリフォンか・・・キマイラ同様混成魔物で、体力は同じくらいあるのに、素早く空も飛ぶ厄介な奴だ。
おまけに魔法も弱い魔法ならば半分ほどは無効化する。
鷲の口から炎も吐く。
確かにこれが一級より上の魔物と言うのは納得だ。
キマイラよりも一段強い!
しかし俺にはおなじみの魔物だ。
こいつは最初エレノアと一緒にレベルを上げるので散々倒したっけ。
最初は全部エレノアに倒してもらっていたけど、もちろん今なら俺一人でも十分倒せる。
俺は特級試験の魔物と聞いて少々身構えていたが、何度も倒した事がある相手なのでホッと一安心した。
「構いませんね?御主人様?」
エレノアが俺に尋ね、俺も了承する。
「うん、ミルキィはまた今度ということで」
「はい、わかりました」
ミルキィ一人でも、グリフォンは倒せる。
すでにそれはロナバール南西の迷宮で確認済だ。
しかしレベル制限に引っかかるのならば仕方がない。
「では、それも受けましょう」
「承知しました」
グリフォンが闘技場に出され、試験が始まる。
流石にキマイラと違って、グリフォンは相当素早いが、俺は向かってくるグリフォンにアレナック日本刀を振るい、吐いてくる炎を避けると、何なくグリフォンを倒す。
すでに何百回となく行った行為だ。
グリフォンは経験値が高く、大抵は単独で出てくるので、手強くはあるが、良い経験値稼ぎになる。
俺もエレノアと一緒にずいぶんと倒して、今や手馴れた物だ。
そういう意味では一級のキマイラよりも楽な位だった。
俺がグリフォンを倒すと、いつの間にか俺たちに着いて来たハムハムが、そのグリフォンの上に立っている。
しかもそこで、ハムスター印の旗をグリフォンに刺して、ポーズを取っている。
まるで自分で倒したかのようだ。
いや、それ、お前が倒したんじゃないから!
別に誰も記念撮影とかしないし!
お前のレベルは5だからグリフォンの火の息がかかっただけでも瞬殺だぞ?
何、得意げに獲物を自分で倒した狩人か、山頂を制覇した登山家みたいなポーズ取ってんだ?
「ハムハム!戻れ!」
「ウキュ!」
俺が命令するとハムハムは俺の下に戻る。
次はエレノアの番だ。
今度のグリフォンはいきなり空を飛んでエレノアを襲ってくる。
しかし、当然エレノアは全く動じない。
「アニーミ・レスト・ランツォ!」
うおっ!?
この呪文は初めてみたぞ?
エレノアが呪文を唱えると、空中に突然巨大な槍が出現して、それがグリフォンを勢いよく貫く!
もちろん、グリフォンは墜落してそれで終わりだ。
う~む、エレノアは相変わらず恐ろしい・・・
結局、俺とエレノアはグリフォンも難なく倒し、
ここでエレノアが、再びグレゴールさんに尋ねる。
「次は何ですか?」
「次は
それにゴールドの相手はガルーダなのですが、今は一匹しかいないので、どちらか御一人しか試験は出来ません」
「なるほど、御主人様いかがいたしますか?
御主人様だけでも
エレノアの言葉に俺は考えた。
ガルーダか・・・巨大な鳥で、口からは高温の火を吹く大鷲だ。
グリフォンよりすばやく空を飛び、体力もある。
しかも魔法の大半を無効化する能力もある。
タイプ的にはグリフォンに似ているが、能力は段違いのはずだ。
確かに俺も戦った事はないが、相当強いはずだ。
しかしエレノアは当然として、俺も多分大丈夫だろう。
だがミルキィには、まだ倒すのは難しいだろう。
今度練習がてら三人で倒しに行ってみるか?
しかし、新規登録でここまで等級を上げれば十分だろう。
そんなに急いで等級を上げる必要もない。
次の機会にエレノアと一緒に等級を上げればそれで良いだろう。
そう考えた俺はエレノアに答える。
「いや、いいよ。
それはまた今度にしておくよ。
今日はこれで十分だ」
「では今回は等級を上げるのは、ここまでにしておきましょう」
「承知いたしました。
それでは本日の昇級試験はここまでという事で」
何はともあれ、これで俺たちも相当の等級になったはずだ。
俺はグレゴールさんに尋ねてみた。
「これで大抵のミッションは受けられますか?」
「受けられるどころか、このレベルですと、むしろ場合によっては、こちらからミッションを要請する等級ですね。
ちなみに
「え?なぜですか?」
「
流石にそれ以上強い魔物ですと、捕獲してここで閉じ込めて置くのが難しいからです。
それに必要性もほとんどありません。
数年間、希望者がいない事も珍しくはありません。
ですからこちらでもさほど必要がないので、あまり捕獲していないのです。
今回ガルーダがいたのもたまたまで、近日中に
普段は1匹もいないので、もし御二人揃って昇級試験を受ける場合は、あらかじめ数日前に申し込みをしておいてください」
「なるほど、わかりました。
どちらにしても、今日の昇級試験はこれで終わりにしておきましょう」
「承知しました。
では御三方の登録証を作りますので、しばらくお待ちください」
「はい」
「登録証は皆さんの魔法紋登録をした後で作成します。
あなたがたは初めてですので、かなり時間が掛かるかと思います。
その間は、食堂かどこかでお待ちください。
特別応接室が良いでしょう」
「特別応接室?」
「はい、この組合では等級によって、利用できる場所が色々とあります。
例えば食堂や休憩室です。
一般の方や、五級以下の組合員の人々は、一階の玄関広間にある大食堂「デパーチャー」なのですが、四級以上二級以下ならば中級食堂の「プロフェッショナル」、一級は上級食堂の「マスタークラス」を利用できます。
そして特級の皆さんは、特別応接室「ハイエスト」の利用が出来るのです。
皆さんはすでに白銀等級ですから特別応接室を利用できます。
ですからそちらでお待ちいただいた方がよろしいかと」
なるほど、軍隊で言う、士官食堂や将官食堂のような物か?
そのグレゴールさんの説明にミルキィが質問をする。
「あの、私は一級ですが?」
「パーティのどなたかが対応する等級であれば、そのパーティの皆さんが利用できますので大丈夫です。
組合の規約なども渡しておきますので、一般規約の方は、その間にある程度読んでおいてください。
読み終わる前に外に出ると、おそらく少々面倒な事になると思いますので」
「はい、わかりました」
「登録証が出来上がり次第、特別応接室の方へお届けいたします」
「はい」
そう言われて、俺たちは規約を二つ渡された。
一般規約と書かれている物と、特別等級規約と書かれている物の二つだ。
「ではこちらへどうぞ。
特別応接室へ御案内します」
「はい」
俺たちはグレゴールさんに案内されて、特別応接室へと向かった。
しかし、特別応接室か・・・
何か名前からして凄そうな場所だな?
あんまり凄そうな所だと、一般庶民の俺は緊張しちゃうぞ?
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